消費者物価指数(CPI)、2010年7月度、-0.9%!
8/27、総務省統計局から2010年7月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数には総合指数が3つあり、ひとつは文字通り総合指数、2つ目は生鮮食品を除く総合指数、そして、3つ目は食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数である。生鮮食品の相場、資源、エネルギーなどの変動要因を考慮してのことである。その結果であるが、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として99.2 となり,前月比は0.5%の下落。前年同月比は0.9%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.0となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は1.1%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は96.9となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は1.5%の下落となった。」となった。いずれの段階でも下落となり、依然としてデフレ局面が続いているといえる。
この結果をグラフで見ると明らかであり、総務省統計局の公表グラフは過去約3年間を2つのグラフで公表している。ひとつは平成17年度を100とした時の推移であり、もうひとつは、前年同月比の推移である。いずれも、3つの総合指数をグラフ化しており、前者は折れ線グラフ、後者は棒グラフで表している。これを見ると、総合指数のグラフは昨年1月度から約1年半連続ですべての指標が右下がりに下がっており、特に3つ目の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は深刻であり、3年連続、平成17年度を下回っておいる。
一方、前年同月比の棒グラフであるが、昨年の1月以降、3つの指標すべてが昨対を割っており、本来、過去の傾向からすると、そろそろ回復基調に入っても良い段階であると思えるが、依然として、マイナスが続いている。特に、昨年の10月頃からマイナス幅は縮まり、プラスに向かっていたが、4月からまたマイナスの幅が広がった感があり、この7月になってもマイナスの横ばいが続き、プラスになる気配が遠のいたような推移となっている。
特に、この4月からは、消費者物価指数に影響を与える高校授業料無償化の影響が反映されはじめているのもデフレに拍車をかけているといえる。ただ、高校授業料無償化の影響は、この7月度の寄与度で見ると公立高校授業料が-0.39、私立高校授業料-0.10であり、合計-0.49である。したがって、-0.9の約半分は説明できるが、それ以上に下がっている項目が多々あるということであり、デフレ基調は依然として強いといえよう。ちなみに、寄与度で見ると、プラス要因は生鮮食品0.18、ガソリン0.17、灯油0.10であり、マイナス要因は高校授業料の-0.49、生鮮食品を除く食料-0.33、その他-0.53であり、マイナス項目が強いといえ、明らかに、デフレ圧力が全体的にかかっているといえよう。
さて、そこで、食品スーパーマーケットに関係の深い食品に関してであるが、同年前月比で見ると、食品全体は-0.5%となり、全体よりやや低い数字であるが、デフレ基調であるといえる。大分類に関しては、穀類-2.8%、魚介類-2.1%、肉類-1.3%、乳卵類-0.7%、野菜・海藻5.8%、果物2.7%、油脂・調味料-0.5%、菓子類-1.9%、調理食品-2.0%、飲料-2.0%、酒類-1.4%という状況である。野菜・海藻、果物だけが相場高の影響があったといえ、大きくプラスとなっているが、その他はすべて物価が下がっている状況である。この野菜・海藻、果物に関しては、先に公表された食品スーパーマーケット業界の数字とも合致し、7月度は青果の売上げが堅調であったが、それを裏付ける結果となったといえよう。
そこで、その青果についての状況をみて見たい。キャベツ28.3%、かんしょ24.0%、ほうれんそう23.7%、にんじん23.5%、ピーマン22.4%、かぼちゃ20.8%、なす20.0%と、以上が20%以上高い項目である。ついで、5%以上の項目が、れんこん 19.9%、きゅうり17.8%、さやいんげん17.0%、ながいも14.1%、ばれいしょ13.8%、はくさい10.7%、ねぎ9.8%、だいこん9.8%、たまねぎ9.1%、レタス7.0%、えだまめ6.1%、トマト5.3%である。一方、果物であるが、ぶどうA20.3%、りんごB12.7%、すいか11.3%、もも8.2%、ぶどうB5.9%という状況であり、野菜、果物ともに、かなり高い相場であったことがわかる。
逆に、デフレに拍車をかけている食品の項目であるが、大分類では穀類-2.8%、飲料-2.0%、調理食品-2.0%などであり、その中身を見ると、スパゲッティ-9.2%、小麦粉-6.3%、食パン-3.8%、あんパン-3.4%、 国産米A-3.1%、カレーパン-3.1%、ブレンド米-3.0%、ミネラルウォーター -7.5%、果実ジュース-4.1%、茶飲料-3.4%、コーヒー飲料-2.9%、緑茶-2.2%、炭酸飲料-2.2%、スポーツドリンク-2.1%、うなぎかば焼き-6.7%、混ぜごはんのもと-6.7%、冷凍調理ピラフ-4.4%、冷凍調理コロッケ-4.1%、おにぎり-3.1%、調理パスタ-2.7%、からあげ-2.7%、コロッケ-2.2%、カツレツ-2.1%となる。
このように、2010年7月度の消費者物価指数(CPI)は、依然としてデフレ基調が鮮明であり、猛暑の影響で相場高となった野菜、果物の上昇を吸収し、食品では-0.5%となるなど、厳しい状況であるといえる。ここ数ケ月の傾向を見る限り、デフレ基調であり、当面、消費者物価はデフレが続くものと予想される。食品スーパーマーケット業界としては、猛暑関連の商品をしっかり売り込みつつ、デフレ関連商品の品揃えの見直しを行い、重点商品の販売を再度確認することがポイントとなろう。
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