アークス、2011年2月期、中間決算、増収増益、好調!
アークスが10/12、2011年2月期の中間決算を公表した。結果は、売上高1,511.85億円(18.1%)、営業利益45.61億円(13.7%)、経常利益49.82億円(13.2%)、当期純利益28.64億円(21.0%)となり、2桁の増収増益と、好調な決算となった。特に、売上高に関しては、昨年10月に完全子会社化した東光ストアの連結による増収が大きく、約250億円強の増収効果があったことも大きい。しかも、店舗数も連結後200店舗を超え、現在、202店舗となった。一方、営業利益の方は、東光ストアの連結効果よりも、アークスの業務改革によるところが大きいといえ、東光ストアの連結分を除いた場合の中間決算結果は、売上高0.4%増、営業利益10.1%増、経常利益9.1%増、四半期純利益20.1%増とのことである。
そこで、アークスの営業利益が好調に推移した要因を原価、経費面から見てみたい。今期のアークスは経営環境を「消費者の生活防衛意識や節約志向の高まりから競合各社の低価格販売競争が続いており、厳しい経営環境で推移、・・」と認識しており、北海道の食品スーパーマーケット同士が、激しい価格競争にあるとのことである。したがって、このような厳しい経営環境で増益、しかも、2桁の増益を確保するのは並大抵のことではないといえよう。まずは、原価であるが、77.26%(昨年77.70%)となり、0.45ポイント改善しており、原価の改善が大きく進んだ。結果、売上総利益は22.74%(昨年22.30%)となり、粗利が上昇した。この22.75%は、2010年度の決算公開企業約50社のほぼベスト10前後の数字であり、食品スーパーマーケットの中ではかなり低い数字であり、価格訴求が強く意識された数字であるといえる。
一方、経費の方であるが、19.72%(昨年19.16%)と、0.56ポイント上昇しており、原価改善とは対照的な結果となった。単純経費の上昇率が121.61%であるので、それ以上に大きく上昇した経費項目を見ると、その他の152.81%であり、人件費関連、店舗維持関連は大きな上昇は見られないので、東光ストア吸収合併に関わる費用等がプラスになったものと思われる。それにしても、経費が上昇したとはいえ、19.72%は、2010年決算公開企業約50社の中では7番前後であり、平均が25.6%であることを考慮すると、極めて低い経費比率であるといえる。
これについて、アークスは、「グループシナジーの更なる向上策として、次世代システム構築の推進、(株)東光ストアのグループ入りに伴う人事給与システムのバージョンアップなどを推し進め、・・」とのことで、グループとしてのトータルコスト削減に取り組んでいるとのことである。もともと、アークスそのものが、八ヶ岳連峰経営を目指し、営業面での独立性を堅持しながら、共通経費等の削減が主な統合の目標であったわけであり、東光ストア統合も独立性を維持し、いかに全体のトータルコストを下げるが課題であるといえ、今後、時間とともに、さらに、経費比率が下がるのではないかと思われる。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力=営業利益は3.02%(昨年3.14%)となり、0.11ポイントのマイナスとなったが、売上高が18.1%上昇したことと相まって、営業利益高では13.7%の2桁の上昇となった。ちなみに、マーチャンダイジング力であるが、これも、2010年決算公開企業約50社で見ると、3.0%以上は6社しかなく、トップクラスの数字であり、いかに、アークスの数字が高いかがわかる。残念ながら経費比率の上昇は見られるが、この厳しい価格競争の中、原価改善を図っており、今後、経費も落ち着いてくれば、マーチャンダイジング力の改善は可能であろう。
では、アークスが現在、どのような経営戦略を検討しているかをキャッシュフローの流れで確認してみたい。経営戦略の方向は特にキャッシュフローの投資活動によるキャッシュフローに現れるが、その結果は、-8.53億円(昨年-9.40億円)と削減されており、しかも、営業活動によるキャッシュフローが73.08億円(昨年70.06億円)であるので、極めて投資を絞り込んでいることがわかる。結果、フリーキャッシュフローが64.55億円(昨年60.66億円)と、多額のキャッシュを保有している。したがって、この大半を財務活動によるキャッシュフローに振り向けることになるが、その数字は-55.10億円(昨年-43.40億円)であり、その中身の大半は有利子負債の返済である。したがって、貸借対照表の有利子負債を見ると、156.84億円(総資産の13.14%、昨年本決算時204.05億円)と、大きく削減されている。こう見ると、この中間決算では財務改善にキャッシュの大半を振り向けているといえ、現時点での経営判断は好調な決算結果を成長戦略よりも、財務改善を重視した経営判断といえよう。
このように、2011年2月期のアークスの中間決算は昨年の東光ストアの完全子会社化により、大幅な増収、そして、その増収効果を活かし、2桁の増益を達成した。特に、この厳しい価格競争の中、原価の改善を進め、合併に伴う経費の上昇をほぼカバーしており、高いマーチャンダイジング力を維持している。また、この好調な決算結果を、この中間期では、財務改善につなげ、今後の成長余力を蓄えている経営決断であるといえる。今後、東光ストアの連結が経費面でも削減に寄与し始めると、今回の財務改善から、成長戦略に舵を切る経営決断も可能となる。アークスがいつ、成長戦略にシフトするか、その動向、特に投資活動によるキャッシュフローに注目である。
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