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September 07, 2010

セブンイレブン、野菜に参入!

   9/4の日経新聞にセブイン-イレブン・ジャパンが野菜への宅配参入の記事が掲載された。見出しは、「セブンイレブン、全国に野菜宅配」、「105円均一、高齢・単身者に的」である。その内容は、セブンイレブンが9/5から生鮮野菜の宅配サービスを全国で展開するというものであり、その品目は白菜、大根、にんじんなど8品目、カットしたり、小分けにしたりし、105円の均一価格で販売するという。宅配代は200円であり、電話またはインターネットで注文を受け付け、午前中注文を受ければ、当日の昼、夕に届くという。また、セブンイレブンの店頭でも受け取ることができるという。

   すでに、この8月に、東京、神奈川、千葉の1都2県で試験的に宅配サービスを実施したところ、猛暑による野菜の価格上昇もあり、1日あたり計8千個以上売れたという。また、すでに設立している農業法人、セブンファームからの農産物の仕入れも検討するとのことで、いよいよ、満を持して、セブンイレブンが生鮮、特に、野菜に本格参入といえよう。ちなみに、物流は弁当や総菜などを製造する専用工場が仕入れたものを使用し、そこで、白菜は1/4、大根は1/2、きゅうり、なす、にんじんは2本1組などの、カットパック詰めなどを行うという。また、トマトなどについては、105円以上の均一価格に例外をもうけることも検討するという。

   このセブンイレブンの野菜参入は2つの意味で既存店の食品スーパーマーケット、野菜でいえば、特に、既存の八百屋、直売所を超える可能性を秘めているといえる。まずは高齢者、単身者へ照準を絞っていることである。これは先に本ブログでも取り上げたが、日経MJに掲載されたアリックスパートナーズのネットアンケート調査でも、家計調査データでも明らかであるが、生鮮食品をはじめ食品需要は明らかに高齢者にシフトしてきているのが実態である。ところが、既存のGMSはもとより、食品スーパーマーケットですら、高齢者へやさしい店づくり、商品づくりへ対しての取組みが明らかに遅れており、買い物難民が特に首都圏、大都市で発生しているのが実態であるからである。家計調査データでは、高齢者が特に消費する項目として果物が上がっているが、先の記事では野菜8品からというので、果物については言及されていないのが、残念である。いずれ、果物も対象になると思うが、仕組みができれば、恐らく野菜以上にヒットするのではないかと思う。

   そして、もうひとつは、カット、パッケージを含めた物流である。特に、野菜はコールドチェーンが必須であり、生産者から市場、店舗、消費者にいたるまでのコールドチェーン化が課題となる。また、カット、パッケージ段階でもコールドチェーンの中に組み込むことが課題であり、コールドにまではならないまでも、温度帯管理が極めて重要な商品である。これに関しては恐らく、史上はじめて、10,000店レベルでほぼ完璧な温度帯管理と物流、そして、カット、パッケージ体制を敷いたのはセブン-イレブン・ジャパンであるといえ、世界的に見ても、ここまで徹底した小売業は皆無であろう。

   現在、セブン-イレブン・ジャパンの物流体制は温度帯別に大きく4つに分かれている。ひとつは、弁当、おにぎり等を管理するのに最適温度帯といわれる20度Cの物流であり、工場から店舗、店内すべて20度Cでの管理ができており、全国約13,000店舗へ1日3回配送している。特に、この35度Cという連日の猛暑でも20度Cのコールドチェーンを守り抜くわけであり、驚異的な物流システムといえよう。そして、次の温度管理が5度Cのいわゆるチルド管理であり、日配はこの温度管理でコールドチェーン化されている。これも、1日3回配送されている。恐らく、今回の野菜はこのどちらか、ないしは双方の物流に乗る可能性が高いといえよう。しかもカット、パッケージはすでに惣菜工場等を活用できれば十分に可能であり、既存の仕組みと物流体制をフルに活用可能であるといえる。これ以外には-20度C、そして、常温となり、全部で4つの温度管理が商品ごとに行われている。GMS、食品スーパーマーケット、八百屋、直売所ではここまで完成度の高い温度管理の物流の仕組みを一気通貫でもっているところは少なく、しかも13,000店舗で実現できるところは世界中の小売業でもないといえよう。

   したがって、もっと早く、セブン-イレブン・ジャパンが野菜、そして果物へ参入してもおかしくない環境にあったといえ、これまで参入しなかった方が不思議なくらいである。ただ、野菜は通常100SKUは優に超えるカテゴリーであり、今回の8品はその1割にも満たない。コンビニ特有の単品管理の流れに乗る超重点商品のみであるといえ、既存店のGMS、食品スーパーマーケット、八百屋、直売所の品揃えと比べるとまだまだほんの一部であるといえる。現状の計画では、既存店の青果の流通構造に大打撃があるほどではないが、今後、一定のシェアを確実に抑えてゆくことにはなろう。今回のセブン-イレブン・ジャパンの試みがどこまで商品を拡大し、消費者、特に、高齢者、単身者に受け入れられるか興味深いところである。

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