スーパーバリュー、2011年2月期決算、増収減益!
スーパーバリューが10/13、2011年2月期の第2四半期、中間決算を公表した。結果は、売上高239.36億円(13.0%)、営業利益4.73億円(-20.8%)、経常利益3.97億円(-23.6%)、当期純利益1.52億円(-47.7%)となり、増収とはなったが、大きく減益となる厳しい決算となった。ただ、依然として、積極的な新規出店を行っており、高い成長率を維持している。
そこで、これまでのスーパーバリューの出店戦略を見ると、2008年2月のジャスダック上場以来の新規出店を見ると、SuperValue 志茂店(2010年3月、東京都北区)、SuperValue 大宮天沼店(2009年11月、埼玉県さいたま市)、SuperValue 見沼南中野店(2009年11月、埼玉県さいたま市)、SuperValue 荒川一丁目店(2009年10月、東京都荒川区)、SuperValue 東所沢店(2009年7月、埼玉県所沢市)、SuperValue 入間春日町店(2008年12月、埼玉県入間市)、SuperValue 川口前川店(2008年11月、埼玉県川口市)と、2年半の間に7店舗となる。現在15店舗であるので、驚異的な新規出店ペースであり、これが、スーパーバリューの高成長の原動力となっているといえる。
そこで、このハイペースでの新規出店を支える財務状況を見てみると、まず、気になるのは、自己資本比率である。この中間期においては、16.9%(昨年15.6%)と、改善しているとはいえ、10%台であり、負債に80%強依存する財務構造である点である。そこで、中間決算書に明示されている出店関連の資産、土地、建物の合計を見ると、132.97億円であり、総資産200.24億円の65.74%となる。また、これを現在の店舗数15店舗で割ると8.86億円となり、通常の食品スーパーマーケットが約5億円弱であるので、かなり大きな出店にかかわる資産である。これは、スーパーバリューの業態が食品スーパーマーケット+ホームセンターを基本としているため、食品スーパーマーケットよりも、売場面積が必要となり、その分、土地、建物等の資産が必要となるためである。
したがって、差し引き、自己資本でどこまで出店にかかわる資産をカバーできているか、すなわち、出店余力を見ると、-48.84%となり、この分を負債に負っている出店構造となっており、ほぼ、出店=負債という構図となっている。その負債の中身であるが、最大の負債、有利子負債は109.82億円(総資産の54.84%)であり、出店余力をカバーする比率となり、この有利子負債がスーパーバリューの高成長を支えてきた原資といえる。
本来の財務状況からいえば、この自己資本比率で高成長を支えるには無理があるが、スーパーバリューは負債、資産ともに責任財産限定の仕組みをとっており、有利子負債109.82億円の内52.00億円、出店関連の資産の内、57.58億円、ほぼ、半分がその対象である。したがって、この分は、全体の財務へは及ばないことになるので、実質、出店にかかわる資産、そして、負債ともに改善するが、それでも、現時点では、かなり重い負担であるといえ、今後、これまでの出店ペースを維持し、引き続き、高成長が続くかは、キャッシュフロー次第となろう。
そこで、そのキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは-10.63億円とマイナスであり、厳しい数字である。当然、これは減益により、当期純利益が半減したこともあるが、今期は仕入債務が-14.55億円減少したことが大きい。本来、この営業活動によるキャッシュフローから、新規出店への投資が生まれるので、出店原資が今期は生み出せない状況といえる。では、投資活動によるキャッシュフローはどうかであるが、-3.44億円であり、その大半は出店関連であるが、先に見たようにスーパーバリューの出店にかかわる資産は1店舗平均8.86億円であるので、仮に土地を所有しない居抜き物件を考慮しても、1店舗が限度といえ、今期は厳しいキャッシュの状況であり、今後の新規出店が難しい財務状況といえよう。したがって、フリーキャッシュフローは-14.07億円とマイナスとなる。
したがって、この分のキャッシュの調達が必須となるが、財務活動によるキャッシュフローを見ると、1.47億円のプラスであり、フリーキャッシュフローの-14.07億円を相殺するまでには至っておらず、結果、内部留保を-12.61億円取り崩し、現金が大きく減少することになった。現状、スーパーバリューの資産上の現預金は12.54億円であり、総資産の6.26%、本決算時が25.39億円であるので、ほぼ半減しており、厳しいやりくりであったといえる。
このように、これまで新規出店を積極的に行い急成長を遂げて来たスーパーバリューであるが、この中間決算の結果を見る限り、今後、さらに高い成長を維持するのはかなり難しい財務状況にあるといえる。今後は成長戦略から、既存店15店舗の活性化の局面に移り、いかに、キャッシュを生み出す高収益業態への完成度を上げることが課題となろう。スーパーバリューは食品スーパーマーケットにないホームセンターという大商圏からの集客を狙える強みをもつ業態であるだけに、この強みをどう活かし、さらに収益性の高い店舗にもっていけるどうかがポイントといえよう。スーパーバリューが今後どのようなキャッシュを生み出すマーチャンダイジング戦略を打ち出すか、注目である。
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