食品スーパーマーケットにおけるCashの流れ、その1!
「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」、苦労したがやっと完成したお陰で、これまで見えなかった食品スーパーマーケットの真実が次々と明らかになりつつある。昨年の2009年度版は基本構想をもとに何しろ作り上げることが最優先であったため、その分析に関してはけっして充分とはいえなかった。今期、この2010年度版は新たな項目も加え、制作にはそれなりの時間もかかり苦労したが、昨年の比ではなく、結果、分析に時間と意識を向けられる余裕ができた。そこで、今後、この「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」をもとに、知られざる食品スーパーマーケットの真実とでも題し、様々な角度から食品スーパーマーケットの実態を取り上げてみたい。
さて、気になるニュースが飛び込んできた。アオキスーパーの増収賄事件である。毎日新聞によれば、「愛知県日進市の土地区画整理事業に伴う用地の売却を巡って、わいろの受け渡しがあったとして、同県警捜査2課は24日、同市岩崎町竹田、「日進竹の山南部特定土地区画整理組合」理事、加藤克也容疑者(70)を土地区画整理法違反(収賄)容疑で逮捕した。また、名古屋市名東区朝日が丘、「アオキスーパー」(本部・同県津島市)専務取締役、筒井輝雄容疑者(65)を同法違反(贈賄)容疑で逮捕した。2人とも容疑を認めているという。・・」という内容であり、衝撃的な事件である。
アオキスーパーのホームページ上でも、「平成22 年7月24 日、弊社専務取締役筒井輝雄が、土地区画整理法違反(贈賄)の容疑により愛知県警に逮捕されました。弊社役員が逮捕されたことは、大変に遺憾であり、お客様及び株主の皆様をはじめ関係者の方々に多大なご迷惑ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。・・」と事実関係を公表し、謝罪しており、事件が事実であり、現在、まさに捜査中とのことである。
そこで、この問題の本質であるが、食品スーパーマーケットには、この土地をめぐる問題の他にも様々なキャッシュの動きがあり、この種の事件は大なり小なり、いくらでも起こる可能性が潜んでいるのが実態である。当然、そのキャッシュの動きを、企業として、しっかり押さえていないと、今回の事件に限らず、不正が起こる可能性は多々あり、食品スーパーマーケットの経営に携わる経営幹部はしっかりとキャッシュの流れを押さえ、不正なお金が1円も発生しないように目を光らせる必要がある。本来、食品スーパーマーケットが得たキャッシュは、最終的には株主に返還されるものであり、従業員に配分されるものであり、それ以上に、顧客に還元されるものであるからである。
その意味で、食品スーパーマーケットとしての取締役の仕事の大半は、株主、従業員、顧客に代わって、このキャッシュの流れをしっかり抑え、健全なキャッシュの循環を促し、企業を成長発展に導くことが重要な使命であるといえよう。
では、食品スーパーマーケットのキャッシュの流れとはどのようになっているかであるが、これを食品スーパーマーケットの経営の実態をまとめた最新版の「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」をもとに見てみたい。そもそも、この「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」は財務連環という言葉を使っているように、財務=キャッシュの連環に焦点を当て、財務3表を連環させて作り上げたところにある。したがって、この「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」を駆使することにより、食品スーパーマーケットのキャッシュの流れ、連環度合いが浮かび上がり、食品スーパーマーケットの経営はどこがポイントで、何を抑えなければならないかが明確になる。
まず、今回のような土地をめぐるキャッシュはどこかから発生するかであるが、そもそもの発生は、マーチャンダイジングであり、顧客と商品を売価をもとに交換し、キャッシュを得るところにある。これが食品スーパーマーケットのキャッシュの源泉である。通常の食品スーパーマーケットは、これで終了であるが、アオキスーパー等のNSCに強い業態をもつ食品スーパーマーケットの場合は、これに、不動産収入等のその他営業収入として約3%の収入がキャッシュで入る。実はこの3%が重要な役割を果たす。
「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」を見ると、食品スーパーマーケットの営業利益率は売上対比で約2.5%弱であり、極論すれば、食品スーパーマーケットはマーチャンダイジングでのキャッシュは若干のマイナス、これを、その他営業収益で支えているからである。特にアオキスーパーの場合はこれが極端な数字であり、マーチャンダイジングのキャッシュでは経営は1%以上のマイナスとなり、その他営業収入で補完し、営業利益をプラスにもっていっているのが実態である。今回の問題の土地は新聞報道では家電量販店に貸すとのことであり、まさに、このその他営業収入が絡む問題であり、アオキスーパーにとっては生命線とでもいうべき、重要な経営課題であったといえる。
続く、・・
なお、ここでは、ブログの特性上、ポイントのみとなるが、「食品スーパー2010、財務3表連環分析!」を用いた詳細な数値分析、解説は、食品スーパーマーケット最新情報、プレミアム版(有料)にて、現在、連載中ですので、そちらもご参照ください。
食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
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