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October 24, 2010

ダイエー、2011年2月期、中間決算、減収、営業増益!

   ダイエーが2011年2月期、中間決算を10/8公表した。結果は、営業収益4,636.43億円(-6.6%)、営業利益8.18億円(前期は-24.93億円)、経常利益-6.98億円(前期-44.59億円)、当期純利益-16.23億円(前期-45.36億円)となり、減収、営業増益となった。経常、当期純利益は依然として赤字が続き、厳しい状況ではあるが、その金額は縮小しており、回復の兆しが見える中間決算の結果であったといえる。

   これについて、ダイエー自身は、「開発商品の販売拡大や原価低減施策を推し進めたことによる荒利益率の改善に加え、業務の効率化による生産性改善、前連結会計年度に取得した環境マネジメントシステムの国際規格である「ISO14001」に基づく省エネルギー設備の導入拡大等の取り組みにより販売費及び一般管理費の低減が実現し、前年同期に比べ33億円改善の8億円の営業利益となりました。」と、コメントしている。粗利益、経費共に軽減したことが営業利益の改善につながったとのことである。

   そこで、ダイエーの営業利益が黒字転換した要因を原価、経費面から改めて確認してみたい。まずは、原価であるが、69.98%(昨年70.35%)と、0.37ポイント改善した。結果、売上総利益は30.01%(昨年29.65%)と、30%を超えた。この30.01%はかなり高い数字である。この中間決算時のイオンが26.1%、セブン&アイHが25.6%であり、食品スーパーマーケット業界ではサンエーの30.17%が最大の売上総利益であるので、ダイエーの原価が極めて低く、結果、営業総利益がいかに高いかがわかる。

   これについて、ダイエーは、先のコメントにもあったが、「開発商品を中心とした原価低減や高値入商品の売上構成比拡大等により、引き続き荒利益率の改善に取り組んでまいりました。」とのことで、高値入れ商品を特に強化したとのことである。それにしても、これだけ、イオン、セブン&アイHと売上総利益が違うとは驚きである。ダイエー本体のGMSは他のGMSと比べ左程、大きな差があるとは思えないので、GMS以外の原価の低い業態が大きく売上総利益に貢献していると思われる。残念ながらセグメント別の決算が開示されていないので分からないが、専門店、グルメシティ、ビックエー等が貢献しているのではないかと思われる。

   一方、経費の方であるが、37.30%(昨年38.06%)と0.76ポイント改善した。単純な金額ベースで見ると、1,752.61億円(昨年1,609.42億円)であるので、143.19億円の削減であり、大きく経費が改善されおり、原価に加え、経費の改善も進んだ。ただ、37.30%は、イオンの中間決算の36.0%、セブン&アイHの33.0%と比べ、まだまだかなり高い比率であるといえ、今後、さらに経費の削減が課題となろう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-7.29%(昨年-8.41%)と大幅に改善されたが、依然として、経費比率に比べ、圧倒的に原価が低い状況が続いている。ただ、これはGMSの宿命ともいえ、本体はマーチャンダイジング力がマイナスになっても、その分、しっかり集客をはかり、結果、不動産価値を引き上げ、テナント収入を増大させ、営業利益をプラスにもってゆけば良いとの割り切りもあるからであろう。最近、食品スーパーマーケットでもNSC等が主力業態になってくると、この傾向があられてくるが、小売業の本来の姿としては、経費を極限まで引き下げ、価格競争においても競合に打ち勝ち、マーチャンダイジング力で勝負すべきであろう。

   そして、その不動産収入等のその他営業収入であるが、7.48%(昨年7.87%)と、原価、経費の改善は進んだが、残念ながら、その他営業収入は0.39ポン減少した。結果、営業利益であるが、0.19%(昨年-0.54%)と、マイナスから、若干であるが、プラスに転じ、黒字転換となった。

   さて、このような依然として、厳しい営業状況が続く中で、ダイエーの今期のキャッシュフローを見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、4.37億円(昨年15.38億円)と厳しい状況にある。したがって、投資活動へのキャッシュフローの原資が営業活動から賄うことができない状況にあるが、このような中でも、新規出店関連への投資キャッシュフローは-40.34億円と強気である。また、財務活動によるキャッシュフローについては、昨年同様、-98.55億円(昨年-95.22億円)の長期借入金の返済を行っている。したがって、その原資を内部留保と投資活動によるキャッシュフローの有形固定資産の売却26.49億円と差入保証金の回収49.85億円で賄っており、厳しい資金繰りといえよう。有利子負債も906.25億円と総資産の21.90%と、総資産対比ではイオンの30.05%、セブン&アイHの20.70%と比べ大きくはないが、自己資本比率が36.7%(昨年35.6%)であり、有利子負債を圧縮して、もう一段と財務改善を目指したいところであろう。

   このようにダイエーの中間決算は、減収とはなったが、営業利益では昨年の赤字から黒字に転換し、その中身を見ると、原価、経費ともに改善しての黒字転換であり、利益回復の兆しが見える。ただ、経費比率37.30%は依然として、かなり高い比率であり、さらに、営業面での改革が必要といえよう。また、営業黒字になったとはいえ、キャッシュフローは厳しい状況にあり、今後、成長戦略を描くには、財務改善も大きな課題であるといえよう。そのためにも、いかにキャッシュを生み出すか、すなわち、マーチャンダイジング改革が最大の課題といえ、今後、ダイエーが、後半、そして、中長期に渡って、どのような起死回生のマーチャンダイジング戦略を打ち出すか注目である。

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