家計調査データ、2010年7月度、猛暑、どう影響!
8/27、総務省統計局から2010年7月度の家計調査データが公表された。今年の7月度は異常な猛暑、その影響が注目される中での、家計の消費であるが、結果は、全体は9,202.39円(100.1%)、外食を除く食品は1,980.42円(99.5%)となり、特に、食品は若干のマイナスと、猛暑が消費を押し上げるという結果とはならなかった。本ブログでは、家計調査データを食品スーパーマーケットの金額PI値(客単価)と連動させるために、月間データを1日当たりに換算して算出している。これにより、ほぼ、食品スーパーマーケットのPOS分析で得られる金額PI値との比較が可能となり、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング改善に活かせるように工夫している。
さて、まずは全体には影響が感じられなかった猛暑であるが、個々の、項目ではそれなりに影響が出ている。総務省統計局でも新たに、「猛暑により消費支出の増加に寄与したとみられる主な品目等」と題し、分析レポートを加えている。特に、食品では梅干し 119.4% (寄与度0.01)、ゼリー 119.8%(0.02)、アイスクリーム・シャーベット114.0%(0.05)、他の主食的調理食品(冷やし中華,うどんセットを含む)102.3%(0.01)、飲料 110.0 (0.15)、発泡酒・ビール風アルコール飲料及び他の酒 113.2%(0.05)、外食の飲酒代 107.5 %(0.03)などであるという。確かに、アイスクリーム、発泡酒等は容易に想像がつくが、梅干しはやや意外といえ、特需といえよう。
以上が食品及び外食であるが、その他の主な項目としては、電気代104.0%(寄与度0.11)、エアコンディショナー 152.2%(0.32)、他の冷暖房用器具(扇風機,除湿機を含む) 166.8%(0.05)、布団 139.0%(0.02)、敷布133.0%(0.01)が家電関係である。やはり、エアコン、扇風機は異常な伸びであり、布団、敷布はやや意外といえよう。さらに、帽子120.3%(0.01)、傘(日傘を含む)132.9%(0.01)、他の化粧品(制汗剤を含む)109.6%(0.05)、スポーツ用品(水着を含む)112.9 %(0.04)などが、猛暑で良く伸びた項目であるという。
そこで、さらに、食品に関して、詳細を見てみたい。食品全体は先に見たように、1,980.42円(99.5%)と伸び悩んだが、まずは、大分類で見て、伸びた部門は、飲料158.55円(107.6%)、酒類132.58円(104.5%)、調理食品284.97円(102.2)、菓子類206.77円(100.0%)の4部門であり、生鮮食品は全滅である。ただ、中分類でいけば、生鮮野菜のみ166.84円(102.6%)と、猛暑の影響というよりも、相場高の影響で伸びたといえよう。したがって、大分類では、以上、4部門が猛暑の影響といえそうである。
では、何が伸びたのが、その中身を見てみたい。紅茶2.00円(144.2%、消費世帯のみ125.7%、消費世帯の割合114.7%)、炭酸飲料13.61円(117.9%、106.5%、110.7%)、果実・野菜ジュース33.13円(112.9%、109.9%、102.7%)、乳酸菌飲料11.10円(111.3%、106.8%、104.2%)、乳飲料3.68円(110.7%、101.0%、109.6%)が110%伸びた項目である。なぜか、紅茶が大人気であり、特に、消費世帯のみの消費が大きく伸びている。逆に、飲料で伸び悩んだものは、ココア・ココア飲料0.48円(78.9%、92.3%、85.6%)、コーヒー11.03円(95.5%、102.5%、93.2%)であり、ココア、コーヒーが厳しい状況であり、飲料の中でも明暗が分かれたといえよう。
酒類では、何といっても、発泡酒・ビール風アルコール飲料28.19円(154.1%、104.5%、147.6%)であり、消費世帯の割合が大きく増加しており、新規の消費者を獲得したといえよう。ついで、ウイスキー3.65円(113.0%、87.9%、128.6%)、清酒13.77円(111.2%、105.1%、105.8%)、ワイン4.87円(109.4%、104.4%、104.8%)も良く伸びている。調理食品では、うなぎのかば焼きが良く伸びており、33.97円(116.9%、105.6%、110.6%)という状況であり、その他は微増である。そして、菓子類であるが、なぜか、カステラの伸びが高く、2.06円(120.8%、112.4%、107.4%)であり、ついで、ゼリー11.87円(117.6%、103.0%、114.2%)、そして、本命のアイスクリーム・シャーベット39.06円(113.0%、107.5%、105.1%)となる。ちなみに、さすがに、チョコレートは4.81円(80.5%、85.2%、94.6%)と厳しい状況であった。
では、逆に、この7月度の消費が特に厳しかった部門であるが、魚介類197.77円(94.0%)と穀類216.39円(95.6%)であり、この2部門が95%前後と厳しい状況であった。その主な項目であるが、魚介類では、何といっても相場高のさんまであり、1.29円(53.3%、80.5%、66.2%)と極めて深刻な状況である。ついで、さば2.32円(78.3%、99.9%、78.3%)、えび7.35円(80.9%、89.7%、90.1%)等が厳しい消費であった。穀類では、スパゲッティ3.13円(88.2%、92.0%、95.8%)、米70.42円(93.9%、96.2%、97.6%)、カップめん7.16円(94.5%、95.4%、99.1%)等が厳しい状況であった。
このように、この7月度は猛暑の影響が懸念された家計消費であったが、個々への影響は様々な項目であったといえるが、それが全体の消費へ与えたインパクトは意外に弱かったといえ、食品全体が1,980.42円(99.5%)、全消費も9,202.39円(100.1%)という結果であり、猛暑のプラス分が、恐らく、デフレのマイナス分と相殺されたものといえよう。したがって、デフレの影響もかなり強いといえ、この7月度はプラスの猛暑とマイナスのデフレが拮抗した状況にあったのではないかと思われる。次回、8月度も猛暑は継続しており、今後、猛暑がデフレを上回り、消費にプラスの影響を与えるのか注目といえよう。
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