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November 13, 2010

バロー、2011年3月期、中間、増収増益!

   バローが2011年3月期の中間決算を11/4、公表した。結果は、営業収益1,857.58億円(8.4%)、営業利益47.28億円(9.2%)、経常利益50.10億円(10.3%)、当期純利益11.11億円(-38.0%)となり、増収増益の好決算となった。ただ、当期純利益は、「「資産除去債務に関する会計基準」の適用に伴う特別損失14 .83億円を計上したこと等により、・・」とのことで、減益となった。

   この資産除去債務に関する会計基準は今年の4/1以降の上場企業に適用が義務づけられたため、この3月期決算企業から適用が始まっており、軒並み、当期純利益が特別損失として計上されるため、減益になる食品スーパーマーケットがあいついでいる。食品スーパーマーケットの資産のほとんどは固定資産であるため、この資産を将来除去する可能性が高いものに関しては、減価償却費と同様に費用化し、決算に反映させざるをえないためである。したがって、3月期の決算企業は軒並み、当期純利益がマイナスとなり、来期は2月期決算企業が同様に当期純利益の減益があいつぐことになろう。

   ちなみに、バローであるが、特別損失として、P/L上に資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額14.83億円を計上しているが、営業活動によるキャッシュフロー上では、同額が資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額として計上しており、キャッシュとしてはプラスとなる。バローの減価償却費がキャッシュフロー上は42.37億円であるので、約35%となるので、かなり大きな金額であるといえよう。また、B/Sの負債に関しても、資産除去債務として、流動負債に0.20億円、固定負債に31.21億円、合計31.41億円計上している。これまでにない、費用、キャッシュフロー、負債であり、今後、食品スーパーマーケットの決算数字を見る際、必ず発生する項目であり、注意が必要である。

   さて、バローの中間決算であるが、まずは、営業収益が8.4%と好調であった理由であるが、「店舗につきましては、SMバロー11 店舗・食鮮館タイヨー1店舗を新規に出店いたしましたほか、昨年度末に買収した(株)ビックポンドストアーのSM7店舗を、SMバロー1店舗・食鮮館タイヨー6店舗に改装して新規オープンいたしました。・・」とのことで、積極的な新店開発、店舗改装が寄与したといえる。結果、今中間決算期の店舗数は食品スーパーマーケットが143店舗となり、バローの事業所としては196店舗、グループ全体では他の業態も含め482店舗となった。ちなみに、最新店舗の概要であるが、この11/11にオープンしたバロー小牧岩崎店を見ると、総投資額が5.2億円であり、食品スーパーマーケットの平均4.73億円にほぼ近い数字である。売場面積は1,566.1平米(約475.5坪)であり、標準的な食品スーパーマーケットといえる。年商目標15.5億円(約425万円/日)である。これでバロー事業所としては197店舗、グループ全体では483店舗となった。

   一方、営業利益が9.2%と好調であった理由であるが、原価、経費面から見てみたい。まは、原価であるが、76.66%(昨年76.60%)と、0.06ポイントとわずかに上昇しているが、ほぼ昨年並みの水準を維持しており、結果、売上総利益は23.34%(昨年23.40%)となった。これについて、バローは、「チラシ特売価格による販売促進を減らし、毎日安定したお買い得価格で販売するEDLP施策も拡大しております。・・」とのことで、EDLP政策を拡大していることも原価の安定に寄与しているものといえよう。これに対し、経費の方であるが、24.48%(昨年24.66%)と、0.18ポイント削減しており、経費の改善が進んでいる。先のEDLP政策が、原価水準の維持に加え、経費の削減にも寄与していると思われる。一般にEDLP政策は、ちらし等の販促経費の削減に加え、発注数量が安定し、物流、発注、品出し、POP、棚割など、店内作業を大きく削減する効果があり、人件費、物流費等の経費の削減をもたらすといえ、今期の経費の減少は、このEDLP政策の寄与も少なからずあるといえよう。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、-1.14%(昨年-1.26%)と、マイナス幅が縮まっており、利益の改善をもたらしている。そして、これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が3.79%(昨年3.89%)加わり、営業利益は2.65%(昨年2.63%)と若干のプラスになった。これに、営業収入の伸び、8.4%が相まって、結果、営業利益は9.2%と、2桁近い伸びとなり、好調な中間決算となった。

   このようにバローの2011年3月期の中間決算は、今期から資産除去債務に関する会計基準が適用されたため、当期純利益は特別損失を計上したため、-38.0%となったが、営業、経常段階では、9.2%、10.3%とほぼ2桁の高い伸びを示し、好調な決算となった。これは、新店開発が順調に進んだことに加え、「全国的な猛暑による飲料需要等の増加もあり、SMバローにおける既存店売上高は、6月より9月まで4か月連続で前年比プラスで推移、・・」とのことで、既存店も好調に推移したことが大きかったといえよう。今後、後半、依然としてデフレ基調の厳しい経営環境が続くと思われるが、バローがこの好調さを維持できるかどうか、そのマーチャンダイジング政策に注目である。

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