日経MJ、8/4、2009年度、卸業調査結果を公表!
8/4の日経MJで、恒例の2009年度、卸売業調査結果を公表した。1面の見出しは、「卸大手、業際超え連携」、「「生活」軸に売り場提案」、「危機感バネに潜在需要開拓」、「リストラで利益を捻出」であり、連携、リストラが2009年度のキーワードといえよう。ちょうど、この7月に食品卸の三菱商事系4社が経営統合の協議を開始したとの報道がなされた。4社とは、菱食(1兆3,847.50億円:日経MJから)、明治屋商事(3,134.02億円)、フードサービスネットワーク(3,129.02億円)、サンエス(2,034.73億円)であり、単純合計で売上高は2兆2,145.32億円となり、実現すれば、食品卸No.1の国分1兆4,273.13億円を抜き、断トツのトップとなる。当然、これが業界大再編成へと大きく動く契機となることは必至であり、連携がまさに卸のキーワードといえよう。
ちなみに、日経MJの調査結果によれば、食品卸のベスト10は、No.1国分(1兆4,273.13億円)、No.2菱食(1兆3,847.50億円)、No.3日本アクセス(1兆3,605.84億円)と、この3社が1兆円を超える。ついで、No.4加藤産業(6,539.24億円)、No.5伊藤忠食品(6,221.81億円)、No.6三井食品(5,112.25億円)、No.7日本酒類販売(4,841.07億円)、No.8旭食品(3,639.76億円)、No.9明治屋商事(3,134.02億円)、そして、No.10フードサービスネットワーク(3,129.02億円)である。したがって、今回の経営統合の動きはNo.2、No.9、No.10、そして、ベスト10には入っていないが、No.15が経営統合を模索しているとのことあり、業界へのインパクトは大きいといえよう。
そして、もうひとつのキーワード、リストラであるが、日経MJの記事によれば、「食品卸全体の粗利益額は08年度比0.2%減ったが、経費を削ることで粗利益の目減りを吸収した結果、販売管理費は08年度比1.6%減と粗利益額の減少率を上回った。」とのことである。さらに、記事では、「ここ数年、収益を圧迫していたのは、小売業が自社専用の物流センターに商品を搬入する際に、商品を搬入する卸に請求する使用料「センターフィー」だった。この負担増が一服したことも増益の一因となったもようだ。」とのことであり、卸売業が販売管理費を圧縮した結果の増益であり、まさに、リストラがキーワードといえよう。
実際、食品卸No.1の売上高の国分の数字を見てみると、国分がホームページで公表している数字では、2009年12月期決算数字は売上高1兆4,273.13億円(昨対97.0%)、売上総利益1,203.49億円(売上対比8.43%:昨対99.2%)であり、売上高、粗利ともに苦戦しているといえる。ただ、売上高の減少以下に、粗利の減少を抑えているので、原価は改善しているといえ、この厳しいデフレ環境、小売業のPB戦略の中、健闘しているといえよう。そして、問題の経費であるが、1,082.31億円(売上対比7.58%:昨対96.3%)と、粗利以上に経費の削減が進んでおり、まさに、リストラ効果といえ、国分が粗利の改善以上に経費の削減にメスを入れ、売上高の減少を食い止めた構図である。結果、営業利益は121.17億円((売上対比0.85%:昨対135.2%)と、大幅な増益となった。
国分以外でも、日経MJによれば、食品卸各社の営業利益の伸び率は菱食(営業利益率39.3%)、日本アクセス(営業利益率23.4%)、加藤産業(営業利益率45.9%)、伊藤忠食品(営業利益率16.7%)、三井食品(営業利益率19.3%)、日本酒類販売(営業利益率6.1%)と、トップ卸売業の利益率はすべて大幅な増益であり、ベスト100を見ても、約30社ぐらいが減益であり、結果、約70%が増益と売上高の減少とは対照的に営業利益は好調である。したがって、食品卸売業界全体が営業利益に関しては売上高が伸び悩む中、好調な結果となり、まさに、業界全体が経費比率を改善、すなわち、リストラに取り組んだ結果といえよう。
食品卸売業界は今後、伸び悩む売上高をいかに確保するかが課題となり、まさに、その解決策がはじめのキーワード、連携となろう。日経MJの1面の記事には、7/21の日本アクセスのさいたまスーパーアリーナでの恒例の商品展示会の取材内容が掲載されており、その中で、「・・ある一角にスーパーのバイヤーらが興味深く見入っていた。「総合生活提案」のブースだ。・・」という内容がある。これは、「・・日本アクセスが業務提携する日雑品卸のあらた、医薬品卸のアルフレッサホールディングスと共同で設けた。いくつかのテーマに沿って、医薬品、食品、日用品を混合させた売り場作りを提案する内容だ。例えば、「かぜ対策」、・・」というコーナーである。これは、単に売場提案に留まらず、異分野の卸売業の連携を示唆しているといえ、今後、売場はもちろん、食品卸業界を超え、他の卸売業界との再編も同時に起こってゆくものと思われる。
このように、日経MJの恒例の特集記事、2009年度、卸売業調査は現状の卸売業の実態が特集されているだけでなく、今後の卸売業の方向も垣間見え、リストラという現状と連携という今後のキーワードを象徴している数字がまとめられているといえ、興味深い調査結果といえよう。まずは、三菱商事系卸4社、菱食、明治屋商事、フードサービスネットワーク、サンエスの行方が気にところであるが、これ以外にもいつ、再編の記事が報道されてもおかしくない状況にあるといえ、卸売業の今後の動向から目が離せない状況が続くといえよう。
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