家計調査データ、2010年9月度、食品98.5%!
総務省統計局から10/29、2010年9月度の家計調査データが公表された。本ブログでは、食品スーパーマーケットの客単価と連動を図るために月間のデータを1日当たりに変換し、かつ、購入世帯のみの消費金額と未購入者も含めた全体の消費金額、及び、購入者の割合を全項目で独自に算出し、消費実態をより深く分析している。その結果であるが、外食を抜いた食品の2010年9月度の消費額は1,941.27円(98.5%)となり、昨対をわずかに下回り、やや厳しい結果となった。
これまでの結果を見ても、8月度2,037.32円(98.6%)、7月度1,980.42円(99.5%)、6月度1,947.93円(98.1%)、5月度2,039.97円(97.2%)、4月度1,898.10円(97.9%)、3月度1,927.32円(98.3%)、2月度1,914.82円(97.0%)、1月度1,778.32円(99.1%)という状況であり、今年に入って、昨対を超えた月は1回もなく、消費者物価指数同様、消費はデフレ気味で推移しているといえよう。ただ、この9月度は猛暑の影響とたばこの関係で消費が上向くのではないかと思われたが、結果は98.5%であるので、全体を押し上げるまでにはならなかったといえる。
そこで、まず、たばこの影響を見てみたい。家計調査データではたばこはその他の消費支出に分類されており、その結果であるが、たばこ75.30円(245.5%)、購入者のみ448.48円(233.0%)、購入者の割合16.8%(105.4%)という結果である。この結果を見ると、明らかに異常値であり、昨対245.5%となった。ただ、購入者の割合はわずか105.4%であり、購入者のみの数字が233.0%と大きく伸びたのが要因であり、買いだめが激しく起こったことによる消費増といえよう。
これについて、総務省統計局では新たにたばこのみの分析を過去2回の値上げ、平成18年度と平成15年度の時と比較しているが、それを見ると、今回の方が大きく伸びており、たばこの買いだめが強かったといえる。また、過去2度の数字を見ると翌月にはたばこの消費が半減するが、翌翌月には戻っており、今回もどう動くか興味深いところである。さらに、日別の動きも分析しているが、これを見ると、値上げ1週間前から消費が上昇し始め、5日前当たりからは加速度的に上昇し、前日が通常の6倍ぐらいまで跳ね上がっているのが特徴である。
一方、猛暑の動きであるが、まず、飲料全体が140.43円(108.9%)と伸びており、特に、炭酸飲料12.07円(123.5%)、乳酸菌飲料10.47円(113.4%)、果実・野菜ジュース27.07円(111.2%)、ミネラルウォーター7.63円(110.1%)と、いずれも2桁の伸びである。ただ、紅茶1.70円(81.0%)、緑茶7.43円(83.2%)、コーヒー10.23円(89.5%)は伸び悩んでおり、猛暑だからといって、すべての飲料が伸びているわけではない。これ以外ではアイスクリーム・シャーベットが28.80円(119.5%)、購入者のみ38.82円(107.7%)、購入者の割合74.2%(111.0%)であり、新規購入者も大きく増加しているのが特徴である。また、酒類では、発泡酒・ビール風アルコール飲料が27.23円(158.9%)と大きく伸びているのは特徴である。
さらに、果物では、ももが5.23円(163.5%)と大きく伸びたが、その要因は購入者のみが34.84円(112.8%)と伸びた以上に、購入者の割合が15.0%(145.0%)と大きく上昇しており、まさに、猛暑でももを購入する新規の購入者が大きく増加したといえよう。もも以外でも、グレープフルーツ1.63円(136.1%)、オレンジ1.13円(117.2%)、キウイフルーツ3.27円(116.7%)等も良く伸びている。逆に、りんご10.73円(88.5%)、みかん5.57円(94.9%)は伸び悩んでおり、果物も飲料同様、明暗が分かれた。
では、食品全般のこの9月度状況はどうであったかであるが、伸びた部門は、先の飲料が140.43円(108.9%)と伸びたことに加え、発泡酒・ビール風アルコール飲料が牽引した酒類が108.80円(104.7%)と伸びている。これ以外の部門では調理食品265.67円(100.5%)、乳卵類112.00円(100.4%)が、わずかではあるが、伸びた部門である。逆に、伸び悩んだ部門であるが、菓子類193.53円(94.7%)、穀類223.97円(94.8%)、魚介類204.17円(95.6%)、油脂・調味料101.40円(96.1%)、果物111.60円(96.2%)、野菜・海藻278.40円(98.0%)、肉類201.27円(99.6%)であり、特に、果物は猛暑の影響で先に見たように伸びたものもあるが、全体としては、伸び悩んだといえる。
特に伸び悩んだ項目を見ると、まぐろ13.23円(88.8%)、さんま11.63円(87.3%)、たい2.67円(86.0%)、ほうれんそう3.43円(64.0%)、さつまいも3.33円(82.6%)、さといも3.60円(86.4%)、だいこん 5.83円(87.1%)、さやまめ5.77円(70.3%)、食用油7.40円(83.5%)、マーガリン2.23円(81.7%)、砂糖2.90円(82.1%)、酢3.10円(87.7%)、風味調味料4.63円(89.1%)、カステラ1.97円(69.4%)、ケーキ14.90円(89.6%)、プリン4.17円(89.9%)、せんべい12.40円(89.0%)、ビスケット7.53円(88.6%)、キャンデー5.40円(87.1%)、チョコレート 6.97円(87.1%)等である。
このように、2010年9月度の家計調査データを見ると、たばこと猛暑との影響により、伸びた項目は大きく伸びているが、全体へ影響を与えるほどではなく、むしろ、伸び悩んだ部門の方が多かったといえる。また、2桁以上昨対を下回っている項目も多く見られ、全体としては、家計の消費は伸び悩んだといえ、これまでのデフレ気味の厳しい消費動向とほぼ同じ結果であったといえよう。今後、消費者物価指数を見ても、デフレはしばらくは継続しそうな状況といえ、消費も厳しい状況が続くものといえよう。来月以降は、たばこの反動、猛暑の効果も消え、消費はさらに厳しい局面を迎えるのではないかと懸念され、今年は厳しい1年となりそうである。
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