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August 09, 2010

ヤオコー、2010年3月、第1四半期決算、増収減益!

   ヤオコーが7/30、2010年3月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益522.17億円(2.7%)、営業利益 19.94億円(-13.0%)、経常利益19.54億円(-13.2%)、当期純利益8.16億円(-38.5%)となり、増収減益となる、厳しい決算となった。特に、利益がどの段階でも2桁以上のマイナスとなり、この第1四半期は利益の確保が厳しかったようである。ヤオコー自身は、特に利益に関しては、「新店の先行投資等販管費の増加などにより、・・」とのことで、新店への先行投資が影響としたとのことである。ただ、一方で、「スーパーマーケット業界におきましては、子ども手当の支給など経済対策の効果もあって個人消費は一部に改善の兆しはありますが、先行きの雇用・所得不安などを背景にしてお客さまの低価格志向は強く、そのため激しい安売り競争は依然として続いており、経営環境は厳しい状況にあります。」とのことで、経営環境が依然として厳しい状況にあるとの認識である。

   そこで、まず、営業収益が2.7%と増益となった要因であるが、「4月に桐生境野店(群馬県桐生市)を開設いたしました。」とのことで、1店舗新店が増えたことが大きいといえよう。ただ、既存店は97.4%と伸び悩んでおり、しかも、客数98.2%、客単価99.1%と客数の減少が見られる。また、客単価の中身、PI値は99.6%、平均単価は99.5%と、どちらもほぼ100%に近く、低価格志向の強い消費環境の中では健闘しているといえよう。それにしても、新店が仮に無かった場合は、減収減益となっており、依然として厳しい経営環境にあるといえよう。

   一方、営業利益が減益になった要因であるが、原価は71.65%(昨年71.48%)と、0.17ポイント上昇しており、結果、売上総利益は28.35%(昨年28.52%)と減少した。ただ、営業総利益28.35%は、食品スーパーマーケット業界の中では極めて高い数字であり、2010年度の決算公開企業約50社の平均が25.0%であるので、ヤオコーは原価小の典型的な食品スーパーマーケットであり、高い粗利益率を確保しているといえよう。ちなみに、粗利益率ベスト10はアークランドサカモト32.6%、サンエー30.2%、Olympic29.8%、平和堂29.3%、イズミヤ29.3%、ヤオコー28.8%、ヤマザワ28.3%、マルエツ28.3%、いなげや27.2%、イオン九州27.1%であり、ヤオコーは6番目と、食品スーパーマーケット業界ではトップクラスである。

   これに対して、経費の方であるが、28.90%(昨年28.33%)と、先のコメントにもあったように0.57ポイントと大きく上昇しており、今期の新店を含め、先行投資がかさみ、その関係での経費増が大きかったものと推測される。ただ、この28%台の経費は食品スーパーマーケット業界ではかなり高めの数字であり、先程の原価小に対して、経費大という状況となり、利益が中々確保しにくい営業構造にあるといえよう。ちなみに、経費比率を先ほどと同じく、2010年度の決算公開企業約50社で見てみると、平和堂29.3%、イオン九州27.1%、Olympic29.8%、イズミヤ29.3%、ヤマナカ25.0%、いなげや27.2%、マルヤ20.8%、ヤオコー28.8%、マルエツ28.3%、天満屋ストア24.8%という状況であり、ヤオコーは8番目となり、ここでもトップクラスである。したがって、ヤオコーは食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング構造としては、原価小経費大の典型的な食品スーパーマーケットであるといえ、経費もかけるが、付加価値も追求するというマーチャンダイジング戦略を採用し、収益確保を目指しているといえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、-0.55%(昨年0.19%)となり、昨年のプラスからマイナスへと転じ、厳しい収益構造となった。原価、経費双方が上昇するというダブルでの収益への圧迫が大きかったといえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.54%(昨年4.52%)のり、マーチャンダイジング力のマイナスをカバーし、結果、営業利益は3.99%(昨年4.71%)となり、減益決算となった。ちなみに、その他営業収入であるが、これも、2010年度の決算公開企業約50社で見ると、ベスト10は、平和堂 6.8%、イオン九州6.4%、マルヤ5.6%、フジ5.4%、イズミ5.0%、ヤマナカ4.8%、ヤオコー4.5%、天満屋ストア4.4%、ベルク4.1%、バロー3.9%という結果であり、ここでも、ヤオコーは7番目に入り、トップクラスである。

   したがって、ヤオコーは原価小(売上総利益大)、経費大、その他営業収入大であり、いずれも食品スーパーマーケット業界ではトップクラスである。経費をかけ、付加価値を強く志向し、高い粗利益率を達成するが、現段階では残念ながら経費分を充分に補うことができず、マーチャンダイジング力は厳しい状況にあり、それをカバーするその他営業収入により、高い営業利益を確保しているという営業構造であるといえよう。

   ヤオコーは、この第1四半期決算短信の中でも、「当社の基本経営戦略でありますミールソリューションの充実と価格コンシャスの徹底を図り、売上とともに荒利益の確保に注力をいたしました。」とコメントしているが、まだ、価格コンシャスに関しては決算数字には十分に表れているとはいえず、今後、この価格コンシャスをどう具現化し、原価改善に踏み込むのか、次の第2四半期、そして、後半に向けて、その動向に注目したい。

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