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September 27, 2010

ハローズ、2011年2月期、中間決算、増収増益!

   ハローズが9/24、2011年2月期の中間決算を公表した。食品スーパーマーケット業界の上場企業2月度決算企業としては最初の決算であり、今後、続々と食品スーパーマーケットの決算が公開される予定である。その結果であるが、売上高356.64億円(3.6%)、営業利益13.86億円(35.2%)、経常利益13.20億円(33.1%)、当期純利益7.28億円(32.0%)となり、増収増益の好決算となった。ただ、ハローズ自身は、「猛暑の影響による売上の押し上げ効果が一部見られましたが、消費者の節約志向が続く中、一品単価は低い水準で推移しました。また、業界内では、低価格店への業態転換、異業種からの参入など業種・業態を超えた企業間競争は一層激しさを増し、厳しい経営環境となり、・・」とコメントしており、厳しい経営環境であったとの認識である。

   そこで、このような厳しい経営環境の中で、増収増益、特に、利益が大きく増加した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、77.0%(昨年77.1%)となり、0.1ポイント改善した。結果、売上総利益は、23.0%(昨年22.9%)となった。その要因のひとつをハローズは、「当社プライベート・ブランド商品の「ハローズセレクション」の開発にも注力し、売上高構成比は前事業年度末の7.6%から8.1%に増加、・・」と、原価の低いPBの売上構成比が上昇したことにあるとしており、PBの強化が寄与したといえよう。

   一方、経費の方であるが、22.0%(昨年22.6%)と0.6ポイント下がっており、大きく改善している。これについて、ハローズは、「経費面では、引き続き効果的な広告による販促費抑制、電気使用量の抑制などに取り組み、・・」とのことで、販促費、光熱費の削減に注力したとのことである。したがって、原価、経費、ダブルでの利益改善が進み、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.0%(昨年0.3%)と大きく改善した。前期決算時のマーチャンダイジング力が0.5%であるので、この中間決算は利益改善が大きく進んだといえよう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.9%(昨年2.7%)と、0.2ポイント改善しており、結果、原価、経費、その他営業収入とトリプルで利益の改善が進み、営業利益は3.9%(昨年3.0%)と、大きく改善した。前期決算時は3.4%であるので、前期をも上回る営業利益率であり、この中間決算は理想的な結果となったといえよう。ただ、「新規出店はなく、店舗数は前事業年度末と同じ広島県19店舗、岡山県22店舗、香川県4店舗の合計45店舗、・・」とのことで、成長面では課題は残したといえるが、利益改善は大きく進んだといえ、増収増益の好決算となった。

   では、財務面はどうであったかであるが、今期、ハローズは大きな経営決断をしており、新たな物流センターである早島物流センターの着手に入った。この中間決算でも、物流センターの建設費中間金支払等により、14.46億円の資産が増加しており、実際、キャッシュフローでも25.12億円、有形固定資産に投資しており、その内のかなりの部分が物流センター用といえよう。ハローズの1店舗当たりの資産は約4.5億円であるので、物流センターはかなりの投資であり、新規出店へキャッシュを配分するか、物流センターへ配分するか、その判断が重要であったといえ、今期は物流センターへの投資を優先させ、新規出店がこの中間決算時にはなかったものといえよう。ただ、「早島物流センターの稼動による調達・物流の効率化、香川県への出店によるドミナント化の推進と売上増加を図ってまいります。」とのこで、今後、この早島物流センターが完成すると、四国を含め、新規出店にキャッシュの配分が可能となるので、今後、出店が加速するものといえよう。

   そこで、ハローズの出店余力であるが、残念ながら、-27.9%と大きくマイナスとなっている。これは純資産比率が34.3%と低く、その要因が有利子負債が114.58億円と100億円を超え、総資産対比で34.3%と経営に重くのしかかっているためである。一方、出店に係る資産、土地、建物、敷金・保証金等は62.2%となるので、結果、差し引き、出店余力は-27.9%となる。今期はさらに、物流センター関連の資産、負債が増加するため、このバランスは大きく変わらず、今後、物流センター稼働後も、新規出店をはたしてゆくには、マーチャンダイジング力を一層高め、財務改善を行う一方、資金調達も課題となろう。

   このようにハローズの2011年2月期の中間決算は増収増益の好決算となった。その要因は、原価、経費が改善し大きく改善したことにより、マーチャンダイジング力が上昇したことに加え、その他営業収入も増加し、営業利益をトリプルで改善できたことが大きいといえよう。ただ、気になるのは今後の成長性である。将来の成長への布石として、早島物流センターへの着手がはじまったが、残念ながら、財務は純資産比率が34.3%と低い状況であり、出店余力も大きくマイナスとなり、課題が残っているといえよう。今後、ハローズとしては、財務改善が重要な経営課題といえ、どのように経営バランスをとってゆくか、中長期的な戦略に注目である。

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