オーエムツーネットワーク、最新の決算を見る!
前回の鮮魚専門店に引き続き、今回は精肉専門店、オーエムツーネットワークについて、その最新決算について取り上げて見たい。この業界では何といってもNo.1は非上場ではあるが、ニュークイックであり、全国に140店舗(食品スーパーマーケット18店舗)を展開し、年商は539億円(2010年3月期)である。ちょうど鮮魚専門店No.1の北辰が約500億円であるので、奇しくも、鮮魚専門店、精肉専門店のトップが約500億円の年商である。残念ながら青果専門店は上場企業がまだなく、非上場であるが、この業界トップクラスの澤光青果、九州屋ともに200億円台であり、鮮魚、精肉専門店が売上げにおいても、上場企業を誕生させ、経営を公開したことにおいても、一歩先んじたといえよう。
さて、そのオーエムツーネットワークであるが、創業は昭和33年と古く、島根県が創業の地であり、大久保養鶏所からスタートした。その後、地元益田市に精肉専門店を開き、精肉専門店のチェーン展開をはじめた。平成元年には有限会社大久保養鶏所から株式会社オオクボへと社名、会社形態を変えた。そして、平成11年、日本証券業業界に店頭登録し、翌年、社名を現在のオーエムツーネットワークに変更し、その後、平成16年にジャスダックに上場し、現在に至る。ただ、この間、M&Aを頻繁に行い、業績を拡大する一方、平成17年には逆に、こてっちゃんで有名なエスフーズがM&Aをかけ、エスフーズの連結子会社となる。現在、エスフーズはオーエムツーネットワークの48.86%の株式を所有しており、オーエムツーネットワークの経営権を掌握している。
したがって、オーエムツーネットワークは現在、エフフーズの子会社であり、エフフーズと一体となった経営戦略の中で動いている。そのオーエムツーネットワークの2010年1月期の決算結果であるが、売上高312.73億円(-4.2%)、営業利益12.29億円(11.0%)、経常利益13.54億円(12.3%)、当期純利益 4.62億円(3.7%)であり、減収増益の決算となった。売上高が減少したのは、現在、赤字店舗の見直しを優先して取り組んでいるためであり、今期も、「開店は6店、閉店は19店であり、その結果、当連結会計年度末の店舗数は152店になりました。内訳は食肉小売店舗127店、惣菜小売店舗25店であります。」とのことで、閉店が開店を大きく上回ったためである。
オーエムツーネットワークは現在、小売業、製造加工部門、外食業の3つの事業展開をしており、その売上高はそれぞれ、209.25億円(-4.8%)、58.72億72(1.1%)、44.75億円(-7.9%)という状況である。したがって、精肉専門店は全体の約70%弱であり、1店舗当たり1.37億円であり、かなりの小規模店舗が存在するといえ、今後ともさらにスクラップ&ビルドが続くものといえよう。鮮魚専門店が1店舗平均10億円の角上魚類が誕生している現状を見ると、精肉専門店としても、もう一段規模の拡大を目指したいところであろう。
そこで、原価、経費面、営業利益であるが、原価は64.04%(売上総利益35.96%)である。これは、鮮魚専門店の魚喜の原価57.66%(売上総利益42.34%)、魚力の原価58.43%(売上総利益41.57%)と比べ、約5%強低い数字である。これに対して、経費の方であるが、32.02%と、魚喜の経費42.26%、魚力の経費38.17%と比べかなり低い数字である。したがって、鮮魚専門店と比べ、原価よりも経費に重点が置かれたマーチャンダイジング戦略といえよう。ちなみに、テナント経費、家賃であるが、それぞれ、5.41%、3.37%であり、合計8.78%であり、百貨店、GMS、食品スーパーマーケット等のインショップ戦略をメインとしているため、経費の中の大きな構成比を占めているといえる。結果、営業利益は3.93%と高い数字を達成しており、今期は11.0%と好調な結果となった。
一方、財務面であるが、純資産比率は53.14%と安定した数字であるが、負債の主な項目は有利子負債が20.89億円であり、総資産126.94億円の16.45%、買掛金が19.65億円(15.47%)であり、この2つの項目で合計31.92%と大半を占めている。そこで、資産の方であるが、現金42.78億円(33.70%)と圧倒的であり、これが最大の資産である。ついで、建物及び構築物が16.95億円(13.35%)、敷金及び保証金13.19億円(10.39%)、テナント未収入金12.15億円(9.57%)となり、これで合計が総資産の67.01%となり、これらが主な資産である。それにしても、現金が極めて大きいのが特徴といえ、機動的なキャッシュの保有が経営の大きなポイントとなっているといえよう。
このように精肉専門店、オーエムツーネットワークの決算を見ると、鮮魚専門店よりも原価が低く、経費も低いのが特徴といえる。また、1店舗当たりの売上げもかなり小さいといえ、小規模な多店舗展開を中心に事業の拡大を図ってきたといえよう。食品スーパーマーケットの鮮魚と精肉の売上構成比はほぼ同じ数字、約10%であることを見ると、精肉専門店も鮮魚専門店同様、もう一段と大規模化しても良いと思われる。オーエムツーネットワークが現在スクラップ&ビルドのスクラップ優先の営業戦略をはかっているのは、その意味では、正解といえよう。今後、どこまで、オーエムツーネットワークが現在の経営構造を変革してゆくかに注目である。
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