平和堂、2011年2月期、中間決算、減収、当期減益!
平和堂が2011年2月期の中間決算を9/27、公表した。結果は、営業収益1,866.11億円(-2.3%)、営業利益41.88億円(0.9%)、経常利益41.94億円(0.1%)、当期純利益 21.51億円(-44.4%)となり、減収、営業、経常利益は若干の増収となったが、当期純利益は大きく減収となり、厳しい決算となった。ただ、当期純利益については、税引き前利益はほぼ昨年と同様な数字であり、違いは法人税にあるといえ、実質、昨年並みの決算結果であったといえよう。これについて、平和堂は、「当小売業界におきましても、引き続き競合他社の出店増によるオーバーストア状況とそれにともなう価格競争により、商圏の縮小や商品単価の下落を招くなど引き続き厳しい経営環境となりました。」と、依然として、厳しい経営環境にあるとの認識である。
そこで、この中間決算が伸び悩んだ要因を、まずは、営業収益から見てみたい。平和堂の営業収益が-2.3%となったが、これは、「今期は新規出店につきましては、安曇川店を移設・建替した「あどがわ店」(店舗面積8,586㎡ 滋賀県高島市 4月)、スーパーマーケットタイプの「フレンドマート大津西の庄店」(店舗面積996㎡ 滋賀県大津市 5月)を出店いたしました。」とのことで、実質、1店舗のみの新規出店であった。平和堂のこの時点での店舗数は124店舗であるので、1店舗の実質増では、0.8%増であり、全体の売上げを押し上げるには、十分ではないといえる。特に、今期は既存店の売上高が95.0%という厳しい状況にあり、少なくとも既存店のマイナス5%をカバーする6店舗強の新規出店が欲しかったところであろう。
ちなみに、平和堂の124店舗の業態別内訳であるが、SC業態のアル・プラザは全体の売上高の62.2%と大半を占め、いまや平和堂の大黒柱となっているが、昨対は98.8%であり、伸び悩んだ。ついで、GMSであるが、全体の売上高の16.1%を占めており、意外に低い構成比である。ただ、昨対は109.8%と堅調な伸びである。そして、店舗数では56店舗と最多の食品スーパーマーケットであるが、売上構成比は21.7%と過去3年間で最高の比率となり、伸び率も112.8%と2桁の伸びとなり、好調であった。したがって、食品スーパーマーケット、GMSが今期は全体を引っ張ったが、残念ながら、最も売上構成比の高いSCが厳しい状況となり、全体が伸び悩んだといえる。
また、商品別に見ると、No.1部門は食料品であり、65.8%と高い数字である。食品スーパーマーケットの構成比は21.7%であるにも関わらず、この数字であり、GMS、SCにおいても平和堂は食品の構成比が極めて高いといえ、食品スーパーマーケット並みの食品構成比が高い数字であるのが特徴といえる。ついで、衣料品14.9%、住居関連品14.5%とほぼ同じ数字であり、合計約30%であるので、合わせても食品の半分にも満たない数字であり、いかに食品が重点部門であるかがわかる。
次に、営業利益の状況を見てみたい。まずは、原価、経費の状況であるが、原価は70.28%(昨年70.30%)であり、ほぼ昨年と同様の数字であり、結果、売上総利益は29.72%(昨年29.70%)である。それにしても、食品スーパーマーケットとしては破格の粗利率であるが、その要因は衣料品と生鮮食品の粗利率の高さに負うところが大きい。衣料品は36.3%と極めて高い数字であり、また、生鮮は27.8%と食品の中では高いからである。一方、経費の方であるが、33.69%(昨年34.20%)と、昨年と比べ、0.51ポイント改善しているが、それにしても、30%を優に超え、食品スーパーマーケットとしては考えられない高い数字であり、SC、GMS業態特有の経費比率の高さといえる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-3.97%(昨年-4.50%)と、昨年とは改善されたとはいえ、大きくマイナスとなった。
これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が6.60%(昨年6.85%)のり、結果、営業利益は2.63%(2.35%)となり、プラス、そして、増益とはなったが、このその他営業収入に負うところが大きく、特に、経費比率に関しては、今後、どこまで改善できるか、検討の余地があろう。ちなみに、決算公開企業約50社の前期決算結果であるが、原価75.0%、売上総利益25.0%、経費比率25.6%、マーチャンダイジング力-0.6%、その他営業収入3.0%、営業利益2.4%であるので、特に平和堂は経費比率が極端に違うことがわかる。余談だが、今期、平和堂は負債にポイント引当金をあてているが、その金額は64.19億円であり、対売上高3.67%(中間売上対比)、対総資産では2.39%であり、ポイントの負債が経営に重くのしかかりつつあるといえよう。
このように、2011年2月期の平和堂の中間決算が公表されたが、かなり、厳しい数字であるといえ、今後、収益を改善するには、まずは、マーチャンダイジング力を高め、キャッシュを生み出すことが必要であるが、残念ながら、現段階では、経費比率が高く、十分に利益を生み出せていない状況にあるといえよう。今回は、P/L主体に平和堂の中間決算を見てみたが、今後、稿を改めて、平和堂のB/S、そして、CFについても見てみたい。P/Lでは説明つかなかった経費比率の高さの答え、そして、今期は出店が十分にできなかった理由など、平和堂の経営の本質に迫ってみたい。
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