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September 14, 2010

マックスバリュ西日本、北海道、中間決算、明暗!

   食品スーパーマーケット業界の第2四半期決算、中間決算の公表がはじまった。食品スーパーマーケット業界の上場企業はほとんどが2月決算であるが、1月決算も数社あり、その1月度の決算の公表である。いずれもイオングループのマックスバリュであり、マックスバリュ中部9/9とマックスバリュ北海道9/9である。その結果であるが、マックスバリュ中部は営業収益576.10億円(0.6%)、営業利益5.66億円(83.5%)、経常利益6.86億円(120.0%)、当期純利益1.50億円(794.9%)と増収、大幅増益となった。一方、マックスバリュ北海道は、営業収益378.07億円(-1.7%)、営業利益-1.62億円、経常利益-1.66億円、当期純利益-1.61億円となり、減収減益の厳しい決算となった。対照的な決算結果であり、明暗が分かれた。

   そこで、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、マックスバリュ中部であるが、原価は75.76%(昨年75.59%)と0.17ポイント上昇しており、やや上昇がみられる。結果、売上総利益は、24.24%(昨年24.41%)となり、やや減少した。一方、経費の方であるが、25.82%(昨年26.46%)と1.36ポイント減少しており、原価の改善が進んだ。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.58%(昨年-2.05%)と依然としてマイナスであるが、そのマイナス幅は縮まっている。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.60%(昨年2.60%)加わり、結果、営業利益は1.02%(昨年0.55%)となり、大幅な増益となった。ただ、率では1%台であり、食品スーパーマーケット業界決算公開企業約50社の2010年度平均が2.4%であるの、もう一段と改善を望みたいとところであろう。

   これに対し、北海道マックスバリュであるが、原価は76.77%(昨年77.31%)と、-0.54ポイント下がっている。結果、売上総利益は23.23%(昨年22.69%)と、増加した。一方、経費の方であるが、25.50%(昨年26.16%)と0.66ポイント減少しており、経費が改善された。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.27%(昨年-3.47%)と、マイナス幅は縮まったが、依然として大きくマイナスである。これに、その他営業収入が1.84%(昨年1.90%)加わり、結果、営業利益は-0.43%(昨年-1.57%)と、赤字幅は縮小したが、赤字決算は続いており、厳しい状況である。

   こう見ると、マックスバリュ中部は原価の上昇がややみられるが、経費が大きく減少しており、利益の改善につながっている。一方、マックスバリュ北海道は原価、経費ともに改善し、利益をダブルで押し上げたが、依然として、営業利益のマイナスは続いており、もう一段の改善が必要といえよう。この結果に対し、マックスバリュ中部は「低コスト構造の実現に向けた取り組みとしましては、既存店舗の活性化により店舗オペレーションの単純化・標準化及び設備の改善、省エネ設備の導入を図ってまいりました。・・」とのことで、特に、コストへの取り組みを強化したという。一方、マックスバリュ北海道は、「価格競争力を強化した新業態の実験的取組みとして、「プライスマート平岸店」「マックスバリュ岩見沢東店」「ジョイ栄町店」をそれぞれ「ザ・ビッグ エクスプレス平岸店」「ザ・ビッグ 岩見沢店」「ザ・ビッグ エクスプレス栄町店」に業態転換いたしました。」とのことで、原価、経費の低い業態、ザ・ビックへ業態転換の試みを行ったという。

   双方の結果は増収増益、減収減益と明暗が分かれたが、双方、経費の改善が進んでおり、ここへ来て、経費削減が食品スーパーマーケットの経営課題の重点ポイントとなりつつあるといえよう。ただ、双方ともに、原価-経費のマーチャンダイジング力はマックスバリュ中部が-1.58%、マックスバリュ北海道が-2.27%とマイナス幅が依然として大きく、さらなる経費削減、そして、原価改善が課題といえよう。

   この課題を克服するためと思われるが、この中間決算時において、双方ともにディスカウント業態へのシフトを加速しはじめいるといえる。先に見たように、マックスバリュ北海道は、ディスカウントのザ.ビックへの業態転換が始まっており、結果次第では、後半も業態転換店舗が増加することになろう。また、マックスバリュ中部は、ザ・ビッグ エクスプレス荒子店を8/18にをオープンしているが、これはマックスバリュ中部にとってザ・ビック業態の1号店となる店舗である。さらに、これに先立ち、7/30に機構改革を実施している。その中身は、「(1)ディスカウント業態の確立と収益化に向けたDS事業部の新設」であり、今後、ザ・ビックが新業態として、経営に組み込まれ、名古屋地区でも本格的に展開されてゆくことになるものと思われる。

   このように、食品スーパーマーケット業界の中間決算の公表がはじまったが、そのトップを切るマックスバリュ中部は増収増益、マックスバリュ北海道は減収減益となり、明暗が分かれた。ただ、双方とも経費の削減が進んでおり、マーチャンダイジング力は改善しており、今後、経費削減へ向けての取組が一層進むものと思われる。そして、その動きを加速するように、双方、ディスカウント業態、ザ・ビックに本格的に取り組みはじめており、より、コスト削減が進むものと思わる。同時に、当面、デフレを基調の中、価格競争も一層激化することが予想されよう。したがって、今後、後半に向け、経費削減が食品スーパーマーケット業界ではより重要な経営戦略となろう。

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