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July 25, 2010

成城石井はどこへ、大久保社長退任?

   成城石井の大久保恒夫社長が9/1付けで相談役に退くことが決まった。成城石井のホームページには、大久保社長退任の理由を、「当社は、「食にこだわり、豊かな社会を創造する」という経営理念の下、顧客満足の向上、収益性の向上、財務体質の強化を図り、強固な経営基盤の構築に向け経営改革を推し進めて参りましたところ、経営改革の理念の浸透により、一定の成果を達成したものと考えております。つきましては、かかる経営改革の下で、当社の事業拡大を現場のトップとして率先推進し、事業基盤の構築に大きく貢献した原昭彦が今回新社長に就任することにより、社内の結束を高め、更なる事業成長を図っていくものであります。」と説明している。

   また、日経MJの7/23によれば、「売上高営業利益率を8%に高めるなど、業績改善にメドが立ったため。後任には生え抜きの原昭彦取締役(42)が就任する。」と解説している。また、これに付け加え、「親会社のレックス・ホールディングスが成城石井を売却する場合の”出口戦略”に影響する可能性もある。・・」とも解説しており、いよいよ、成城石井が売却される可能性が高まったともとれる内容である。

   現在、成城石井は、66店舗(直営55店舗・FC11店舗:2010年2月現在)を首都圏に展開しており、大久保社長が2007年1月に社長に就任して以来、業務改革を断行し、まさに、経営はV字回復を果たし、ここ最近は毎年10店舗というハイペースで営業拡大を続けてきた。成長性、収益性ともに抜群の数字であり、この数年という短期間で見事に業績が急回復したといえる。

   成城石井は2004年10月に創業者一族(石井家)から牛角の親会社レックス・ホールディングスに70.1%の株式が譲渡されたことにより、経営権がレックス・ホールディングスに移り、子会社化された。その後、2006年2月にレックス・ホールディングスが株式交換により、完全子会社化を行い、レックス・ホールディングの100%子会社となった。当時(2004年2月期)の成城石井の経営数字は、売上高296.54億円(102.94%)、営業利益13.28億円(112.25%:売上対比4.47%)、経常利益14.04億円(-8.47%:売上対比4.73%)、当期純利益7.25億円(-20.15%:売上対比2.44%)であり、自己資本比率は65.70%、総資産154.80億円という状況であった。現在、売上高は400億円を超え、日経MJによれば営業利益率が8%ということであるので、成長率135%、営業利益面では率で170%であるので、翌年、2007年1月に就任した大久保社長の経営貢献度は極めて高いといえよう。

   さて、今後の成城石井の経営であるが、すでに、昨年、2009年11月30日の読売新聞では、「小売り・外食チェーンを展開するレックス・ホールディングスが、100%子会社の中堅スーパー、成城石井(横浜市)の株式を一部売却する方向で検討していることが27日、わかった。年内にも売却先選びを始める。商社や流通グループなどに資本参加してもらうことで商品調達力を強化し、店舗展開を速める狙いがある。成城石井は、首都圏を中心に約70店舗を展開。高級食材や輸入ワインなどの販売で知られ、好業績が続いている。」との記事を掲載している。昨年後半以降、株式売却の話が出ており、今回の大久保社長退任はほぼ、売却先が固まった可能性が高いともいえよう。ちなみに、この時期に、レックス・ホールディングスは傘下のam/pmをファミリーマートに売却しており、成城石井が次の売却目的となることは容易に想定できることであり、今回の大久保社長の退任はこの延長線上にある動きであるといえよう。

   また、日刊工業新聞、2009年、12/17では、さらに踏み込んで、「レックス・ホールディングスは傘下の成城石井(横浜市西区)の株式売却をめぐり全株式を売却する場合、「300億円程度」の譲渡価格を提示していることが16日までに分かった。」とのことで、売却価格まで明示している。さらに、売却先として、「買収に関心を示している商社などに提案したことを複数の関係筋が明らかにした。現在、再び流通シフトを進め始めた大手商社や、小売事業を強化したい鉄道系企業などが買収に関心を示しているという。・・、伊藤忠商事や丸紅が関心を示しているとされるほか、出店先として関係が深い鉄道会社、また関西地盤の電鉄系の小売事業会社などの名前も取りざたされている。・・」とのことで、具体的な名前もあがっており、xデーは近いといえそうである。ちなみに、レックス・ホールディングスの決算期は12月であるので、ここ数ケ月がひとつの山と推測できよう。

   ちなみに、大久保恒夫社長はレックス・ホールディングスの取締役でもあり、成城石井の代表取締役社長でもあるので、成城石井の相談役に退いても、株式が移動しない限り、親会社の立場から成城石井の経営に強い影響力を残すことになる。ただ、この読売新聞、日刊工業新聞の記事を見る限り、レックス・ホールディングスの経営は厳しい状況にあると推測され、成城石井の売却が極めて近いと思われる。今後、成城石井、親会社のレックス・ホールディングスの動きに注目である。

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