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September 06, 2010

菓子パン、POSデータを見る!

   菓子パンは食品スーパーマーケットの商品群の中でも極めて重要なカテゴリーといえる。金額PI値で見ると、間違いなく、ベスト5には入る最重点商品のひとつである。ところが、この重要な菓子パンについては充分なマーチャンダイジングの研究がなされているとはいえず、品揃え、発注、棚割、販促等、現場担当者まかせになっている場合が多い。これは、長い間、食品スーパーマーケットは、各パンメーカーのルートセールスにマーチャンダイジングを委ねていたこともあり、自ら菓子パンのマーチャンダイジングを考えることがなかった点も大きいといえよう。

   そこで、改めて菓子パンのマーチャンダイジングを実際のPOSデータをもとに考えてみたい。まず、菓子パンはどのくらい種類があるかであるが、SKU(Stock Keeping Unit)で、月間約1,000種類である。これは日本全国ほぼ同じといえ、したがって、菓子パンのマーチャンダイジングのスタートは、この約1,000種類の菓子パンの中から品揃えを決定することからはじまる。ここで問題が発生する。いったい、この中からどうやって重点商品を選ぶか、そして、どのくらい品揃えをすれば良いか、さらに、それぞれどのくらい発注をすれば良いかである。

   では、そもそも、この1,000種類の菓子パンのPI値はどのような分布となっているかであるが、残念ながら、菓子パンで1%(食品スーパーマーケットで約200品ぐらいある)を超えるPI値の商品はほとんど存在しない。稀に、3%を超えるお化けのような商品が店舗によってはある場合もあるが、どの店舗でも確実に3%を超えることはない。したがって、まず抑えるべきは、0.5%以上の菓子パンである。これが菓子パンの最重点商品であり、1000SKUの中に約10品ぐらい存在する。ここをしっかり押さえることが、菓子パンのマーチャンダイジングのはじめである。どんな商品があるかであるが、あんパン、ジャムぱん、クリームぱん、マーガリンパン、メロンパン等、いわゆる定番中の定番である。したがって、これら10品が24時間、365日欠品しない重点管理をできるかどうかがポイントとなる。そして、発注を最優先で行うことはもちろん、レイアウト、棚割、POP等、細心の注意を払い管理することが重要である。

   次に、可能であれば、世間で確実に、ほぼ毎日販売されている商品を抑えることである。食品スーパーマーケットであれば、全国どこでも、大小関係なく、財団法人流通システム開発センターへPOSデータを送れば、無料でRDS(Ryutu(POS)Data Service)が取得できるので、菓子パンの1000SKUはもちろん、グロサリー、日配等の自社の地区のPOSデータを見ることができる。なお、余談だが、RDSデータを活用した菓子パンの無料診断サービスを近々にはじめる予定であるので、その時は、是非利用していただければと思う。

   さて、RDSのようなPOSデータがあれば、そこから、カバー率、ないしは客数PI値の高い商品を重点商品に加えることがポイントである。約70%ぐらいで良いと思うが、共通に販売されている菓子パンを加えることである。だいたい20品ぐらいあると思う。RDSデータが入手できない場合は次善の策として、自社のチェーン全体の約70%ぐらいで販売されている共通の商品を加えれば良い。これで重点商品を決定することができ、第1ステップの完了となる。

   次が、第2ステップ、実は、菓子パンでは、ここが決定的なステップ、品揃えの決定である。菓子パンの品揃えは食品スーパーマーケットの売場を見ていても実はわからない。品揃えとは目に見える品揃えと目にみえない品揃えがあるからである。目に見える品揃えは売場を見ればわかるが、目に見えない品揃えは品揃えの変化を読みとることであり、具体的には週間、月間等の総SKUを抑えることがポイントとなる。いわゆる時間軸を加味した品揃えである。したがって、RDS、自社のチェーン全体のPOSデータから月間の品揃えを抑えることである。どのくらいが基準となるかであるが、PI値で月間0.1%水準(1,000人で1個売れる商品)を超えた実績のあるものはすべて押さえたいところだ。

   実際に分析してみると、約1000SKUの菓子パンの中に300SKUぐらい存在する。当然、カバー率、客数PI値はまちまちであるので、できるだけ、その数値が高いものが望ましいといえる。そして、この約300SKUを前提に毎日100SKU前後の品揃えを行い、日々、品揃えを変化させ、月間で300SKU近い品揃えを実現するように計画を立てることである。これは意識的に行わないと実現不可能であり、できれば店長も加わり、毎週簡単なミーティングを開くことが望ましい。ここが菓子パンの最大のポイントともいえ、売上構成比で見てもこの品揃え部分が約70%から80%を占め、菓子パンの数字を大きく左右することになるからである。

   まだまだ、菓子パンの活性化のノウハウはたくさんあるが、この2つのステップが基本である。菓子パンを抑えられれば大概のカテゴリーを抑えることにつながり、しかも、菓子パンは全カテゴリーの中でも金額PI値最大級の商品であり、店舗全体への貢献度も極めて高い商品である。したがって、食品スーパーマーケットの「へそ」ともいえる最重点カテゴリーであるので、担当者のみに任せるのではなく、店長をはじめ、全従業員が参加できるマーチャンダイジングの「いろは」を習得する場としても活用することがのぞましいといえよう。

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