マミーマート、2010年9月期本決算、減収増益!
食品スーパーマーケット業界の上場企業は約50社あるが、その中で9月期決算企業は4社ある。PLANT、ダイイチ、マルキョウ、マミーマートである。すでに、この内3社、PLANT、ダイイチ、マルキョウについては、本ブログで取り上げたので、今回は、11/12に公表されたマミーマートについての本決算を見てみたい。まずは、その結果であるが、売上高824.83億円(-0.9%)、営業利益15.26億円(1.9%)、経常利益18.56億円(0.7%)、当期純利益7.13億円(-13.5%)と、営業段階では、減収増益となる決算となった。
そこで、減収になった要因であるが、マミーマートは平成21年11月に千葉県柏市に光ヶ丘店、平成22年6月に埼玉県川口市に川口芝店を新規出店しているが、一方で、経営効率化の観点から堀の内店・早稲田店を閉鎖したという。したがって、総店舗数は67店舗と変わらず、新規出店による売上増がスクラップ&ビルド政策で相殺されている。
一般に食品スーパーマーケットの売上高は既存店の押し上げ効果は弱く、新規出店による増収がほぼ100%といってよく、スクラップよりもビルドが上回った時に、売上げが増加する。したがって、マミーマートが5%の成長を目指すには、現在67店舗であるので、少なくとも3店舗以上の新規出店の純増が必要となる。仮に10%であれば、7店舗は欲しいところだ。今期、残念ながら純増0であり、結果、売上高が-0.9%と伸び悩んだものといえよう。
ちなみに、今期のマミーマートの投資活動によるキャッシュフローであるが、有形固定資産の取得による支出が-42.18億円(昨年31.02億円)である。マミーマートの出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等の合計は225.87億円であり、これを67店舗で割ると、1店舗当たり3.37億円となる。したがって、今期は42.18/3.37=12.5店舗となり、12.5店舗/67店舗=18.6%の出店意欲であり、強気の新規出店戦略であるといえる。来期は今期以上に新規出店がはかられ、売上増を目指すのではないかと想定される。実際、来期の通期予想の売上高は425.00億円(3.2%)であるので、増収の予想である。
また、この出店にかかわる資産225.87億円は総資産343.56億円の65.74%となる。今期、マミーマートの自己資本比率が50.2%(昨年52.7%)であるので、差し引き出店余力は15.54%であり、この分を負債に負う財務構造となっている。その負債の主要項目、有利子負債は61.25億円(昨年36.53億円)と増加しており、総資産に占める割合は17.82%とやや重くなりつつある。したがって、ほぼ、この有利子負債分を新規出店に回している構図といえ、もう一段、財務の改善を図りたいところであろう。
一方、営業利益が増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価あるが、75.94%(昨年75.99%)であり、若干であるが、原価の改善が図られている。マミーマート自身も、「生鮮部門を中心に週間単位の重点販売商品を展開し、お客様にお買い求め易い商品展開を行ない、また、㈱マミーマートのプライベートブランドである「mami+」(マミープラス)商品の開発を積極的に進め、品質と価格での訴求を行ってまいりました。」とのことで、生鮮食品、PBの強化を図ったことが、原価改善につながったものといえよう。結果、売上総利益は24.06%(昨年24.01%)となった。
これに対し、経費の方であるが、23.70%(昨年23.68%)と、微妙な数字であるが、若干の上昇が見られる。ただ、マミーマート自身としては、「ローコストオペレーションを実現するため、精肉部門のアウトパック商品比率UP、納品形態の変更による陳列作業の簡素化、ジョブフリーによる店舗作業効率の改善を図ってまいりました。」とのことで、積極的なローコストオペレーションの確立に向けて動いており、今後、数字にも反映されてくるものと期待される。ちなみに、今期の23.70%は、決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が25.6%であるので、マミーマートはトップクラスの経費比率の低さである。
したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.36%(昨年0.33%)と、わずかではあるが、改善した。原価の改善が寄与したといえよう。これに、その他営業収入が1.49%(昨年1.47%)のり、営業利益は1.85%(1.80%)と増益になった。売上高では若干の伸び悩みがあったが、営業利益率の上昇で相殺し、今期増益を確保したといえる。今後、新規出店が順調に進み、増収が確保できれば、増収増益が視野に入ってきたといえよう。
このようにマミーマートの2010年9月期決算は、スクラップ&ビルドにより、店舗の純増につながらず、減収とはなったが、原価の改善が経費の上昇を抑え、増益を確保した。そこで今後であるが、投資活動によるキャッシュフローを見る限り、マミーマートは積極的な新店開発に踏み込む可能性が高く、来期以降は増収も期待できよう。有利子負債が増加したのはやや気になる点であるが、成長戦略を優先した今期の経営方針であるといえ、今後、マミーマートが財務改善をどのように進め、積極的な成長戦略とのバランスをとってゆくかが注目である。
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