食品スーパー売上速報、2010年10月、102.1%!
食品スーパーマーケット、2010年10月度の売上速報が11/27、オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、社団法人新日本スーパーマーケット協会の3団体合同統計として公表された。結果は全体の売上高が74,921,083万円(昨対102.1%)となり、前月、9月度の確定値が同時に公表されたが102.5%であるので、10月度も堅調な結果となった。特に、この2ケ月間は猛暑による青果の相場高となり、食品スーパーマーケットの中核部門、青果にプラスの影響が出ており、これが全体を底上げしたこともあるといえる。ただ、その他の部門も堅調な数字となり、食品スーパーマーケット業界は全体としては、ここ数ケ月、安定した売上高が確保できているといえよう。
この食品スーパーマーケットの売上速報は、先の3団体の全国の加盟食品スーパーマーケットの集計データであり、店舗数では7,066店舗、企業数では北海道・東北45社、関東78社、東海・北陸69社、関西36社、中国・四国42社、九州・沖縄22社、合計292社をカバーしており、日本全国の主要食品スーパーマーケットが網羅され、食品スーパーマーケット業界の現状を知る上で、唯一の貴重な統計データである。
この統計はこの4月度からスタートしたが、それ以前はチェーンストア協会等の数字が基本とされていた。その中にはGMSなどビックストアが入り、衣料品、住関連品等の数字も入り、食品スーパーマーケットの数字を撹乱していたきらいがあった。また、食品についても、食品スーパーマーケット業界とGMSでは傾向が違い、GMSの規模が大きいため、GMSの結果を反映する傾向が強く、食品スーパーマーケットの純粋な数字が隠れてしまっていたといえる。これに対して、今回のこの3団体の統計は純粋な食品スーパーマーケットの数字であり、食品スーパーマーケットの現況を強く反映しており、信頼のできる数字といえる。特に、全体の数字だけでなく、食品スーパーマーケット特有の生鮮3品、青果、水産、畜産、そして、惣菜も別途集計されており、まさに、食品スーパーマーケット業界独自の集計となっているのが特徴である。
さて、その各部門の結果であるが、何といっても青果が109.9%(売上構成比13.3%:前月昨対103.7%)となったことが大きい。全体が102.1%であるので、全体を力強く牽引している。これは、相場高が平均単価を押し上げたといえ、結果、売上高を大きく上昇させたものと思われる。一般に食品スーパーマーケットの青果は相場と連動しており、相場が上昇すると売上高も上昇し、相場が下がると売上高も下がる傾向が強い。これは、食生活の根幹を支える野菜のPI値が価格の上昇ほど下がらない傾向が強いためである。通常の商品はPI値と価格とは反比例の関係が強く、価格上昇、PI値ダウンとなるが、青果はPI値ダウンの幅が他の商品よりも弱いという特徴があるがゆえの今回の結果であるといえよう。したがって、マーチャンダイジングが改善された効果よりも、相場の影響が色濃く出た結果といえよう。
この青果についで、伸びた部門は、104.0%(売上構成比8.9%)の惣菜である。前月も104.0%であるので、ここ数ケ月、惣菜は好調な部門であり、全体の102.1%を超え、青果と並び、食品スーパーマーケット全体の売上げを力強く押し上げているといえる。これはデフレ傾向が引き続き続いているので、外食から内食需要へとシフトしている傾向もあるのではないかと思われる。
景気に関しては、本調査と同時に各社の景況感指数(DI:Diffusion Index)を公表しているが、この中で 景気判断DIを見ると、3ケ月前との比較は45.2、3ケ月後の見通しは44.6と、食品スーパーマーケットの経営者は景気に関しては厳しい見方をしていることがわかる。したがって、惣菜を含め、外食よりも食品スーパーマーケットで素材、おかずを購入する傾向が強いのではないかと思われる。
ついで伸び率の高い部門であるが、畜産102.0%(売上構成比10.2%)、一般食品・その他101.4%(売上構成比44.6%)となる。そして、水産であるが、残念ながら99.0%(売上構成比8.8%)となり、雄一、厳しい部門となった。しかも、売上構成比も青果13.3%、畜産10.2%と比べ、水産8.8%はかなり低い数字であり、惣菜の8.8%と同率、惣菜の伸びを見ると、さらに、厳しい数字が予想され、今後、食品スーパーマーケットにとっては、水産の活性化が大きな課題となろう。また、食品以外、非食品であるが98.9%(売上構成比14.3%)という結果であり、食品とは対照的な結果となった。
このように2010年10月度の食品スーパーマーケット業界の売上速報は102.1%と堅調な伸びとなった。特に、青果は109.9%と2桁に迫る伸びとなり、相場の好影響も加わり、絶好調であったといえよう。また、青果以外では惣菜の伸びも104.0%と全体を押し上げており、好調である。まだ売上構成比が8.8%であり、今後、10%を超え、青果につぐ食品スーパーマーケットの柱になる可能性が高く、今後の食品スーパーマーケットの有力部門といえよう。ただ、景気は依然としてデフレ基調が続いており、景気判断DIも45.2と、食品スーパーマーケットの経営者は厳しい見方をしている。今後、デフレ基調の中で、どのように売上げを伸ばしてゆくか、次の11月、そして、食品スーパーマーケット最大の売上月12月度の動向が気になるところである。
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