マックスバリュ西日本、2011年2月中間、増収減益!
イオングループの食品スーパーマーケット、マックスバリュ西日本が9/27、2011年2月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,173.35億円(7.9%)、営業利益27.06億円(-7.7%)、経常利益28.19億円(-9.8%)、当期純利益14.03億円(-4.3%)となり、増収減益となる厳しい決算となった。この要因について、マックスバリュ西日本は、「競争環境につきましては、GMSを主力業態とする企業が自社エリア内において、SM業態の出店を加速させており、加えてドラッグストアなどの異業種が食品の販売を拡大するなど、相次ぐ競合の出店と価格攻勢の激化により、従来にも増して厳しい状況となっており、・・」とコメントしており、競争環境が急激に悪化したことをあげている。実際、既存店は、「デフレや競争激化等により販売単価の下落に陥り、諸取組みの効果が減殺され、既存店の売上高は減少、・・」とのことで、既存店が-4.8%落ち込んだことが大きかったという。
ただ、利益に反して営業収益は7.9%増加しており、その要因は業態転換を含めて、11店舗の新店をオープンしたことによるところが大きいといえる。現在、マックスバリュ西日本の総店舗数は158店舗であるので、単純計算で11店舗は6.9%となるので、まさに、新店による売上増が要因であるといえよう。その11店舗の新店であるが、「マックスバリュ西今宿店(兵庫県姫路市)、ザ・ビッグ多度津店(香川県仲多度郡)、ザ・ビッグ奥田南店(岡山市北区)、マックスバリュ東加古川店(兵庫県加古川市)、マックスバリュエクスプレス広島駅北口店(広島市東区)、ザ・ビッグ鴨方店(岡山県浅口市)、マックスバリュ三木北店(兵庫県三木市)、ザ・ビッグ笠岡店(岡山県笠岡市)、マックスバリュ町坪店(兵庫県姫路市)、マックスバリュ菅生店(兵庫県姫路市)、ザ・ビッグ神辺店(広島県福山市)」となる。
この内、ディスカウント業態、ザ・ビック4店舗は業態転換であるといい、合計5店舗のザ・ビックがオープンしている。現在、マックスバリュ西日本はこのディスカウント業態、ザ・ビックを中心に新規出店を加速させており、全158店舗の内、26.8%に当たる24店舗がザ・ビックとなり、昨年度の20.3%と比べ、大きくシェアを伸ばしている。いまや、ザ・ビックがマックスバリュ西日本の主力業態のひとつになりつつあるといえる。
では、この積極的な新規出店を支えたキャッシュフローはどのような状況であったかを見てみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、24.46億円(昨年42.48億円)と約20億円弱減少した。これは当期純利益、減価償却費の問題ではなく、仕入れ債務の減少が-11.80億円(昨年10.11億円)であったことが大きかったといえる。ついで、投資キャッシュフローであるが、-37.98億円(昨年-67.60億円)と、約30億円減少している。これは、新規出店関連の資産への投資が-43.61億円(-62.70億円)と大きく減少したことが大きい。ちなみに、前期のマックスバリュ西日本の1店舗当たりの出店にかかわる資産は2.72億円であり、決算公開企業約50社の平均が4.73億円であり、かなり低い資産といえる。したがって、今期の-43.61億円の新規出店関連の資産で見ると、16店舗の新店が可能であるといえ、金額は減少したが、今後も積極的な新規出店が続くものと予想されよう。
そして、財務キャッシュフローであるが、-14.36億円(昨年37.75億円)となり、結果、トータルのキャッシュフローは-27.87億円(昨年12.63億円)となった。したがって、今期は内部留保を取り崩すことになり、現金及び現金同等物が51.97億円から24.09億円となり、大きくキャッシュが減少した。こう見ると、やや財務的には厳しい積極的な新規出店であったといえ、今後、安定、継続的に新規出店をはたしてゆくには、財務の改善が課題といえよう。
一方、営業収益の伸びとは対照的に営業利益が-7.7%と大きく落ち込んだが、その要因を原価、経費面から見てみたい。原価であるが、76.01%(昨年75.44%)と上昇がみられる。結果、売上総利益は23.99%(24.56%)となり、粗利は減少した。これに対して経費であるが、23.91%(昨年23.99%)と若干下がっており、経費の改善は進んだといえよう。結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は0.08%(昨年0.57%)とプラスにはなったが、厳しい結果である。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.28%(昨年2.20%)のり、結果、営業利益は2.36%(昨年2.77%)となり、減益となった。
このように、マックスバリュ西日本の2011年2月期の中間決算は11店舗という積極的な新規出店により増収とはなったが、原価の上昇により、営業利益が減少し、減益となった。特に、競争環境の激化により、既存店が-4.8%となったことが大きかったといえよう。今後、キャッシュフローの動向を見る限り、引き続き積極的な新規出店が続くと思われるが、ややキャッシュ不足の様相を呈しはじめているといえる。したがって、まずは、既存店の活性化をはかり、マーチャンダイジング力を強化し、キャッシュを生み出すことが先決といえる。今後、後半にかけて、マックスバリュ西日本がどのように営業戦略を立て直すか注目である。
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