客数PI値、PI値を支える隠れた重要指標!
客数PI値はPI値の指標の中では古くて新しい指標の1つだ。古くてとは、以前から一部の食品スーパーマーケットでは支持率という指標で、大分類に活用しており、野菜の支持率は70%とか、果物の支持率は30%とかという風に日常的に使われていた。いまでも、同様に使われているケースは多々あり、支持率という指標で客数PI値が使われているケースは意外に多いのが実態といえる。ただ、PI値とどう違うのかというと、理論的に突き詰められていない場合が多く、支持率もPI値も同じと思っている方もいる。したがって、単品ではPI値を使いながら、部門では支持率、すなわち、客数PI値を同じ指標として使っている場合もあり、ある意味、ユニークな実践的な使い方であるといえよう。その意味で、客数PI値は古くて、新しい指標であるといえよう。
ちなみに、多くの事例で、支持率、すなわち、客数PI値とPI値との相関をとると、きれいに右上がりの直線上に商品が並び、相関性が極めて強いといえる。したがって、支持率とPI値は極論すれば、どちらを使っても戦略上は問題ない指標であるともいえる。支持率=客数PI値と見ても、実務上は問題なく、PI値が上がれば支持率も上がり、支持率が上がればPI値も上がるという関係が強いといえ、どちらをメインにしても、結果は同じ方向に動くともいえる。もちろん、例外もあるので、それはそれで気をつける必要があるが、大部分はこの関係が強いといえる。
さて、ここでは改めて支持率、すなわち、客数PI値について考えてみたい。客数PI値とは理論的にはPI値を構成する一指標である。数式にすると、PI値=客数PI値×部分PI値のことである。ここで部分というのは、大分類、中分類、小分類、単品などの商品分類やレイアウト、ちらし、ID取得が可能であれば、男性、女性、年齢、そして、リピート、トライアルなど様々な部分、全体に対しての部分となる。一般にPI値は買上点数÷全体客数(レシート)である。これに対して、部分PI値は買上点数÷部分客数(レシート)であり、この部分が様々な部分となる。そして、問題の客数PI値は部分客数(レシート)÷全体客数(レシート)であり、したがって、掛けると部分客数(レシート)が約分され、PI値そのものとなる。これが、支持率、すなわち、客数PI値の正体である。
したがって、支持率とPI値の関係は部分PI値で結ばれた関係にあるといえ、必ず、PI値=客数PI値(支持率)×部分PI値という関係が背後に存在しているといえる。先の野菜でいえば、野菜のPI値=野菜の買上点数÷全体客数(レシート)であり、通常、100%を優に超え、150%から200%となるが、支持率、すなわち、客数PI値は野菜の客数(レシート)÷全体客数(レシート)であるので、100%を超えることは理論的にありあえない数字であり、常に、100%の中で動くことになる。これに対し、部分PI値は野菜の買上点数÷野菜の客数(レシート)であるので、常に100%を超え、200%もざらに存在し、500%、1,000%という数字も理論的にはありうる数字である。
これまで、このような客数PI値がPI値のように食品スーパーマーケットでは一般化しなかった理由は、部分客数、すなわち、レシート枚数が全体のみで把握され、部門、中分類、小分類、さらには単品まで正確に把握することが技術的に中々難しかった点がある。そして、もうひとつは、PI値=客数PI値×部分PI値という理論的な関係が理解されなかった点にもあるといえよう。
ただ、仮に、この客数PI値が大分類だけでなく、中分類、小分類、単品にまで落とし込むことができ、しかも、それをPI値=客数PI値×部分PI値に分解できたら、何が便利になるだろうか。メリットはいくらでもあるが、代表的なものをいくつかあげて見たい。まずは、レイアウトの診断に活用できる。この場合は、中分類か小分類の客数PI値が望ましいといえよう。この時の客数PI値の違いを見ることにより、入店客数の何%の方がその商品を購入したかがわかり、それはそのままレイアウトの良し悪し、すなわち、動線との関係をかなり強く反映しているといえ、そのままレイアウトの診断、そして、改善、その後の検証に活用可能である。
もうひとつ例をあげると、単品のカット基準に応用が可能である。ここでは、客数PI値のついとなっている単品PI値の応用である。PI値=客数PI値×単品PI値となるが、この単品PI値は単品の売上数量÷単品の客数(レシート)となる。したがって、最低でも1個は買っているので、必ず100%は超える。したがって、120%、150%の単品があれば、これは顧客が2個、3個とまとめ買いをする単品であり、可能な限りカットしない方が良いといえよう。単純な全体客数のPI値では絶対に見えない指標であり、単品管理の新たな指標のひとつといえよう。
このように、客数PI値は応用範囲が広く、単純な全体客数で割った全体PI値では見えない世界を見せてくれる。そして、工夫次第で様々なマーチャンダイジングの改善、すなわち、仮説づくりにつながり、しかも、検証も可能である。客数PI値を算出することができるのであれば、是非、客数PI値を使い、より、実践的な、そして、顧客の真の消費実態により近いマーチャンダイジングの仮説づくり、そして、検証に活かして欲しいところである。
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