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September 24, 2010

未上場食品スーパーマーケットの売上げを見る!

   帝国データバンクが8/27、全国未上場スーパーの売上高動向調査を公表した。タイトルは、「200億円以上の未上場スーパーは129社」、「ここ2年間の売上げは年間3%増加」である。調査結果の要旨であるが、3点である。第1点は売上高200億円以上の未上場のスーパーは129社であり、2009年度の売上高総額は7兆8,984.26億円(3.12%増)である。2点目は、売上高トップは、イオン系列のマイカル、2位はセブン&アイ・ホールディングス系列のヨークベニマル、3位には前橋市のベイシアが入ったことである。そして、3点目は今年1月~7月までのスーパーの倒産件数は36件と、前年同期比50%増で推移していることである。

   そこで、詳細は原資料を見ていただくとして、ここではその概要を見てみたい。まず、全体の売上高7兆8,984.26億円(3.12%増)であるが、百貨店、GMSの売上げが伸び悩む中、未上場、200億円以上のスーパー129社は堅調な伸びとなっている。ちなみに、決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットは年商7兆5,638.87億円(0.5%増)であるので、合計売上高はほぼ同じである。ただし、この50社の中には、ヨークベニマル、オーケー等、いくつか重なる企業があるので、未上場129社の数字の方がやや大きいといえる。したがって、これらを考慮すると、総合計は15兆円弱となり、商業統計の食料品スーパーの約17兆円と近い数字となる。今回の集計は未上場200億円以上の129社であるので、これ以下の食品スーパーマーケットの平均売上高を仮に数10億円とすると、1,000社で数兆円であるので、17兆円はかなり、実態に近い数字と想定できる。

   こう見ると、食品スーパーマーケットの日本における市場規模は商業統計の数字、約17兆円といって良いといえ、商業統計の正確さが改めて確認できる。そこで、次に、2番目、未上場のスーパーのランキングを見てみたい。No.1はGMSのマイカル(5,671.83億円)であり、唯一、5,000億円を超える。No.2はヨークベニマル(3,487.35億円)、No.3はベイシア(2,742.16億円)、No.4は万代(2,437.00億円)、そして、No.5は東急ストア(2,347.03億円)であり、以上がベスト5である。GMSのマイカルを除き、いずれもドミナント地区が明確であり、ヨークベニマルは福島県、ベイシアは群馬県、万代は大阪府、東急ストアは東京都と神奈川県をドミナントとして、集中出店をしている。

   ついで、No.6サミット(2,262.45億円)、No.7オーケー(2,157.68億円)、No.8マルナカ2,049.61億円)、No.9サンリブ(1,565.52億円)、そして、No.10三和(1,437.00億円)であり、ベスト5同様、いずれもドミナト地区が明確である。こう見ると、食品スーパーマーケットがドミナトを完成した時には約2,000億円が見込める数字といえ、数地区に展開した場合は、3,000億円、4,000億円が見込めるといえよう。未上場では、この約2,000億円、すなわち、1地区でしっかりドミナント展開した食品スーパーマーケットがトップクラスに入るためには必要な年商といえる。ちなみに、決算公開企業約50社のベスト10は、イズミ4,687.42億円、ライフコーポレーション4,565.22億円、平和堂3,612.37億円、イズミヤ3,585.79億円、ヨークベニマル(未上場No.2)、バロー3,319.93億円、マルエツ3,307.17億円、フジ2,871.23億円、オークワ2,793.97億円、アークス2,707.22億円となる。

   そして、3番目の倒産関連であるが、帝国データバンクの公開資料ではまず、過去3年間の倒産件数が掲載されているが、これを見ると、2009年46件、2008年76件、2007年70件である。また2010年度前半、1月から7月までは36件であり、今期は70件近い数字になる可能性が高く、2007年、2008年に近い数字が予想され、食品スーパーマーケットにとっては厳しい年となりそうである。

   そこで、ここ数年の食品スーパーマーケットの倒産状況を見てみると、モリヤ(2010年7月)、キンカ堂(2010年2月)、ザ・アミーゴス(2009年10月)、マルヘイストア(2009年7月)、ユアマートすずこう(2009年3月)、スーパーよどばし(2009年2月)等である。ちなみに、倒産態様を見ると、民事再生法と破産が半々ぐらいであり、それ以外では特別清算がいくつかある。負債総額はモリヤが100億円で最も大きく、平均すると、おおよそ、20億円前後といえよう。気になるのは今年前半ですでに36件となっていることであり、今後、後半にかけて、さらに厳しい経営環境が予想され、食品スーパーマーケットにとっては極めて厳しい年となろう。

   このように、帝国データバンクが未上場のスーパー129社の売上高動向の調査を公表したが、実に興味深い内容である。特に、決算公開企業約50社と比較してみると、トップクラスはいつ上場しても問題がない年商規模であり、それぞれのドミナントエリアがしっかり確立されているといえる。また、2つ目のドミナント、3つ目のドミナントエリアへ拡大している食品スーパーマーケットも見られる。一方で、未上場の食品スーパーマーケットの倒産も増えているのも事実であり、未上場食品スーパーマーケットの経営格差が激しいのが実態といえよう。今後、トップクラスの未上場食品スーパーマーケットがさらに規模拡大のため、上場を含め、どう動くか、気になるところである。

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