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August 07, 2010

関西スーパーマーケット、2011年第1四半期、増収減益!

   関西スーパーマーケットが7/29、2011年度3月期の第1四半期の決算を公表した。結果は、営業収益284.87億円(2.5%)、営業利益1.83億円(-18.1%)、経常利益2.48億円(-16.0%)、当期純利益1.00億円(-31.3%)となり、増収とはなったが、利益はすべての段階で大きく減益となり、厳しい決算結果となった。関西スーパーマーケット自身も、「当小売業界においては、業態間競争の激化による商品単価の下落や、お客様の生活防衛意識の高まりによる節約志向が一段と強まるなど、経営環境は依然厳しい状態が続いております。」とコメントしており、厳しい経営環境であったとのことである。

   ただ、営業収益は増加しており、しかも、その中身を売上高とその他営業収入に分けてみると、売上高は102.6%、その他営業収入は95.9%であり、売上高が伸びたことが営業収益を押し上げた要因である。その背景には、ここへ来て、関西スーパーマーケットが積極的な新規出店を展開するという、強気の経営に踏み込んだことが大きいといえよう。関西スーパーマーケットは現在、「「チャレンジ100!」をキャッチフレーズに、「2020年、店舗数100店舗・年商2,000億円」を掲げ、・・」とのことで、現在59店舗、約1,100億円であるので、今後10年で営業規模を2倍にする計画であり、この流れの中での今期の積極的な新店開発といえよう。

   実際、「新設については、4月に瓢箪山店(大阪府東大阪市)、江坂店(大阪府吹田市)、萬崎菱木店(堺市西区)、5月に善源寺店(大阪市都島区)の4店舗を新設いたしました。瓢箪山店、江坂店および善源寺店の3店舗は、既存店舗とのドミナントを形成する地域へ出店し、小商圏高頻度来店の店づくりに取り組みました。また、萬崎菱木店は、新たな地域でドミナントを形成すべく鮮度の良い商品をディスカウント価格で提供し、地域の認知度アップに取り組みました。」とのことで4店舗の新規出店を行っている。キャッシュフローを見ても、この第1四半期決算の投資活動によるキャッシュフローは有形固定資産の取得による支出-7.00億円(昨年-3.11億円)と、すでに、昨年の2倍以上の投資を実施しており、新規出店への強い意欲が感じられる。

   その結果、営業収益が2.5%と増収とはなったが、気になるのは利益である。すべての段階で大きく利益を落としていることである。そこで、その要因を、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.90%(昨年76.62%)と、0.28ポイント上昇している。これは、先に関西スーパーマーケットが言及しているように、商品単価の下落に加え、関西スーパーマーケット自身も、新店の萬崎菱木店のように、ディスカウント路線を強く打ち出した点にもあるといえよう。結果、売上総利益であるが、23.10%(昨年23.38%)となった。この数字は2010年度の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が25.0%であるので、かなり低い数字であといえる。

   一方、経費の方であるが、24.35%(昨年24.60%)と0.25ポイント削減しており、
経費に関しては改善が進んだ。原価の上昇を経費の削減で補おうとしており、特に、これだけ積極的な新店を出店したにも関わらず、経費の上昇を抑えており、かなり強く経費削減を徹底したものといえよう。これについて、関西スーパーマーケットは、「ローコスト体制づくりとして、グロサリー商品の営業時間外集中補充作業の推進や日配商品の自動発注システムの実験と検証を繰り返すなど、店内作業削減と作業効率の向上に取り組みました。」とのことで、店内作業の削減に重点をおいた経費削減に取り組んだといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は-1.25%(昨年-1.22%)となり、経費の削減が原価の上昇に追い付かず、残念ながらマイナス幅を拡大することになった。ただ、仮に、関西スーパーマーケットが決算公開企業約50社平均の25.0%に売上総利益が確保できていれば、マーチャンダイジング力はプラスになるので、今後、いかに、原価の改善を図れるかが課題といえよう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収益が1.91%(昨年2.04%)のることになるが、今期は昨年よりも0.13ポイント減少しており、結果、営業利益は0.65%(昨年0.82%)とプラスにはなったが、減益となる厳しい決算となった。

   このように2011年3月期、関西スーパーマーケットの最初の決算、第1四半期決算が公表されたが、売上高は積極的な新店の出店により増収となったが、原価の上昇、その他営業利益の減少が経費の削減でもカバーできず、営業利益が減益となる厳しい決算となった。今後、関西スーパーマーケットとしては、積極的な新規出店をさらに推し進めてゆくのか、それとも利益を重視した政策、特に、原価の改善を重視する政策に切り替えるのか、難しい経営判断が必要と思われる。次の中間、そして、後半にかけて、関西スーパーマーケットがどのような経営戦略を打ち出すか注目である。

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