丸和、2010年1月期、中間、依然厳しい決算!
親会社、ユアーズのものとで経営再建中の丸和が9/13、2010年1月期、第2四半期決算(中間決算)を公表した。現在、丸和は、事業再生のADR手続きに入っており、この10/22には第3回債権者会議を開催する予定であり、そこで全取引金融機関の合意による事業再生計画案の成立を目指している。その直前の中間決算の公表であり、その結果が注目されていた。結果は、売上高170.45億円(-9.6%)、営業利益-0.48億円(昨年-1.96億円)、経常利益-2.06億円(昨年-3.36億円)、当期純利益-8.59億円(-4.09億円)となり、減収減益、営業利益の赤字幅の縮小は見られるが、依然として厳しい決算が続いている。特に、当期純利益に関しては、「事業構造改革に伴う特別損失として事業構造改善費用1億35百万円、減損損失4億73百万円等の特別損失計上によりまして、・・」とのことで、赤字幅が拡大したとのことである。
丸和がこの中間決算期に取り組んだ内容としては、「事業再生計画案の一環として、前連結会計年度より事業構造改革を推進しており、不動産賃貸借契約の見直しや、経営資源の選択と集中による全社の利益構造極大化を推進するために、エリアドミナント戦略の見直しを実施し、自社競合による影響の回避、物流網、管理コスト等の効率化の観点より、当第2四半期連結会計期間にて不採算及び小型店舗を中心に5店舗(古市店・阿川店・小串店・東長府店・仁位店)の閉鎖を実施しており、当第2四半期連結会計期間末現在の店舗数は47店舗となりました。」とのことである。したがって、減収の要因はこの5店舗の閉鎖による影響が大きかったが、結果、営業利益の赤字幅は縮小しており、一定の効果があったものといえよう。
そこで、さらに、原価、経費面から営業利益の状況を見てみたい。まずは、原価であるが、73.83%(昨年74.24%)と、-0.41ポイント改善された。ここへ来て食品スーパーマーケットの価格競争は一層激しさを増している。丸和自身も、「個人消費低迷への対応策としてプライベート商品を中心とした値下げ競争等による企業間競争の激化により、客単価の減少が明らかとなり、デフレ基調での非常に厳しい経営環境が続いております。」との厳しい認識を示しており、価格競争の激化が進んでいるといえよう。結果、売上総利益は26.17%(昨年25.76%)となった。一方、経費の方であるが、27.51%(昨年27.85%)と、経費も-0.34ポイント削減された。結果、原価、経費ダブルで利益が改善されており、経営改善が確実に進みつつあるといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.34%(昨年-2.09%)と依然としてマイナスではあるが、そのマイナス幅は半減しており、マーチャンダイジング力が増したといえよう。これに、不動産収入、物流収入等が1.06%(昨年1.04%)のり、営業利益は-0.28%(昨年-1.05%)となった。営業利益もマイナスが続いているが、そのマイナス幅は約1/4となっており、今後、経営改革が一層進み、原価、経費の改善がもう一段と進めば、営業黒字も視野に入ってくるといえよう。
今後、丸和としては、「事業再生計画の具体的な内容といたしまして、親会社との一体による事業再建および経営効率の更なる向上を目指し、①事業面においては、(a)更なる不採算店舗の撤退等(具体的店舗名等については確定次第速やかに公表いたします)、(b)グループ全体における新規出店、既存店舗投資の積極化、店舗フォーマットのモデル統一、(c)会社規模に見合った費用構造への転換やグループ全体での効率経営の一層の追求等の諸施策を行うことにより改善させてまいります。②財務構造においては、(a)上記事業改善による損益構造の改善、(b)取引金融機関に対して金融債務のデット・エクイティ・スワップも含めた抜本的な金融債務のリストラクチャリング、(c)主力金融機関等からの運転資金融資枠の設定等によって、安定化を目指していく所存であります。」とのことである。また、9/13には、この中間決算の公表と同時に、「親会社との合併の対価の内容の決定に関するお知らせ」を公表しており、この中で、「本合併の対価として、ユアーズを除く当社の株主に金融商品取引所に上場されていないユアーズの普通株式を割り当てます。」とのことで、来年5月に合併予定であるが、株主にはユアーズの普通株式が割り当てられるとのことである。
このように、丸和の2010年1月期の中間決算が公表されたが、結果は、依然として減収赤字決算と厳しい経営状況が続いているが、その中身は原価、経費、双方の改善が見られ、営業利益の赤字幅は確実に縮まっており、改善の効果が見られる。今後、丸和はADRによる事業再生を進め、9/14、第2回債権者会議、そして、10/22、事業再生案が決議される第3回債権者会議と進み、来年にはユアーズによる合併となる予定である。この中間決算を見る限り、経営改善は進んでいるといえるが、黒字を確保するには、なお一層の改革が必要であるといえる。したがって、9/14の第2 回債権者会議の協議を経て、10/22の第3回目の債権者会議における事業再生計画の各金融機関からの承認が得られ、金融機関からの全面支援が得られるどうかが注目といえよう。
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