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October 05, 2010

オークワ、2011年2月期、中間、減収増益!

   オークワが10/1、2011年2月期、中間決算を公表した。結果は営業収益1,418.53億円(-1.8%)、営業利益23.68億円(4.6%)、経常利益25.39億円(7.5%)、当期純利益10.69億円(70.3%)と、減収とはなったが、利益はすべての段階で増益となる決算となった。これについてオークワは、「小売業界におきましては、猛暑の影響で飲料、アイスクリーム、エアコン、水着等の盛夏商品の販売が好調であったものの、依然として業態を超えた企業間競争の激化による客数減、及び消費者の生活防衛意識の高まりによる客単価の下落が続き、非常に厳しい経営環境となりました。」とコメントしており、客数、客単価ともに厳しい状況であったようである。実際、オークワの全業態ベースの既存店売上高は昨対95.6%となったとのことで、これが減収となった最大の要因といえよう。

   また、オークワは5月現在147店舗を展開している。したがって、単純計算で105%の成長のためには、7店舗、110%では14店舗以上新規出店が必要となる。ところが、今期の新店は、3月にスーパーセンター桜井店(奈良県桜井市)、4月にSSMの加古川野口店(兵庫県加古川市)の2店舗のみであり、全体の売上げを押し上げるには出店不足といえ、これも売上高が伸び悩んだ要因といえよう。ちなみに、オークワの現在の出店地域であるが、地元の和歌山県54店舗を中心に、西へは奈良県33店舗、大阪府21店舗、兵庫県2店舗を展開している。また、ここ最近は東にも力を入れており、三重県32店舗、愛知県2店舗、岐阜県3店舗を展開しており、これで合計147店舗となる。

   では、業態別に見た売上の状況はどうかであるが、スーパーセンターとメッサ(高級食品スーパーマーケット)は比較的順調であったというが、主力のレギュラー店とディスカウトタイプのプライスカットの販売が低迷したという。プライスカットはここ数年オークワが既存店の業態転換に加え、新規出店も積極的に展開しており、現在、和歌山県15店舗、兵庫県1店舗、奈良県7店舗、岐阜県1店舗、三重県14店舗と合計38店舗を展開し、全体の店舗数の構成比は25%となり、オークワの大きな柱といえよう。

   そこで、オークワのB/Sを見てみたい。食品スーパーマーケットにとってのB/Sは出店関連の資産を中心に動いているといっても過言ではなく、まずは、この出店関連の資産を見ることがポイントとなる。オークワの出店関連の資産、すなわち、土地、建物、敷金・保証金等の合計であるが、中間決算では敷金・保証金は明示されていないので、これのみ前期本決算の数字で見ると、930.77億円となる。これは総資産1,364.93億円の68.19%となり、約70%弱となる。これを全147店舗で割ると、1店舗当たりは6.33億円であり、決算公開企業約50社の平均が4.73億円であるので、オークワはかなり資産をかけた出店をしていることがわかる。これは、SC、スーパーセンター、GMSタイプ、SSM等大型食品スーパーマーケットが多いことにもよると思われる。

   一方、負債、純資産の方であるが、オークワの純資産は56.17%である。したがって、純資産の範囲内で約70%の出店にかかわる資産を賄う財務構造にはなっておらず、その差、出店余力は-12.02%となる。これも決算公開企業約50社の平均は-22.3%であるので、オークワは比較的出店余力は高いといえ、ちょうど20番前後となる位置となる。したがって、-12.02%が負債に依存しているといえるが、その中身を見ると、有利子負債が218.79億円と総資産の16.02%であり、これで出店余力のマイナスを相殺しているといえる。今後、この有利子負債の圧縮が進めば、出店余力はそれに伴い上昇するので、今後のオークワの財務戦略が気になるところである。

   さて、P/Lの方も見ておきたい。特に、この中間では減収とはなったが、利益は増益となっているので、その要因を原価、経費から探ってみたい。まずは、原価であるが、75.19%(昨年75.39%)と、原価が0.20ポイント下がっており、結果、売上総利益は24.81%(昨年24.61%)となった。これに対して経費の方であるが、26.70%(昨年26.65%)と0.05ポイント上昇している。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.89%(昨年-2.04%)と、依然として、マイナスではあるが、その差が原価の改善によって若干改善されたといえる。そして、これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が3.63%(昨年3.67%)のり、結果、営業利益が1.74%(昨年1.63%)となった。それにしても、その他営業収入の利益貢献は大きく、マーチャンダイジング力のマイナスをカバーし、オークワの利益の源泉といっても良いといえよう。

   このように、オークワが2011年2月期の中間決算を公表したが、残念ながら、新規出店が少なかったことに加え、既存店が競合店との価格競争等により、95.6%となったことが大きく減収となった。ただ、利益は原価の改善が経費の減少をカバーし、プラスとなり、増益となった。少し気になるのはこれまでデフレの追い風にのり、成長著しかったディスカント業態、プライスカットがこの中間決算時では厳しい状況にあるとのことである。今後、後半にかけて、営業体制をどう立て直すのが、オークワの営業戦略に注目したい。

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