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October 28, 2010

食品スーパーマーケット、売上速報、9月度、102.6%!

   10/26、2010年9月度の食品スーパーマーケット業界3団体、オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、社団法人 新日本スーパーマーケット協会による合同スーパーマーケット統計調査が公表された。回答企業数は263社、総店舗数7,062店舗の集計結果である。その結果であるが、売上高7,425.71億円(102.6%)となり、微増となった。9月度は猛暑、そして、何といってもたばこの値上げ前のかけこみ需要がどのくらい反映されたかが気になる月であったが、微増という結果であり、どちらも、全体の数字を大きく押し上げるまでにはならなかったといえよう。

   この売上速報は食品スーパーマーケット業界ならではの集計方法がとられており、いわゆる、生鮮食品、惣菜の売上高、そして、商品構成比も公開されており、この規模でここまで食品スーパーマーケット関連の数字が明らかになったのははじめてのことであり、価値の高い食品スーパーマーケット業界ならではの統計数字である。その結果であるが、最も伸び率が高かったのは惣菜104.0%(構成比8.9%)である。残念ながらまだ10%までは届いていないが、惣菜が食品スーパーマーケットの主力部門に確実に育ちつつあるといえ、しかも、この9月度は伸び率が最も高く、食品スーパーマーケット全体を牽引した部門となった。

   ついで、青果103.8%(構成比13.2%)となり、相場が不安定の中、生鮮3品の中では最も売上高の伸び率が高い部門となった。一般に食品スーパーマーケットの青果部門は相場が高い方が売上高が上昇する傾向にあり、逆に相場が低いと売上高が減少する傾向にある。これは青果、特に、野菜は食生活の根幹をささえる商品であるがゆえに、比較的価格が高くても消費者としては購入せざるをえない面があるからである。青果の客単価(金額PI値)はPI値×平均単価で表すことができるが、平均単価が上昇した場合、PI値は当然影響を受けるが、平均単価の上昇分以下の影響であれば、客単価(金額PI値)は上昇することになるので、この原理が青果には当てはまるためである。これが価格弾力性の強い商品では、平均単価の上昇が即PI値に跳ね返り、金額PI値ダウン、売上高減となるが、青果、特に野菜は相場高=価格上昇=売上高アップという図式がほぼ成り立つ部門であるといえ、この9月度もその図式通りに動いたようである。

   青果についで伸びた部門は非食品であった。103.1%である。8月度が98.8%であるので、4.3ポイントアップしており、まさに、たばこの値上げ前の駆け込み需要の影響といえよう。ただ、同時期のコンビニの非食品の数字143.9%(構成比40.1%)と比べるとその伸びはわずかであり、これが食品スーパーマーケットとコンビニにおけるたばこの影響度の違いであるといえる。これを見ても、コンビニにおいては、たばこが生命線であるといえ、たばこ購入顧客をしっかりつかんでいることがわかる。

   これ以外で伸びた部門は、103.0%(構成比45.3%)の一般食品その他、100.7%(構成比9.7%)の畜産である。そして、残念ながら、昨対を割った部門が水産、98.9%(構成比8.8%)である。この水産の構成比8.8%は、惣菜の8.9%と逆転しており、生鮮3品、惣菜の中で最も低い構成比であり、食品スーパーマーケットの中では、いまや水産は主力部門からはずれ、極めて厳しい部門であるといえよう。

   こう見ると、今後、食品スーパーマーケットも部門を再構築する段階に入ったといえよう。これまでの青果、畜産、水産、そして、惣菜という4部門から、日配、加工食品を含めて、少なくとも構成比15%前後の統廃合を前提に新部門を含め、数部門に集約する必要があろう。たとえば、畜産の加工肉、水産の塩干を鮮度管理が必要な発注管理部門として、日配に統合し、生鮮食品は加工による付加価値を追求する惣菜を中心に畜産、水産を統合する部門をつくるのも一案である。青果についても、既存の市場流通だけに頼らず、市場外流通、特に直売所をモデルに1店舗当たり生産者数百人の協力を得た新たな野菜、果物を取り込み、新農産部門をつくることも一案である。日配と加工食品に関しては、畜産、水産の一部を吸収、そして、統合し、温度帯により2つの部門に分けるなどが考えられる。こすることにより、現在の部門を数部門に集約することができよう。特に、少子高齢化が進み、店舗の小型化も模索される今後の状況を考えると、より食生活全般に対応できるトータルな部門構成と付加価値アップとコスト削減を同時に追求する必要があり、部門改革は今後数年以内に断行する必要があろう。

   このように、この9月度の食品スーパーマーケットの売上速報は全体としては、102.6%と8月度の101.0%と比べても伸び率が高く、まさに、猛暑の影響とたばこの値上げ前の駆け込み需要の押し上げもあったといえよう。ただ、たばこはコンビニほど大きな影響はなく、猛暑の貢献度の方が高かったと思われる。気になるのは、特にこの9月度の売上速報を見ると、部門構成の格差が大きく出始めたことである。今後、食品スーパーマーケットとしては、2008年からはじまった日本の人口の減少、都市部への集中、そして、急激に進む少子高齢化の時代を迎えるにあたって、これまでの商品管理体系に変わる思い切った部門の再構築が必要になったといえるのではないかと思う。まさに、転機、食品スーパーマーケット業界がどう動くか注目である。

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