コンビニ、売上速報、2010年8月度、客単価ダウン!
コンビニの売上速報、2010年8月度が9/23、(社) 日本フランチャイズチェーン協会から公表された。結果は、「前月同様、天候の影響を大きく受けアイスクリームや飲料などの夏物商材が全体を牽引し、既存店ベースの売上高は6,768億円(前年同月比+1.0%)と2ヶ月連続のプラス」とのことで、7月、8月と好調な月となった。ただ、「既存店ベースの来店客数は11億9,800万人(前年同月比+2.9%)と3ヶ月連続のプラスとなったが、平均客単価は565.0円(前年同月比-1.9%)と21ヶ月連続のマイナス」とのことで、客数に支えられた既存店売上高の伸びであり、客単価は伸び悩み、課題を残したといえよう。
このコンビニの統計は、(社) 日本フランチャイズチェーン協会に加盟しているココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、
デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの10社、総店舗数で43,270店舗の集計結果であり、ほぼ、日本全国のコンビニを網羅しているといえ、信頼できる統計数値である。それにしても、客数は伸びたが、客単価が下がっていることは気になるところである。
そこで、その客単価について、さらに、その要因を見てみたい。(社) 日本フランチャイズチェーン協会では、基本情報として、加盟店のコンビニの売上高、店舗数、来店客数、平客単価に加え、商品構成比と前年同月比を公表している。残念ながら、商品別の客単価は公表していないので、ここでは、この数字から逆算すると、全体の客単価は568.8円であり、-1.9%と約2.0%の減少である。先のコメントのように猛暑でアイスクリームや飲料の数字が上昇し、客数は伸びたにも関わらず、客単価は下がっている状況である。
その内訳を昨年8月度の数字も同様に逆算してみると、全体568.8円(昨年580.1円:-1.9%)、日配食品196.3円(昨年201.9%:-2.8%)、加工食品178.6円(昨年174.0円:2.6%)、非食品171.2円(昨年182.1円:-6.0%)、サービス22.8円(昨年22.0円:3.2%)となる。したがって、加工食品とサービスの客単価は伸びているが、残念ながら、日配食品、非食品の落ち込みが大きく、全体の客単価は-1.9%のマイナスとなっており、客単価に関しては、厳しい状況が依然として続いている。非食品に関しては、taspo効果も多分にあると思われ、説明がつくが、日配食品の場合はtaspoの影響は薄いといえ、日配本来の問題であると思われる。
ちなみに、taspo効果が鮮明な2008年度と2009年度の非食品と日配との関係を時系列で過去2年間を追ってみると、2008年1月(日配-0.3%、非食品-0.1%)、2月(3.0%、3.1%)、3月(1.5%、1.3%)、4月(0.5%、3.9%)、5月(3.3%、14.1%)と、ここら辺からtaspo効果が鮮明となる。そして、6月(1.6%、21.3%)、7月(4.9%、26.5%)、8月(3.5%、26.0%)、9月(2.1%、26.8%)、10月(3.8%、28.6%)、11月(3.0%、25.4%)、12月(1.9%、24.3%)とtaspo効果のピークとなる。ここまでを集計すると2008年、1月~12月(2.4%、17.1%)という結果となり、日配と非食品とは強い連動性はないといえよう。
さらに、2009年度に入り、1月(1.7%、26.9%)、2月(-3.4%、22.7%)、3月(-1.8%、23.2%)、4月(-0.9%、23.0%)、5月(-0.8%、10.2%)と、日配がむしろマイナスなりはじめている。また、ここからtaspo効果は薄れ、その影響も一巡することになる。したがって、taspo効果は2008年5月から2009年5月までのほぼ1年間の効果であったことがわかる。そして、その後であるが、6月(-1.8%、3.1%)、7月(-5.4%、1.8%)、8月(-4.6%、-1.0%)、9月(-4.3%、-1.4%)、10月(-3.5%、-1.3%)、11月(-4.1%、-1.9%)、12月(-3.9%、-2.2%)となる。この時期すでに、非食品もマイナスとなり、日配同様、全体の数字に大きな影響が出ていることがわかる。
したがって、非食品がマイナスになるのは、taspo効果が異常値であったため、1年目だけではなく、2年目も影響がでることは理解できるが、日配食品のtaspo効果はほとんどなく、むしろ、2009年2月以降、1年以上厳しい状況が続いているといえ、コンビニにとっては、深刻な状況といえよう。ちなみに、日配は米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、漬物、野菜、青果、水物(豆腐等)、調理麺、卵、加工肉(ハム、ウインナー、ベーコン等)、牛乳、乳飲料、乳製品(バター、チーズ等)、練物(ちくわ、かまぼこ等)、生菓子(ケーキなどの和洋菓子)、サラダ、デザート類(プリン、ゼリー、ヨーグルト等)等であり、まさに、コンビニの中核、ファストフードがその大半を占めるといえる。残念ながら、猛暑の恩恵を受けたアイスクリーム、飲料は加工食品であり、日配には入っていない。
このように、2010年8月度のコンビニの売上高は客数が伸び、何とかプラスに転じたが、その中核商品、ファストフードの属する日配食品のマイナス、taspo効果を引きずっている非食品のマイナスが大きく響き、客単価はマイナス、しかも21ケ月連続でのマイナスであり、猛暑の効果も客単価のマイナスを覆すことはできなかった。これで、猛暑も一段落、今後は、非食品のたばこの値上げの影響も考えられ、客単価をどう立て直すか、特に、日配、ファストフードの動向がポイントとなろう。9月、10月、そして、後半、特に日配の客単価の数字に注目である。
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