CPI(消費者物価指数)、2010年8月度、-0.9%!
10/1、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)、2010年8月度が公表された。結果は、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として99.5 となり、前月比は0.3%の上昇。前年同月比は0.9%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.1となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月比は1.0%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.0となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月比は1.5%の下落となった。」とのことである。いずれの指標も昨対は下落しており、デフレ傾向が鮮明である。
消費者物価指数(CPI)には3つの指標があり、(1)は文字通り総合指標、(2)は相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指標、そして(3)は、さらに、エネルギー等の国際相場の変動を除く総合指数である。結果は、昨対で(1)0.9%、(2)1.0%、(3)1.5%の下落であるので、明らかな物価下落であるといえる。実際、過去4年間の平成17年度を100とした場合の折れ線グラフを見ると、昨年の10月頃から3つの総合指数がいずれも100を割っており、もどる気配が薄いのが実態であり、特に、(3)は深刻なデフレの様相を呈している。ただし、この中には、この4月度以降、高校授業料の無料化が含まれており、その分の物価下落もある。この4月度の総務省統計局の試算では-0.54の寄与度であるとのことであるが、それを加味しても、物価は下がっており、しかも、この4月以降も下がる傾向が鮮明であり、明らかにデフレ傾向がほぼ1年継続しているといえよう。
また、グラフはもうひとつ公表されており、棒グラフである。これは前年同月比、すなわち、昨対を表したものであるが、このグラフを見ると、デフレはさらに深刻な状況であることがわかる。平成17年度比では、昨年10月から100を切ったが、この前年同月比では何と昨年1月から昨対を切っており、約2年間マイナスが続いており、デフレがより、深刻な状況にあることがわかる。通常、これまでは、約1年ごとにマイナス、プラスを繰り返すsinカーブの動きであったが、1年たっても一向にマイナスからプラスに転じる動きはなく、高校授業料の無償化があった4月以降、横ばいとなり、この8月度も横ばいが続いており、高校授業料の無償化がなくても、デフレ傾向は変わらない状況といえよう。
では、この高校授業料の無償化以外にデフレに影響を与えている項目を見てみたい。影響度の大きい順に見てみると、まずは10大費目では、教育の-0.49を除くと、食料の-0.18(生鮮食品0.13、生鮮食品を除く食料-0.28)、教養娯楽-0.15、家具・家事用品-0.14、住居-0.10、が主なマイナス費目である。ちなみに、プラスとなったのは光熱・水道0.20、交通・通信0.08の2項目のみであり、その他はすべてマイナスと厳しい状況にあるのが実態である。
そこで、さらに、品目まで見てみると、マイナスの大きな品目であるが、カメラ-36.0、テレビ(薄型)-33.2、パソコン(デスクトップ)-32.0、パソコン(ノート型)-22.8、食用油-12.8、ビスケット-9.2、うなぎかば焼-9.0、スパゲッティ-8.5、ミネラルウォーター-7.9、航空運賃-3.4、高速自動車国道料金-3.4等がマイナスが大きい品目である。ちなみに、高校授業料の無償化であるが、公立高校授業化-98.5、私立高校授業-25.1と大きく、寄与度は-0.39、-0.10と合計-0.49であり、4月度の-0.54よりもやや下がっている。
ついで、食品関連についてさらに詳しく見てみたい。消費者物価指数(CPI)は家計調査データとほぼ同じ項目で統計数字が公表されているので、かなり細かい品目で見ることが可能である。そこで、-10よりも下回る項目は、かつお-32.0、えだまめ-21.1、ししゃも-19.2、液体調味料-15.7、インスタントコーヒー-14.1、丸干しいわし-12.4、えのきだけ-11.9、果物缶詰-11.8、ビスケット-11.6、ばれいしょ-11.3、たらこ-11.2、調理パスタ-10.3、食用油-10.0である。
さらに、-5.0まで見ると、魚介缶詰-9.8、ケチャップ-9.7、干しあじ-9.5、生しいたけ-9.1、冷凍調理コロッケ-8.7、カツレツ-8.6、干しうどん-8.3、果汁入り飲料-7.9、だいこん-7.8、風味調味料-7.7、チーズ-7.6、ポテトチップス-7.5、れんこん-7.4、ねぎ-7.2、たこ-6.9、たまねぎ-6.8、キムチ-6.7、スパゲッティ-6.6、しめじ-6.5、いわし-6.3、もち-6.2、豆腐-6.2、ソース-5.9、おにぎり-5.9、炭酸飲料-5.9、梅干し-5.8、ふりかけ-5.8、酢-5.7、牛肉A-5.6、バナナ-5.3、国産米B-5.2、ハム-5.0である。
このように、消費者物価指数(CPI)は、この8月度になっても、依然としてデフレ傾向が鮮明であり、平成17年度比では約1年、昨年同月比では約2年近くマイナスが続いており、デフレが定着してしまったかの感があり、深刻な状況にあるといえよう。8月度は猛暑の影響もあり、消費者物価指数にも変化があるかと思われたが、結果は猛暑の影響は全体の傾向には影響がなかったといえよう。こうなると、今後、どこまでこのデフレ傾向が継続するのか読めない状況になったといえ、こと食品スーパーマーケットにとっては厳しい1年になるといえ、今期後半もデフレを前提に経営戦略を立てる必要があろう。
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