丸和、事業再生ADR成立!
10/22、丸和が「事業再生ADR手続の成立に関するお知らせ」を公表した。それによると、「本日、平成22年10月22日開催の第3回債権者会議におきまして、当社グループの事業再生計画案について、全お取引金融機関の皆様から同意書の提出をいただき、事業再生ADR手続が成立いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。」とのことで、懸案のADR手続きが成立したとのことである。これにより、今後、親会社ユアーズとの合併を視野に、経営再建を本格的に進めてゆくことが確実となった。
ADRとは食品スーパーマーケットではあまりなじみがない経営再建手法であるが、会社更生法や民事再生法とは違い、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」に基づき、裁判によらず、第3者の仲介により、経営再建を進める手法である。ADRは、Alternative Dispute Resolutionの略であり、「裁判外紛争解決手続」と一般には略されており、簡単で、柔軟性があり、時間も早く、非公開、かつ、専門性も高いということで、ここ最近注目されている経営再建手法といえる。
さて、丸和が10/22に合意した内容であるが、10/22の「第3回債権者会議におきまして、当社グループの事業再生計画案について、全お取引金融機関の皆様から同意書の提出をいただき、事業再生計画案が債権者会議において正式に承認されたことにより、事業再生ADR手続が成立いたしました。」とのことで、全金融機関からの債権処理の同意がなされたとのことである。
具体的な内容は大きく2つに分かれる。ひとつは、「事業再生計画期間中における季節運転資金の需要等に伴う資金繰りを安定化させるためにレイターDIPファイナンスとしての借入を予定」していることである。そして、もうひとつは、「当社及び親会社の信用力を補完し、財務上の課題である有利子負債を削減するために、当社及び親会社の一部のお取引金融機関に対してDESをお願いしており、DESの対象債権以外の有利子負債残高については、全お取引金融機関から返済スケジュールの見直し及び金利の減免を内容とする金融支援」である。ここで親会社はユアーズであり、今回のADRは親会社ユアーズとの合併が前提でもある。
その具体的な金額であるが、丸和の有利子負債約250億円の内、約60億円がDESの対象となる。DES(Debt Equity Swap)とは債務の株式化のことであり、丸和がユアーズと合併後、その債務の内、60億円を株式化し、有利子負債の軽減化をはかることである。そして、残り約190億円であるが、これが返済条件緩和の対象となり、DESと同様、有利子負債の軽減化をはかるとのことである。これにより、丸和の有利子負債約250億円は大幅な軽減化が図られ、経営再建に大きく踏み出すことが可能となる。ちなみに、親会社ユアーズとの合併は来年5月の予定であるという。
では、このように、有利子負債の軽減化をはかる一方、営業面ではどのような改革に取り組むかであるが、「(a)更なる不採算店舗の撤退等、(b)グループ全体における新規出店、既存店舗投資の積極化、店舗フォーマットのモデル統一、(c)会社規模に見合った費用構造への転換やグループ全体での効率経営の一層の追求等の諸施策を行う、・・」とのことである。(a)と(b)を同時に行い、売上高の減少を食い止め、(c)で経費削減をはかり、利益を確保するという内容であるといえよう。また、組織改革としては、「(a)本部機能の一体化による管理コストの削減及び、(b)経営の一元化によるガバナンス体制の強化を目的、・・」とのことで、親会社ユアーズとの合併を行うという。
そして、このような政策の結果、「平成24年9月期には876百万円、平成25年9月期には1,182百万円、平成26年9月期には1,217百万円、平成27年9月期には1,250百万円、平成28年9月期には1,283百万円の経常利益が生じることになり、平成24年9月期には経常損益の黒字化が達成される見込み、・・」とのことで、経常利益の黒字は2年後の見込みであるという。
また、このような金融機関の協力を得ての有利子負債の軽減、その後の一連の経営改革を着実に実施するために経営者責任、株主責任を明確にするとのことである。経営者責任については、代表取締役の異動(2010年11月1日)、そして、株主責任については、DESの60億円に見合う取得請求権付優先株式が丸和吸収合併後の親会社ユアーズから発行されることになるが、これにより、現在の丸和の株式がいわゆる希釈化(うすめられ)され、結果、株主責任を果たすことになるという。
このように、懸念されていた丸和の第3回債権者会議が10/22に開催され、全金融機関からの同意が得られたことにより、ADRという食品スーパーマーケットでは珍しい経営再建が動きだした。ただ、丸和は来年5月には親会社ユアーズと合併し、吸収されることになるので、会社そのものは来年5月までの存続となる。ということは、事実上のM&Aと同じスキームでもあるといえ、M&Aに入る前に、ADRにより有利子負債の軽減化を裁判手続きなしにはかることにあるともいえよう。今後、この流れを受け、親会社ユアーズがどのような経営戦略を打ち出すか注目である。
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