中央卸売市場、東京を概観してみる!
最近、大都市直売の調査事業に取り組んでいることもあり、青果物の大都市の流通実態が気になるようになった。その関係の資料も数多く収集し、分析をしているが、実に興味深い内容である。ちなみに、日本にはいくつの中央卸売市場があるかであるが、全部で76市場あり、その内、青果市場は61市場であり、全国46都市に展開されている。そして、その取扱金額は1兆9,960億円である。これに対して、地方卸売市場は全部で1,207市場あり、その内、青果市場は581市場であり、その取扱金額は1兆3,673億円である。したがって、日本全体では中央、地方合わせて、青果物の取扱いは3兆3,633億円となる。
この3兆3,633億円は大きいか小さいかであるが、全国の食品スーパーマーケットの売上高が17兆円ぐらいであるので、青果物はその10%強と見て、約2兆円、八百屋の売上高が約1兆円、農産物直売所が約5,000億円とすると、単純合計で青果物の販売額は3兆5,000億円となるので、市場外流通、外食等を加味してみると、アバウト、そんなもんかなという感じになる。いずれ、資料の分析が進んだ時点でもう少し精度の高い数字を公表したいと思うが、中央、地方卸売市場の取扱高は現在、約3兆5,000億円弱といって良いといえよう。もうひとつアバウトな数字であるが、家計調査データで青果物の年間消費額は1世帯当たり約100,000円である。したがって、家計調査の平均世帯数は3.11人であるので、1人当たり32,000円となる。これに日本の人口1億2,000万人を掛けると、3兆8,000万円となり、全体が4兆円弱に集約されており、この辺が青果物の全国の流通実態といえよう。
さて、大都市であるが、特に、東京都を中心に考えてみたい。まず、東京都の人口はちょうど全国の約10%、1,200万人ぐらいである。ちなみに、神奈川県が約900万人、埼玉県が約700万人、千葉県が約600万人であるので、首都圏の1都3県で約3,400万人がおり、日本の約30%の人口がここに集中しているといえる。したがって、当然、青果物の流通も巨大なものがあり、まさに、首都圏は大市場、大消費地となっている。先のアバウトな計算であるが、同様に、その数値をはじいてみると、家計調査データからは、その1/10が東京都であるので、青果の消費額は3兆8,000億円の1/10、3,800億円、約4,000億円となる。そこで、今度は市場から見てみると、東京都には、全部で9つの中央卸売市場がある。その年間取扱高を青果物を主に見ると、築地市場約850億円、大田市場約2,300億円、北足立市場約430億円、葛西市場約300億円、豊島市場約200億円、淀橋市場約600億円、板橋市場約300億円、世田谷市場約80億円、そして、多摩NT市場約40億円であり、合計5,100億円、約5,000億円となる。実に全国の中央卸売市場の約25%となる。
したがって、家計調査データからは、家計の消費額が約4,000億円であるので、それを優に上回る東京都の中央卸売市場の約5,000億円であるので、外食、その他を加味すると、ほぼ、バランスがとれているように思える。ちなみに、中央卸売市場の販売先別金額の割合を農林水産省が調査した平成20年度の数字を見ると、青果専門店関係(八百屋等)約25%、食品スーパーマーケット関係約60%であるので、約85%が消費者に回っているとすると、約4,250億円となり、さらに、消費額と近い数値となる。
こう見ると、首都圏、特に、東京都の1,200万人が消費する青果物約4,000億円は東京都の9つの中央卸売市場を通じて、青果専門店関係(八百屋等)から約25%、食品スーパーマーケット関係から約60%が消費者に供給され、バランスがとれているといえよう。東京都は野菜、果物の産地でなく、まさに、巨大な消費地であるので、全国の野菜の産地、果物の産地から東京都の9つの中央卸売市場に集まってきており、それが、八百屋、食品スーパーマーケット等を通じて消費者にもたらされているといえ、まさに、東京都は野菜、果物の日本の大動脈、心臓部となっているといえよう。
参考に、東京都意外に、巨大な市場が中央卸売市場により成立している日本の都市は、No.1の約5,000億円の東京都についで、No.2は約1,500億円の大阪市、No.3は約1,300億円の名古屋、No.4は約1,200億円の横浜であり、以上が1,000億円を超える市場である。ついで、約500億円前後の市場は札幌、仙台、京都、岐阜、広島、福岡であり、これらの都市が青果物では巨大消費地となっているといえよう。こう見ても、東京都の約5,000億円がいかに巨大市場であるかがわかる。
このように、中央卸売市場、特に、東京都の巨大市場、9つの中央卸売市場を中心に概観してみたが、現段階ではまだまだ分析不足であり、粗い数字であるが、大枠、大きく外れているとはいえず、かなり、実態に迫っているのではないかと思う。それにしても、世界でもまれな大都市、東京が成立するには、このような心臓部ともいえる全国から莫大な量の野菜、果物を集める大動脈である中央卸売市場とその巨大市場を飲み込む消費需要、そして、その供給システムともいうべき、八百屋と食品スーパーマーケット等の存在が極めて大きいといえ、これが、まさに大都市を成立させる象徴的な姿のひとつといえよう。
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