関西スーパー、2011年3月期中間、増収増益!
関西スーパーマーケットが、10/28、2011年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益576.71億円(4.1%)、営業利益5.63億円(53.0%)、経常利益6.82億円(37.7%)、当期純利益2.91億円(前期は赤字)と、昨年の赤字から一転、黒字決算となり、増収増益となった。ただ、営業利益率は売上高対比で見ると0.99%と、依然として厳しい状況が続いており、なお、一層の収益の改善が欲しいところであろう。これについて、関西スーパーマーケット自身は、「当小売業界においては、猛暑の影響により、飲料、氷菓等の販売が好調であったものの、業態間競争の激化による商品単価の下落や消費者の節約志向に変化はなく、経営環境は依然厳しい状態が続いております。」との厳しい認識である。
そこで、まず、増益になった要因であるが、既存店は-0.3%とわずかなマイナスに留まったことが大きく、これに新店が4月に瓢箪山店(大阪府東大阪市)、江坂店(大阪府吹田市)、萬崎菱木店(堺市西区)、5月に善源寺店(大阪市都島区)の4店舗を出店したことが全体の営業収益を4.1%に押し上げた要因といえよう。ちなみに、部門別の状況であるが、最も売上高が伸びたのは青果8.5%(構成比16.63%)であり、ついで、惣菜7.0%(構成比8.08%)であり、この中間決算では、この2部門が全体を牽引したといえる。これ以外でも好調な部門が多く、日配5.2%(構成比15.75%)、一般食品4.5%(構成比27.27%)と、ここまでが、全体の平均値4.2%(売上高)を上回った部門である。それにしても、青果の構成比16.63%はかなり高い数字であり、精肉の12.35%、海産の10.01%と比べても頭一つ出ており、関西スーパーマーケットは生鮮3品、惣菜の中では青果がNo.1部門であり、集客の要となっているといえる。
その集客に関してであるが、関西スーパーマーケットのこの中間決算での粗利率を見ると、生鮮食品が22.7%、一般食品が24.6%であり、本来、粗利の高い生鮮食品の粗利が低く、生鮮食品、特に、青果の価格訴求をかけていると思われる。これについて、関西スーパーマーケットも「当社グループは、長期ビジョンとして「チャレンジ100!」をキャッチフレーズに、「2020年、店舗数100店舗・年商2,000億円」を掲げ、鮮度の良い商品を安く売り続けることに注力し、その地域に“なくてはならないスーパーマーケット(地域一番店)”の多店舗化を推進、・・」とのことで、長期ビジョンの中で、鮮度の良い商品を安く売り続けることに注力しているとのことで、今後ともこの生鮮の価格にこだわってゆくものと思われる。ただ、地域一番店と多店舗化とのバランスをとるのは難しいものがあり、今後、どのようにマネジメントしてゆくかが課題となろう。
次に、営業利益が増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.87%(昨年76.51%)と、0.36ポイント上昇している。コメントにもあるように、業態間競争の激化の影響が大きかったものといえよう。結果、売上総利益は23.13%(昨年23.49%)と、粗利は減少した。一方、経費の方であるが、24.01%(昨年24.85%)と0.84ポイント削減しており、経費の削減は大きく進んだ。これについて、関西スーパーマーケットは「管理面では、コスト削減のため、省電力照明の採用や節電による消費電力の削減、プラスチック類や紙類等の資源ゴミのリサイクル推進による可燃ゴミの減量化などを図りました。」とのことである。さらに、「ローコスト体制づくりとして、グロサリー商品の営業時間外集中補充作業の推進や一般食品、菓子および雑貨に続き日配商品の自動発注システムの実験と検証を繰り返すなど、店内作業削減と作業効率の向上に取り組みました。」とのことで、最大の経費、人件費にもメスを入れており、これらの効果が数字に反映されたものといえよう。
ただ、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.88%(昨年-1.36%)と、昨年よりは改善したが、依然としてマイナスであり、今後、原価、経費双方の改善がさらに必要といえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.88%(昨年2.04%)のり、結果、営業利益は1.00%(昨年0.68%)と、増益にはなったが、その他営業収入に負うところが大きかったといえる。こう見ると、この中間決算では、経費の削減が営業利益を改善した原動力であったといえ、原価、そして、その他営業収入に関しては、なお課題を残した決算結果であったといえよう。
ちなみに、関西スーパーマーケットの客数、客単価であるが、 1日の売上高(517.77万円)=客数(3,228人)×客単価(金額PI値)(1,604円)、客単価(金額PI値(1,604円)=PI値(989%)×平均単価(161.60円)である。典型的な都心型食品スーパーマーケットであり、客単価よりも客数、平均単価よりもPI値を重視したマーチャンダイジングが徹底されているといえ、ここから見ても、青果強化による集客を強く図っていることが頷ける数字である。
このように、2011年3月度の関西スーパーマーケットの中間決算は増収増益とはなったが、経費削減に負うところが大きく、さらに、マーチャンダイジング力は依然としてマイナスであり、その他営業収入に依存する状況といえる。それにしても、青果部門の構成比が16.63%と営業の柱になっており、これが客数、PI値、双方を強く押し上げているといえ、今後、他の部門との連携をどう図り、収益の確保、特に原価の改善をはかってゆくかが課題となろう。次の本決算、そして、中長期的に関西スーパーマーケットがどのように原価の改善をはかってゆくのか注目である。
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