イズミ、2011年2月期、中間決算、増収増益!
イズミが2011年2月期、中間決算を10/7公表した。結果は、営業収益2,463.40億円(1.6%)、営業利益102.32億円(4.2%)、経常利益96.69億円(2.9%)、当期純利益48.15億円(4.2%)となり、増収増益となる好決算となった。イズミ自身も、「特に、消費者の価格志向が強まる中、良い物を安く提供すべく、仕入先との連携により魅力ある商品の調達と仕入原価の削減に取り組むとともに、競争力のある価格設定で集客力を向上させるべく食品売場のディスカウント化等を推し進めました。さらに、人員の多能化や作業効率の改善等のコスト削減を強化し、販売単価の引下げと収益水準の維持向上の両立を図りました。」と、原価改善、経費削減の両立を図ったとのことで、これが好決算に結び付いたとの認識である。
そこで、イズミのP/Lをもとに、原価、経費面の実際の数字を確認してみたい。まずは、原価であるが、78.83%(昨年78.32%)と0.51ポイント、原価の上昇が見られる。結果、売上総利益は21.17%(昨年21.68%)となった。これは、恐らく食品売場のディスカウント化を強く推し進めたことが、その要因のひとつといえよう。実際、食品の粗利率は24.8%(昨年25.4%)と0.6ポイント減少しており、結果、原価の上昇を招いているといえよう。
ちなみに、イズミの単体の粗利率は20.4%(昨年21.0%)であるが、その内訳は、食品24.8%(昨年25.4%:構成比33.3%)、衣料36.8%(昨年37.5%:構成比14.8%)、住関連30.6%(昨年31.4%:構成比9.1%)、そして、テナント8.2%(昨年8.3%:構成比36.2%)となる。したがって、テナントの売上、利益貢献度が極めて高く、この粗利率が低いがために、全体の粗利が20.4%という結果となる。食品だけで見ると、通常の食品スーパーマーケットとほぼ同じ数字となる。それにしても、すべての部門で粗利率が昨年よりも下がっており、この中間決算期は厳しい経営環境であったといえよう。
一方、経費の方であるが、21.75%(昨年22.47%)となり、0.72ポイント削減しており、大きく経費比率が改善したといえる。これについて、イズミは、「コスト面においては、衣料品の在庫削減や生鮮品の市況上昇に伴い売上総利益率が悪化した一方、引き続き生産性の改善による人件費の抑制や水道光熱費・店舗管理費等の削減を進めてまいりました。」とのことで、粗利率の悪化を補うべく、重点経費の圧縮に取り組んだとのことである。
結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、-0.58%(昨年-0.79%)と、依然として、マイナスではあるが、経費の削減が寄与し、マイナス幅が縮小しており、マーチャンダイジング力が改善した。このマーチャンダイジング力は2010年度の本決算公開企業約50社の平均が-0.56%であるので、わずかにこの数字を上回ったといえる。今後、経費の削減とともに、いかに、ディスカウント路線を追求する中で、原価を改善できるかが、さらに、マーチャンダイジング力を改善するための課題といえよう。
そして、これにその他営業収入が乗るが、その数字は4.95%(昨年5.05%)と、若干下がり、結果、営業利益は4.35%(昨年4.25%)と増益となった。ちなみに、イズミ単体でのその他営業収入であるが、5.2%あり、その中身は大きく3つに分かれる。不動産賃貸収入1.4%、流通センター収入1.4%、店舗賃貸共同管理費収入1.7%であり、これにその他0.6%となる。したがって、いわゆるテナント関連が3.1%と極めて高い数字となっており、これがイズミの収益の源泉ともいえ、ビジネスモデルであるといえる。ゆめタウンなどの大型SC主体のイズミならではの収益構造であるといえよう。
これはイズミの店舗規模別の売上構成比をみると明らかであり、15,000平米(約4,500坪)を超える24店舗が65.9%と大半を占めている。食品スーパーマーケットクラスの3,000平米(約900坪)未満は16店舗であり、わずか4.0%であるので、イズミがいかに大型化、SC化をはかっているかがわかる。また2000年以降の開店の店舗20店舗の売上構成比が51.3%であり、主力店舗がここ10年以内の開店であり、まさに、ここ10年で急激にビジネスモデルを変えたことがわかる。
これを受けて、イズミの2011年度2月期の本決算予想であるが、営業収益4,943.00億円(0.4%)、営業利益214.00億円(4.8%)、経常利益201.00億円(1.9%)、当期純利益 97.00億円(10.8%)と、この中間決算同様、増収増益予想である。やや気になるのは、増収率が0.4%であり、新規出店が厳しい状況にあるといえ、今期は、新規出店を控え、既存店の活性化に注力する方針であるといえよう。
このように、イズミの2011年2月期の中間決算は増収増益とはなったが、成長率はわずかであり、売上高が伸び悩んでいることに加え、増益の中身も経費の削減は進んだが、原価の上昇が見られることが気になるところである。それにしても、イズミはこの10年でビジネスモデルを大きく変え、食品スーパーマーケットからSC主体の小売業へ変身を遂げており、びっくりである。実際、商品構成比、店舗面積、開店年度売上構成比をみると、その変身ぶりが鮮明である。今後10年、イズミが現状を維持してゆくのか、それとも、新たな業態開発に入るのか、そのゆくえに注目したい。
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