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October 13, 2010

アオキスーパー、2011年2月期、中間決算、減収減益!

   愛知のアオキスーパーが2011年2月期の中間決算を9/24に公表した。結果は営業収益428.17億円(-5.2%)、 営業利益2.91億円(-58.6%)、経常利益3.36億円(-53.7%)、当期純利益0.90 億円(-76.2%)となり、減収、大幅減益となる厳しい決算となった。アオキスーパー自身も、「低価格販売の実施や、店舗の改装を行い販売促進に努めましたが、物価下落や個人消費の低迷等により厳しい経営環境となり、・・」と、コメントしており、厳しい経営環境であったことが伺える。

   そこで、アオキスーパーの営業利益が-58.6%となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、84.85%(昨年84.63%)と0.22ポイント上昇した。コメントにもあるように、物価下落の中、低価格販売を実施しており、原価への影響が大きかったものと思われる。結果、売上総利益は15.15%(昨年15.37%)となり、極めて低い粗利率となった。この数字は、2010年の決算公開企業約50社の中で最も低い食品スーパーマーケットがトライアルカンパニンーの16.1%、この時はアオキスーパーも同様の16.1%であるので、恐らく、現時点で日本で最も粗利率の低い食品スーパーマーケットではないかと思われる。それにしても、ここまで原価が上がると、これをカバーするだけの経費比率が求められるので、アオキスーパーは極めて厳しい経営環境にあるといえよう。

   そこで、その経費比率であるが、17.73%(昨年17.02%)と、0.71ポイント上昇しており、しかも、売上総利益の15.15%を大きく上回る比率であり、厳しい結果となった。通常、食品スーパーマーケットのビジネスモデルは売上-原価>経費、すなわち、売上高>原価+経費を目指し、これにその他営業収入が加わり、利益を確保するのが一般的である。これに対して、アオキスーパーのビジネスモデルは通常の食品スーパーマーケットとは逆であり、売上-原価<経費、すなわち、売上高<原価+経費であり、そもそも経費内に売上総利益を押さえることを意図しておらず、原価を極限まで上げ、結果、売上総利益が大きく下がり、それが経費を超えて、その他営業収入でカバーするというビジネスモデルを敢えて採用しているといえる。GMSに近いビジネスモデルであるといえよう。

   したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.58%(昨年-1.65%)と大きくマイナスとなる。これは前期、2010年度決算も同様に、マーチャンダイジング力は-1.1%となっており、結果としてではなく、意図的、戦略的に採用している食品スーパーマーケット業界では稀なビジネスモデルであるといえる。ただ、この中間決算のように、原価、経費、ともに上昇するという厳しい局面となり、しかも、デフレというさらに厳しい経営環境が加わると極めて利益が確保しにくい状況になる。そこで、その他営業収入を見ると、3.28%(昨年3.26%)と、ほぼ昨年並みであり、結果、営業利益は0.70%(昨年1.61%)となり、利益が半減するという結果となった。

   このアオキスーパーのその他営業収入3.28%は、2010年の決算公開企業約50社の平均が3.0%であるので、ほぼ平均に近い数字であるので、際だっているわけはない。したがって、アオキスーパーとしては、収益確保のためにも、今後、売上高<原価+経費のビジネスモデルから、売上高>原価+経費のビジネスモデルを検討することも今後の課題ではないかと思われる。ちなみに、その他営業収入の中身であるが、一般的には大きく2つ、不動産収入と物流収入とに分かれる。そして、この2つの数字を引き上げるためには、不動産収入においては坪効率、すなわち、圧倒的な客数を確保し、しかも、テナントを誘致する必要があるので、売場面積を拡大することが求められる。そして、もう一方の物流収入を引き上げるには、店舗数を増やし、物流センターをつくり、そこからいわゆるセンターフィーを確保する必要があり、規模の拡大が必要となる。こう見ると、その他営業収入に利益の源泉を求めると、必然的に店舗規模が大きく、かつ圧倒的な客数を集客する力強い店舗が数店舗ではなく、数10店舗、数100店舗必要であるといえ、結果、ディスカウント路線を選択せざるをえなくなるといえよう。

   これを受けて、アオキスーパーの通期予想であるが、営業収入877.00億円(-1.9%)、営業利益8.20億円(-56.2%)、経常利益8.90億円(-54.1%)、当期純利益3.80億円(-65.1%)であり、ほぼこの中間決算の結果に近い数字である。アオキスーパーにとっては、今期は極めて厳しい経営環境に入ったといえ、いかに、キャッシュを獲得するか、ビジネスモデルそのものが問われているといえよう。

   このように営業面では極めて厳しい局面にあるが、財務を見ると、自己資本比率は63.6%と極めて健全な数字であり、有利子負債も1.25億円と総資産231.56億円のわずか0.53%であり、経営は安定している。したがって、この厳しい経営環境に対して、今後、アオキスーパーが後半、さらに、中長期の経営戦略をどのように打ち出すか、注目である。

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