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August 20, 2010

ウォルマート、2010年度、中間決算公表、増収増益!

   ウォルマートが2010年度の中間決算を8/17に公表した。結果は増収増益となり、全体は好調である。ただ、本体のウォルマートの既存店は伸び悩んでおり、気になるところだ。ウォルマートの決算を見ると、日本の決算発表のように、増収増益等のP/Lの結果よりも、まずは、株主優先であり、今回の見出しも、「Walmart Reports Second Quarter EPS of $0.97, Ahead of First Call Consensus、・・」であり、EPS、すなわち、earnings per share、一株当たりの利益が最重要指標となっている。EPSは株式のPI値のようなものであり、1株当たりどのくらい利益が出たかを表し、株の価値を表す指標のひとつである。ウォルマートとしては、株の価値を下げなかったという決算であり、当初の約束通りであったということが重要であるとの経営判断であるといえよう。

   さて、実際の決算結果であるが、ウォルマートのP/Lはほぼ日本と同じ配列となっており、売上高Net sales、その他営業収入Membership and other income、原価Cost of sales、経費Operating, selling, general and administrative expenses、そして、営業利益Operating incomeとなっている。そして、この順番で2009年度と2010年度を比較し、特に今回は中間であるので、6ケ月類計と3ケ月のみの数字を公表している。ここでは、6ケ月合計で見るが、結果は、売上高202,113十億ドル(4.4%)と増収であり、営業利益は11,927十億ドル(7.4%)と増益であり、結果、増収増益と好決算となった。

   その中身であるが、原価は75.31%(昨年75.11%)と若干上昇しており、消費環境の厳しさが反映されているといえよう。結果、売上総利益、いわゆる粗利は24.69%(昨年24.89%)と若干下がった。24.69%は日本の2010年度の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が25.0%であるので、ほぼ、日本の食品スーパーマーケットに近い数字である。ちなみに、セブン&アイHの26.2%、イオンの28.0%と比べるとかなり低い数字といえ、ウォルマートの粗利水準は日本では食品スーパーマーケットに極めて近いといえよう。

   一方、経費の方であるが、19.48%(昨年19.90%)と、0.42ポイントと大きく改善しており、経費の削減が進んでいる。ちなみに、この経費比率であるが、これも先程と同様に日本の食品スーパーマーケットの平均が25.6%であるので、約5%ほど低く、ここで決定的な差が開くといえよう。セブン&アイHは33.6%、イオンは36.4%であるので、さらに差は広がる。したがって、ウォルマートの強さの秘訣はこの経費比率にあるといえ、今期も半期で約20兆円近い売上高がありながら、経費は19.48%で抑えており、ここが日本の小売業との決定的な違いといえる。余談だが、日本でもウォルマートの19.48%を下回る食品スーパーマーケットはあり、トライアルカンパニー16.07%、アオキスーパー16.08%、マルミヤストア19.43%の3社が下回っているが、残り約50社弱はそれ以上であり、この19.48%の経費比率がいかに低い数字であるかがわかる。

   結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は5.21%(昨年4.99%)と増益となった。これにその他営業収入、ウォルマートの場合はサムズクラブの会員収入等が0.70%(昨年0.74%)のり、営業利益は5.91%(昨年5.73%)となり、増益となった。原価は厳しい消費環境により上昇したが、それ以上に経費を引き下げたことにより、マーチャンダイジング力が上昇し、その他営業収入の減少をもカバーし増益となっており、まさにウォルマートらしい、マネジメントによる増益といえ、結果、好決算につながったといえよう。

   これを受けて、ウォルマートのキャッシュフローであるが、営業活動によるキャッシュフローは、10,019 百万ドル(9,895百万ドル)であり、約1兆円となる。それにしても、キャッシュフローが1兆円という小売業として途方もない金額であり、びっくりである。ちなみに、その内訳であるが、利益関連が7,191 百万ドル、減価償却費が3,748 百万ドルであり、この2項目が大半、減価償却費だけでも約3千億円強という金額である。投資活動によるキャッシュフローであるが、-5,581百万ドルであり、その大半が新店関連への投資である。約5千億円近い投資であり、これがウォルマートの成長の源泉となる。したがって、合計フリーキャッシュフローは4,438百万ドルであり、営業活動によるキャッシュフローの約60%を投資に充て、約40%を財務活動によるキャッシュフローに残しているといえる。

   その財務活動によるキャッシュフローであるが、-2,045百万ドルであり、その内訳は、借入、返済、自己株式の購入等であるが、今期は-7,112百万ドルという大量の自己株式を購入しており、びっくりである。それだけ、株価の買い支えに動いた結果であるといえよう。そして、トータルキャッシュフローは2,288百万ドル増加し、結果、今期の現金は10,195百万ドル、約1兆円となった。やや気になるのは、有利子負債が45,814百万ドル(総資産の25.89%:昨年41,660百万ドル)と増加したことに加え、約4兆円強とかなりの金額に上っていることである。

   このようにウォルマートの2010年度の中間決算が公表され、結果は増収増益となり、特に、売上げよりも、今期は利益が堅調であったことが大きいといえよう。原価はやや増加したが、それ以上に経費の削減が進んでおり、それが増益になった要因といえ、利益を生み出す経営のポイントは経費コントロールがいかに重要であるかを実証しているといえよう。ただ、一方で、売上げはやや伸び悩んでおり、今後、いかに既存店の活性化をはかるかが課題といえ、次のウォルマートの一手に注目である。

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