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September 26, 2010

ローソン、野菜ビジネスへ本格参入か?

   Business Media誠というインタネットの経済誌にローソンの記事が掲載された。見出しは、「ローソンが農園の経営に、誠実短小の生鮮物流への挑戦」であり、ローソンが今後農産物を自ら生産し、販売するという内容の記事である。以前、本ブログでも取り上げたセブンイレブンの野菜の通販同様、コンビニが本格的に野菜の販売に取組みはじめる内容であり、これまでの八百屋、食品スーパーマーケットに加え、本格的にコンビニが野菜市場へ参入することになり、首都圏の野菜ビジネスにとっては新たな展開といえよう。

   ただ、セブンイレブンとの違いは、セブンイレブンは全国約13,000店舗での通販での取り扱いに対し、ローソンは関東地区のローソンストア100の650店舗と一部生鮮を取り扱っているローソンプラス100の約250店舗の合計約900店舗と規模が少ない点である。その背景にはセブンイレブンは市場流通を原則とし、安定供給体制を前提しているのに対し、今回のローソンは農業生産法人を設立し、いわば、市場外流通、直売を前提としているためである。したがって、現時点ではローソン全店への安定供給ができる体制は確立されておらず、今後、実証を繰り返し、拡大をはかってゆくとのことである。

   そこで、その野菜の供給元となる農業生産法人の現状を見てみると、企業名は株式会社ローソンファーム千葉であり、本社は千葉県香取市である。資本構成は芝山農園75%、ローソン15%、東京シティ青果5%、RAG5%である。したがって、芝山農園が経営権をもっており、ローソンの出資はわずか15%であり、社長も芝山農園の篠塚利彦氏である。資本金は500万円であり、現時点の農地面積約3.0ha、初年度約150トンの出荷予定であり、主な野菜は小松菜、大根、にんじん、ほうれん草等である。ここから見る限り、生産規模はごくわずかであり、本格的な野菜ビジネスへの参入というよりも、まだまだ、実験段階に近い取組みであるといえる。

   記事の中でも今回、出資者に東京シティ青果等が入っているが、これは市場流通を意識してのものであるといい、仮に、芝山農園の出荷が天候、何らかのアクシデントが起こった際には市場流通に切りかえられるリスクヘッジともいえ、現時点で市場外流通の農業生産法人のみからの供給では量的にも体制的にも十分でない中でのローソンのスタートといえる。セブンイレブンとは戦略、体制が違うといえ、次の展開が課題といえる中での取組みといえよう。

   ただ、セブンイレブンに続き、コンビニ大手のローソンが野菜ビジネスへの参入に本格的に動きはじめたことは確かであり、しかも、市場流通以外の直売に焦点を当てての参入であり、その意義は大きいといえよう。ちなみに、ローソンストア100の約650店舗はもともと九九プラスが前身であるため、100円での野菜販売は市場流通を通じて実践しており、今回のローソンファーム千葉からの仕入れは、この野菜売場に新たにコーナーを設けることになるといえよう。いわば、食品スーパーマーケットのインショップ展開と同じであるといえ、ローソンストア100としては、仮に、ローソンファーム千葉からの商品が何らかの事情で入らなかった場合も、通常の市場ルートで野菜の調達は可能であり、既存店へのリスクヘッジは問題ないといえる。食品スーパーマーケットのインショップの売上構成比は一般的には10%から20%ぐらいであるので、この範囲での市場外流通、すなわち、直売であれば、経営リスクは低いといえ、むしろ、集客効果の方が高いといえよう。

   ちなみに、このような低い売上構成比の中でも小松菜等、鮮度の高い野菜にローソンが取り組む理由のひとつは、鮮度の違いにあるといえる。通常の市場流通の場合は産地で収穫されてから、首都圏の家庭に届くまでに約48時間かかるというが、今回のローソンファーム千葉からの市場外流通を使えば、12時間から24時間の短縮になるといい、抜群の鮮度で店頭に野菜が並ぶことになるという。したがって、市場流通の野菜との圧倒的な差別化につながり、八百屋、食品スーパーマーケットとも差別化にもつながることになるという。記事の中では、ローソンは、今後、今回の取組みを軌道に乗せ、検証してゆきながら、農政局のある全国7地区にローソンファームを順時設立し、全国のローソンへの供給体制をはかり、コンビニ店舗への野菜の新たな体制を確立してゆくとのことである。

   このように、セブンイレブンに続き、ローソンも本格的に野菜市場へ参入する方針を打ち出し、千葉県香取市に農業生産法人、株式会社ローソンファーム千葉を設立し、まだまだ限られた商品、規模であるが、首都圏のローソンストア100、約650店舗、ローソン約250店舗、合計約900店舗への直売での商品供給を行うという。現在、首都圏では食品スーパーマーケット、八百屋がほぼ野菜のシェアを握っており、コンビニは一部を除き、野菜そのものの取り扱いが十分でないといえる。したがって、今後、どこまでコンビニが野菜市場のシェアを獲得するかが課題といえ、セブンイレブンを含め、コンビニの今後の動向に注目である。

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