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August 23, 2010

食品スーパーマーケットの人件費11.4%を見る!

   今年の「食品スーパー2010、財務3表連環分析、vol.1」では昨年にない項目をいくつか追加している。そのひとつが人件費である。食品スーパーマーケットにとって人件費は経費の中で最大の項目であり、利益を生み出すには、この人件費を適切にコントロールする必要がある。そこで、食品スーパーマーケットの実態はどうなっているのかについて、その実情を見てみたい。

   まず、全体の状況であるが、2010年度の決算短信で確認できる食品スーパーマーケットにおいて、人件費を公表している食品スーパーマーケットは約50社の内、数社公表していないだけであり、ほとんどの食品スーパーマーケットの人件費は把握することができる。そこで、その全体の数字を見ると、売上対比11.4%(粗利対比45.6%)が全体の平均的な数字である。これが現在の食品スーパーマーケットの実態といえ、これより高ければ高め、低ければ低いと判断して良いといえよう。

   ちなみに、食品スーパーマーケット、決算公開企業約50社の売上総利益、いわゆる粗利率は売上対比で25.0%であり、経費比率は25.6%が平均である。いずれも売上対比であるので、人件費比率は売上対比11.4%であるので、粗利対比では45.6%となる。同様に経費対比では44.5%となり、ほぼ粗利対比と同じ比率である。したがって、ごく単純化すれば、食品スーパーマーケットの人件費は売上高の約10%強、粗利、経費の約45%であるといえ、これがごく平均的な食品スーパーマーケットの人件費の実態といえよう。

   では、決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの中で、売上対比で低い食品スーパーマーケットはどのくらいなのかを見てみたい。売上対比の人件費比率で10%を切る食品スーパーマーケットを見てみると、大黒天物産7.3%(粗利対比32.8%)、ベルク8.4%(32.6%)、アオキスーパー8.5%(52.9%)、アークス 8.5%(37.4%)、スーパーバリュー8.6%(42.1%)、フジ8.8%(38.4%)、イズミ8.9%(41.1%)、オーケー9.2%(45.9%)、天満屋ストア9.2%(37.3%)、東武ストア9.7%(36.7%)、マルミヤストア9.7%(49.9%)、スーパー大栄9.9%(46.3%)、アークランドサカモト9.9%(30.4%)、丸久9.9%(39.6%)という状況である。

   この中ですぐに気になるのはアオキスーパーの52.9%という粗利対比であるが、これは、アオキスーパーの粗利率が16.08%と極めて低い数字のため、相対的に人件費比率が上昇傾向になるためである。同様に、オーケー20.1%、マルミヤストア19.4%、スーパー大栄21.3%など、粗利の低い食品スーパーマーケットは比較的高めの傾向となる。逆に天満屋ストア24.8%、東武ストア26.4%のように粗利が高めの食品スーパーマーケットは粗利対比が低めにでる傾向がある。したがって、食品スーパーマーケットにおいて人件費は売上対比10%を切れるかどうか、粗利対比では40%を切れるかどうかがひとつのポイントといえよう。

   参考に、オオゼキの2009年度の数字、GMSのイオン、セブン&アイHの数字を見てみたい。まず、オオゼキであるが、10.7%(粗利対比42.8%)であり、食品スーパーマーケットの平均よりもやや低めの数字といえよう。一方、イオンは14.9%(粗利対比53.0%)、セブン&アイH10.5%(粗利対比39.9%)であり、GMS業態が強く全体に影響を与えるイオンの人件費がかなり高めであり、逆に、セブン&アイHは対照的に低めであるといえよう。それにしても、先に見た食品スーパーマーケットNo.1の大黒天物産の数字は極端に低い数字であり、これがディスカウント戦略の源泉のひとつといえよう。

   では、逆に、食品スーパーマーケット業界の中で人件費比率の高い食品スーパーマーケットを見てみたい。平和堂14.6%(粗利対比49.9%)、ヤオコー14.3%(49.5%)、ヤマナカ14.3%(57.1%)、イオン九州 13.7%(50.6%)、マルエツ13.7%(48.4%)、エコス13.5%(53.6%)、ジョイス13.4%(52.0%)、マックスバリュ東海13.2%(51.5%)、いなげや13.1%(48.1%)、イズミヤ13.0%(44.3%)である。以上が売上対比13.0%以上の食品スーパーマーケットであるが、粗利対比も含め、かなり高い人件費水準といえよう。

   ちなみに、これらの食品スーパーマーケットの売上総利益、すなわち、粗利であるが、平和堂29.3%、ヤオコー28.8%、ヤマナカ25.0%、イオン九州27.1%、マルエツ28.3%、エコス25.3%、ジョイス25.7%、マックスバリュ東海25.6%、いなげや27.2%、イズミヤ29.3%である。一方、先の人件費比率の低い食品スーパーマーケットの粗利は、大黒天物産22.4%、ベルク25.8%、アオキスーパー16.1%、アークス22.8%、スーパーバリュー20.3%、フジ22.8%、イズミ21.5%、オーケー20.1%、天満屋ストア24.8%、東武ストア 26.4%、マルミヤストア19.4%、スーパー大栄21.3%、アークランドサカモト32.6%、丸久25.1%である。粗利構造が明らかに違うといえ、人件費と粗利戦略はほぼ連動しているといえよう。

   このように、食品スーパーマーケットの人件費は決算公開企業約50社の平均が売上対比11.4%(粗利対比45.6%)であるが、大きく2極化しており、粗利を下げ、人件費も極限まで下げるディスカウント志向の食品スーパーマーケットと、付加価値を追求し、粗利を引き上げ、そこに人件費を投入する付加価値型志向の食品スーパーマーケットとに分かれるといえよう。

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August 23, 2010 in 経済・政治・国際 |

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