ダイイチ、2010年9月期本決算、増収増益!
北海道のダイイチが11/10、2010年9月期の本決算を公表した。結果は、売上高292.22億円(4.1%)、営業利益6.33億円(21.5%)、経常利益5.73億円(20.6%)、当期純利益3.95億円(40.9%)となり、増収増益、特に利益は2桁増の好決算となった。利益増に対し、売上高の伸びがやや低いが、これは、ダイイチが今期、積極的にスクラップ&ビルドを実践した結果である。
今期はビルドとして、「6月に大型複合商業施設内の核店舗として「自衛隊前店」(帯広ブロック)、7月に直営売り場面積722坪の当社最大規模の「花咲店」(旭川ブロック)」を新規出店している。一方、スクラップとしては、「小型店の「ハーモニー店」(帯広ブロック)、「北斗店」(旭川ブロック)および「神居店」(旭川ブロック)を閉店」し、結果、総店舗数は合計19店舗となった。ダイイチは、ドミナントを3つのブロックに分けて管理しているが、このスクラップ&ビルドの結果、「帯広ブロックは142億20百万円(前年同期比9.2%増)、旭川ブロックは103.16億円(同0.7%減)、札幌ブロックは46億.72円(同0.8%増)」となり、帯広ブロックの伸びが顕著であった。
一方、利益が2桁増になった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.95%(昨年76.81%)と0.14ポイント上昇している。ダイイチ自身も、「当社グループを取り巻くスーパーマーケット業界は、需給ギャップによるデフレ圧力に加え、消費者の節約志向や自己防衛意識が強まる中、企業間競争の激化に伴い販売価格の下落を余儀なくされ、極めて厳しい経営環境にありました。」とのことで、販売価格の下落が、原価に影響を与えたといえよう。結果、売上総利益は、23.05%(昨年23.19%)となった。ついで、経費の方であるが、22.34%(昨年22.49%)と、0.15ポイント減少しており、経費の削減が進んだ。これについて、ダイイチは、「人員配置の効率化や光熱費など徹底したコスト削減に努め、消費不振の中で競合他社との激しい消耗戦に備えるべき体制作りに取り組んでまいりました。」と、コメントしており、人件費、水道光熱費を特に削減したとのことである。
結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.71%(昨年0.70%)と、経費削減分が寄与し、0.1ポイントの改善となった。これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.47%(昨年1.16%)が加わり、営業利益は2.18%(昨年1.86%)と、増益、さらに売上高の増収が相まって、営業利益高は2桁の増益となる好決算となった。ただ、マーチャンダイジング力はわずか、0.01ポイントの改善に留まっており、増益はその他営業収入に負うところが大きく、今後、ますます経営環境が厳しくなることが予想され、やや気になるところである。
では、今期のダイイチの財務面はどうであったかを、B/S、キャッシュフロー面から見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、34.0%(昨年34.9%)と、0.9ポイント下がっており、しかも、34.0%と低く、結果66%を負債に負う財務構造であり、経営を圧迫している状況といえる。その負債の中身であるが、有利子負債が56.96億円(昨年49.28億円)と、総資産143.46億円(昨年130.25億円)の39.70%(昨年37.83%)と、自己資本比率を超え、経営に重くのしかかっているといえよう。一方、出店にかかわる資産、土地、建物、資金保証金等の合計は、110.97億円(昨年106.17億円)となり、総資産の77.35%(昨年81.51%)である。したがって、自己資本比率との差、出店余力は-43.35%(昨年-46.61%)となり、負債に大きく依存する出店構造となっており、今後、新規出店を果たし、成長軌道に乗せるには、一層の財務改善が課題といえよう。
そこで、今後の出店戦略であるが、投資活動によるキャッシュフローを見ると、-10.27億円(昨年-4.61億円)と倍増している。この内、出店関連の投資、すなわち、有形固定資産の取得による支出、建設協力金の支払いによる支出、敷金及び保証金の差入れによる支出等を見ると、-10.53億円(昨年-4.94億円)であり、大幅に増加しており、積極的な新規出店への投資であるといえる。ダイイチの1店舗当たりの出店にかかわる資産が、現在19店舗であるので、5.84億円となるので、ほぼ2店舗分の投資であり、ここから出店意欲を計算すると2店舗/19店舗、105.26%となる。今後も厳しい財務状況の中ではあるが、スクラップ&ビルド戦略を実施し、増収を確保してゆくものと思われる。ちなみに、来期予想であるが、売上高302.21億円(3.4%)、営業利益6.83億円(8.0%)であり、売上高300億円を達成し、増収増益を確保する予想である。
このようにダイイチの2010年9月期の本決算が公表されたが、増収増益、特に、利益は2桁増という好決算となったが、その利益構造をみると、その他営業収入に負うところが大きく、経費の削減が原価の上昇で相殺されており、もう一段と、利益を改善したいところであろう。また、自己資本比率も34.0%と負債に大きく依存する財務構造となっており、今後、安定的に新規出店を果たしてゆくにはやや厳しい状況にある。ダイイチとしては、まずは、マーチャンダイジング力を強化し、キャッシュを生み出し、財務改善につなげてゆくことが先決といえ、短期はもちろん、同時に、中長期的な経営戦略をどう構築するかが経営課題といえ、その動向に注目である。
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