日経MJ、8/30でバナナを特集!
8/30の日経MJでバナナの特集が組まれた。「買い手の気持ちMARKETING」コーナーでの特集である。見出しは、「味・販促力で「甘熟王」、競る「スウィーティオ」」であり、興味深いバナナの特集記事である。この特集は全国の食品スーパーマーケット、百貨店のバナナのバイヤー360人にアンケートを行い、173人(48.1%)からの回答を得、その結果をバナナのブランド採点と企業採点の2つの角度からまとめたものである。採点方法は総合評価については、回答のあった173人のバイヤーから5点満点で評価してもらい、その合計点であり、満点が865点となる。それ以外の項目は173人のバイヤーが評価できると答えた%で評価している。
ちなみに、バナナは財務省貿易統計によれば、2009年度の輸入量が125万トンで過去最高になったという。特に、この2009年度はバナナブームがあったこともあり異常な年でもあり、大きく輸入量が増えたものといえよう。ただ、2010年度に入り、家計調査データの月別推移を見ると、2010年7月度 12.87円(83.1%)、6月度 15.30円(83.9%)、5月度 14.94円(80.8%)、4月度14.03円(77.7%)、3月度 12.61円(78.2%)、2月度 11.39円(73.2%)、1月度 9.42円(68.9%)という状況であり、2009年度の反動もあり、大きく苦戦しているのが現状である。また、年間の家計調査データで見ると、2009年度の果物の中でNo.1はバナナであり、5,346円(1世帯年間)となる。No.2はりんごの4,726円、No.3はみかんの4,243円であり、No.4がいちごの3,362円であるので、2010年度もベスト3には入る果物の最重点商品である。特に、頻度が100世帯当たり3,081回となり、断トツの高さであり、高頻度な購入がバナナの最大の特徴といえる。
そのバナナのバイヤーからの評価であるがNo.1は甘熟王(住商フルーツ)609点である。No.2がスウィーティオ(ドール)605点であるので、僅差である。No.3がバナージュ(住友フルーツ)307点であるので、甘熟王、スウィーティオが断トツの2トップとなった。まさに、記事の見出し、「競る「スウィーティオ」」であり、どちらが1位になってもおかしくないバイヤーからの評価であったといえる。
そこで、その評価の違いであるが、10ポイント近く差があった項目はネーミングであり、甘熟王71点に対し、スウィーティオ54点であり、ここで17点差となった。ついで、広告・宣伝が甘熟王69点に対し、スウィーティオ60点であり、ここで9点差となっており、この2項目で甘熟王がNo.1、スウィーティオがNo.2となった順位の分かれ目となったといえよう。ネーミングについては、今回12品のバナナがエントリーされているが、日本語銘記は総合評価No.1の甘熟王、No.7の田辺農園、No.9のみやびの3つのみであり、残りはすべてカタカナであり、覚えにくいといえよう。特に、以前、本ブログでも取り上げた果物の購買層の主力は高齢者であることを考えると、甘熟王は絶妙のネーミングといえ、今後、特に輸入果物のネーミングは再考の必要があろう。
このことは、日本バナナ輸入組合が実施した2010年6月度のネットアンケートでも裏付けられている。質問項目の果物を食べる頻度を見ると、毎日果物を食べる割合は70歳以上が最も多く50%を超えているのに対し、20代、30代は約10%であり、圧倒的な差となっている。60歳代も40%を超えており、いかに高齢者が果物と関係が深いかが鮮明である。しかも、別の質問項目、バナナを食べる頻度を見ると、毎日食べるという回答で、最も高い年代はやはり70歳代であり、20%を超える。20代、30代、そして40代は数%であり、60代が20%弱、50代10%強の数字を見ると、明らかにバナナも高齢者に強い果物であることがわかる。
さて、話をもとに戻し、ブランド採点であるが、逆にスウィーティオが甘熟王よりも高得点となった項目であるが、産地イメージ45点(甘熟王39点)、リピート需要65点(甘熟王60点)であり、この2項目がスウィーティオの優位性を示した項目である。ちなみに、この12ブランドの中で、各項目でNo.1の得点をとったのは甘熟王とスウィーティオのみであり、他の10ブランドはNo.1の得点項目がなく、いかに、この2ブランドがバナナの断トツ、トップを走っているかがわかる。
ついで、企業採点であるが、ここでは、スウィーティオのドールが625点と甘熟王の住友フルーツ584点を抜き去り、トップとなった。No.3はフレッシュ・デルモンテ・ジャパン230点であるので、ここでも2トップの断トツのトップは変わらないが、No.1、No.2が逆転した。では、どこに差があったかであるが、企業イメージがドール86点に対し、住友フルーツ74点であり、この高得点をドールが獲得したことが大きいといえる。ついで、販促関連がドール61点、住友フルーツ49点、商品構成がドール65点、住友フルーツ50点等、かなり、差が歴然としており、これらの評価がブランド評価とは逆の結果になった要因といえよう。
このように果物No.1の年間消費金額となったバナナであるが、ブランドは各国から輸入され、しかも、高地開発競争も加わり、豊富になっているが、ブランド、企業は絞られており、甘熟王(住友フルーツ)、スウィーティオ(ドール)の一騎打ちという様相を呈している。2010年度は2009年度のバナナ協奏曲の反動もあり、苦戦気味で推移しているが、中間決算も終わり、後半戦に突入した食品スーパーマーケット業界に対し、2強がどのような提案を行い、食品スーパーマーケットのバナナのマーチャンダイジングがどう変化するか、興味深いところである。
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