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September 10, 2010

2010年度版、最新の農林業センサス(速報)を見る!

   9/7、農林水産省、大臣官房統計部から、2010年世界農林業センサスの概要(暫定値)が公表された。センサスとは聞きなれない言葉であるが、農林水産省によれば、「古代ローマに”センソール”という職の役人がいました。この役職は、5年ごとにローマ市民の数などを調査することを職務としており、センソールが行う調査を”センサス”と呼んでいたといわれています。 このことから、センサスとは、通常すべての客体を調査対象とし、個々の客体について調査票を用い、全般的な多項目にわたる調査を行うことを意味します。」とのことで、ローマ時代の調査名がその由来だという。

   この農業センサスには2つの調査があり、FAO(国際連合食糧農業機関)が世界的規模で提唱した「1950年世界農業センサス要綱」に沿って実施された10年ごとの調査と、日本独自の中間、5年ごとの調査とがあり、今回2010年度版は、戦後13回目となる調査であり、この2つが重なる世界農業センサスと日本独自の農業センサスとの合同センサスである。また、その内容は大きく2つに分かれての調査となっており、農林業経営を把握するために個人、組織、法人などを対象にして実施する調査と農山村の現状を把握するために全国の市町村や農業集落を対象に実施する調査に大別され、それぞれ調査票が違う。ちなみに、現在、PI研で取り組んでいる直売所関連の調査は後者、全国の市町村に対して実施する調査であり、農業経営者への調査項目にはない。

   さて、その速報結果であるが、すでに、各新聞等、報道機関がここ数日取り上げているので、その見出しをいくつか追ってみると、「農業人口、5年で22%減 過去最大の落ち込み・・(日経新聞9/6)」、「農業就業人口、5年で22%減…最大の落ち込み、・・(読売新聞9/7)」、「就農人口、過去最大の22%減 高齢化進み離農相次ぐ、・・(朝日新聞9/6)」、「農業就業人口 最大の減少幅に、・・(NHK9/7)」、「農業人口、5年で22%減=減少率最大、高齢化が要因、・・(時事通信9/6)」などである。各社、農業就業人口に焦点を当てた報道をしており、特に、女性の農業就業人口の減少と、高齢化がその原因であるとの報道である。

   また、ユニークな角度からのものでは、「就農人口減少 収益と魅力高める工夫を、・・(琉球新報9/9)」の中で、沖縄ならではの発想を展開している。その骨子は、「農産物を医療や食品製造業、バイオ産業などの分野でも積極活用し、より魅力ある商品づくりに知恵を絞りたい。新規農業参入者に貸した農地への優遇措置など、新しい制度設計にも取り組まなければならない。」であり、興味深い内容である。また、「農業人口減少 急がれる担い手の育成、・・(北海道新聞9/8)」では、「農水省は最大の原因を高齢化による離農と説明している。だが、問題はむしろ、引退する農家を継ぐ若手がいないところにある。」という視点を導入しており、農業就業人口の減少の原因は継ぎ手(担い手)にあるとしている点である。そして、「肝心なのは、農業が将来性のある魅力的な職業であることだ。そのため、政府は、意欲ある生産者に規模拡大とコスト削減を促し、農業の足腰を強くする政策を実施しなければならない。」と解決の方向は規模拡大とコスト削減にあるとしており、北海道ならではの方向性が打ち出されていることである。

   そこで、実際の農業センサス2010の暫定値(速報値)を見てみたい。各社が報道している根拠となっている調査結果であるが、Ⅰの農林業経営体調査、1全国の(3)のウ、農業就業人口の集計である。この数字を見ると確かに衝撃的な数字であり、平成22年の農業就業人口は260万人(男性130万人、女性130万人)、平均年齢65.8歳という結果となっている。そして、全体が5年前の平成17年度の335万にと比べ22.4%、平成12年度の389万人と比べ33.1%の減少となっている点である。問題はその原因が女性と高齢化によるところが大きいとのことで実際、女性は平成17年度は179万人(27.5%)であり、男性の156万人(16.6%)と比べ、大きく減少していることである。また、全体の平均年齢も63.2歳から65.8歳と高齢化が一層進んでおり、この傾向が鮮明であるといえる。

   まさに報道の通りであるが、農業センサスはこの調査結果を含め、約20項目あり、これ以外にも2010年度の農業の実態は様々な角度から分析されている。そこで、これらについては、稿を改め、再度、農業センサスの全体像について取り上げてみたい。

   なお、農業センサスでは、直売所についても、前回の5年前の調査よりも踏み込んで調査しており、新たに産地直売所の数と運営主体を農産村地域調査表の中の2に加えており、より、精度の高い分析がなされている。それによると、2010年度は全国に16,824件の直売所があり、前回5年前の13,538と比べ24.3%増加しており、農業就業人口とは全く反対の傾向が見られる。ちなみに、全国No.1は千葉県の1,209件であり、最も少ないのは沖縄県の85件である。

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