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November 12, 2010

ヤマザワ、2011年3月期、中間決算、減収減益!

   ヤマザワが、2011年3月期、中間決算を10/29、公表した。結果は、売上高451.77億円(-1.4%)、営業利益11.05億円(-8.4%)、経常利益11.19億円(-8.1%)、当期純利益2.86億円(-52.2%)と、減収減益、厳しい中間決算となった。これについて、ヤマザワは、「個人消費においてはデフレの進行や円高による輸出産業の業績不安などから回復とは程遠く、非常に厳しい状況で推移いたしました。」とのことで、経営環境について、極めて厳しい認識である。また、「小売業界におきましても、消費者の生活防衛意識の高まりによる低価格志向への対応や店舗数の増加による競合の激化など、厳しい経営環境となりました。」と、低価格志向への対応が厳しい経営環境を招いた要因とのことである。

   実際、低価格志向への対応につては、「毎日午後2回タイムサービスを全店舗で実施し、野菜や日配品を中心に数量限定ではありますが、価格を大幅に値下げして販売し、好評を得ております。更に、「安さに挑戦値下げしました」と題し、利用頻度の高い商品を対象に当初200品目、その後500品目に拡大して、通常価格の値下げを行いました。」とのことで、思い切った価格政策を全店に渡って実施したとのことである。実際、ヤマザワの既存店の客数、客単価を見ると、客数が97.6%、客単価98.7%と、双方が下がっており、厳しい状況である。さらに、客単価の中身、PI値と平均単価を見ると、PI値は100.6%とわずかに上昇したが、平均単価が98.1%と下がっており、低価格志向への対応が、数字にも表れているといえよう。

   なお、当期純利益が-52.2%と大きく落ち込んだ理由は、食品スーパーマーケット全体にもいえることであるが、「資産除去債務に関する会計基準」に基づき特別損失4.51億円を計上したことによるという。この決算期から、ヤマザワ同様、資産除去関連の特別損失を計上する食品スーパーマーケットが多く、これがダイレクトに当期純利益に響いているといえる。ただ、この特別損失はキャッシュフロー上は、プラスとなり、この中間決算時のヤマザワの営業活動によるキャッシュフローは、18.99億円(昨年14.55億円)と増加している。当期純利益は昨年の10.54億円から、5.83億円と半減しているにも関わらず、増加しており、キャッシュフロー上はプラスといえる。

   また、今期は、「商品管理面におきましては、在庫削減に取り組みました。特に後方の在庫に関しては、在庫の保管什器の台数に上限を設け、一定数以上にならないよう目に見える形で管理してまいりました。」とのことで、在庫の削減にも努めており、これが、結果、営業活動によるキャッシュフローを見ると、たな卸資産の増減額(△は増加)が昨年の1.06億円から0.26億円へと大きく削減されており、在庫改善が進んでいるといえよう。ただ、これ以上に大きいのが、仕入債務の増減額(△は減少)が昨年の2.17億円から5.36億円へと増加していることであり、キャッシュアウトを極力減らしており、これらが相まって、今期は当期純利益が極めて厳しい状況の中、営業活動によるキャッシュフローはむしろ増加し、キャッシュを確保したといえる。

   では、その増加したキャッシュをどう投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローに配分したかを見てみたい。まずは、投資活動によるキャッシュフローであるが、5.64億円(昨年14.22億円)と大きく削減している。これは新規出店等への投資、有形固定資産の取得が昨年の13.73億円から、3.87億円へと大きく減少したことが大きい。ヤマザワの本決算時の1店舗当たりの出店にかかわる資産が4.36億円であるので、今期の3.87億円は1店舗弱の資産であり、成長戦略よりも、内部体制を固める経営決断であると思われる。

   そして、財務活動によるキャッシュフローであるが4.92億円(昨年1.00億円)と、昨年と一転、大きく増加している。その中身であるが、有利子負債の返済2.00億円、配当1.46億円、その他1.45億円であり、まさに、財務の改善に大半を配分している。結果、この中間期のヤマザワの有利子負債は15.20億円(決算時17.20億円)と削減され、総資産410.48億円のわずか3.7%となり、いつでも、返済できる状況にあるといえよう。実際、現金及び預金は48.24億円であり、実質、無借金経営といえよう。したがって、トータルキャッシュフローであるが、8.41億円(昨年-0.67億円)となり、結果、内部留保を充実させている。

   このように今期のヤマザワは明らかに、成長戦略から内部体制の充実、財務の改善に軸足を移していることがキャッシュの配分を見ると明らかである。したがって、後半も新規出店よりも、内部体制固めを重視した経営戦略をとることが予想され、既存店の活性化が当面の経営課題となろう。その意味ではまずは、価格対策としての平均単価のダウンが、どこまで、PI値アップに結び付き、さらに、客数アップにつながるかが課題といえよう。今後、後半、そして、来期へ向けて、ヤマザワがどのようなマーチャンダイジングの強化をはかるかに注目である。

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