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August 08, 2010

マクドナルド、7月異常値、既存店売上高、急上昇!

   マクドナルドの7月の数字が異常値である。ここ数ケ月、売上高が伸び悩み苦戦していたが、7月度は一転、売上高が好調である。この数ケ月間の売上高の数字を追って見ると、5月度-0.6%、6月度-3.1%に対して、7月度 5.8%(昨年2.6%)であるので、昨年も伸びているが、今年はさらに伸び、しかも、5月、6月のマイナスが大きくプラスに転じている。さらに、その中身を見ると、既存店売上高9.8%、客数4.6%、客単価5.0%であり、客数、客単価ともにバランスよく伸びている。通常、売上高が急変する時は、客数か客単価か、どちらかが極端に伸びるケースが多いが、この7月度のマクドナルドの数字は双方バランスよく伸びており、まさに、理想的な伸びといえよう。

   マクドナルドは過去3年間の売上高を公表しているが、それを見ても、今回の7月度のように客数、客単価がバランスよく伸びて、既存店の売上高を押し上げたのは、2010年2月9.1%(客数3.2%、客単価5.2%)、2009年3月6.8%(客数3.3%、客単価3.4%)、2008年10月6.3%(客数2.3%、客単価3.9%)のみであり、1年に1回ぐらいのことであり、それほど、客数と客単価のバランスをとることは難しいことである。特に、マクドナルドは、これまで客数か客単価のどちらかに極端に走るケースが多く、ジェットコースターのような売上高アップの政策が打たれており、その意味でもこの7月度は抑制の効いたバランスのよい政策が打たれたものといえよう。

   そこで、この7月度の政策を見てみると、「7月度は、「チキンバーガー ソルト&レモン」「チキンバーガー オーロラ」「ジューシーチキンセレクト」を販売開始し好評を得ております。また、6月より実施しておりますチキンのサンプリングは、当初目標の1000万人を達成しました。マクドナルドのチキンの美味しさとバリューを実感していただくことにより、多くのお客様がファンになっていただけていると確信しております。さらに、7月26日に開始しました「フードストラップ」キャンペーンが好調に推移しております。朝食時間帯におきましては、朝の\100マック「ソーセージマフィン」が大好評をいただいており、販売時間帯の売上と客数を大きく牽引しております。」とのことである。

   特に、この7月からチキン分野への本格的な参入がはじまり、6月からはじめた1000万本のサンプリング、7月からのチキン関連の新製品のあいつぐ発売等が客数、客単価の相乗効果を生んだものといえよう。マクドナルド自身も、「マクドナルドはチキンでもNo.1を目指します。」とのことで、今後、さらに、チキンの第2弾、第3弾が続くと思われ、8月、9月もチキンの熱い戦いがファストフード業界全体で繰り広げられるものといえよう。

   このような好調な売上高を達成する一方、マクドナルドは現在、激しいリストラ戦略を実施している。マクドナルドによれば、「当第1四半期連結会計期間に決定した433店舗の戦略的閉店について、当第2四半期連結累計期間に閉店した211店舗に関しては、店舗閉鎖損失として36億20百万円を特別損失に計上しており、第3四半期連結会計期間以降に閉店を予定している222店舗に関しては、合理的に見積もられる損失額を店舗閉鎖損失引当金繰入額として67億59百万円を特別損失に計上しております。」とのことであり、今期中に433店舗を閉鎖する予定である。

   第2四半期(1/1から6/30)現在、マクドナルドの店舗数は3,484店舗であり、すでに250店舗を閉鎖している。その内訳は、リストラ計画外の閉店も含め、直営184店舗、フランチャイズ66店舗であり、急激な閉店の実施である。後半も同様、大量閉店の予定であり、ほぼ全店の10%に当たる店舗数となる。であるにも拘わらず、この7月度は先に見たように好調な売上高であるといえ、極めてバランスのよいスクラップ&ビルドではなく、スクラップ&商品力強化が功を奏しているといえよう。

   ちなみに、今後のマクドナルルドの店舗戦略であるが、「24時間営業店舗の推進(当第2四半期連結会計期間末現在1,777店舗)、ドライブスルー店舗の推進(当第2四半期連結会計期間末現在1,291店舗)、店舗改装(当第2四半期連結累計期間45店舗、うち「新世代デザイン店舗」13店舗)により顧客基盤の拡大に努める、・・」とのことで、特に、ドライブスルーが重要な出店戦略となるという。8/5の日経でも5年後には2,000店舗にまで増やす計画であるとのことで、ドライブスルーがマクドナルドの戦略店舗、大きな柱となるものといえよう。

   このように、マクドナルドのこの7月度はここ数ケ月の動きとは一転、好調な売上高となり、しかも、既存店が大きく伸び、客数、客単価ともにバランスよく伸びるという理想的な売上高となった。しかも、現在、店舗の大量閉鎖が進んでいる中での売上高の伸びであり、ここでも、しっかりバランスがとれているといえる。後半も大量閉鎖は続き、今期400店舗を優に超えるが、この7月度の数字を見る限り、今後も絶妙なバランスの取れた数字となる可能性が高く、スクラップと商品力強化がうまくかみ合っていくものといえよう。いよいよマクドナルドも7/1から後半戦に入ったが、この7月度を見る限り、好調なスタートを切ったといえる。今後、No.1を目指すチキンにおいて、どのような新製品が投入され、商品力強化が打ち出されるか注目したい。

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