ウォルマート、第3四半期、売上高3.8%増!
ウォルマートが11/16、2011年1月度の第3四半期決算を公表した。決算期間は2/1から10/31までの9ケ月間であり、ウォルマートの本決算は2011年1月、あとわずかであり、今期最終の四半期決算である。結果は、売上高$ 303,352(昨年$ 292,306:3.8 %)となり、単位は100万ドルであるので、1ドル83円で計算すると約25兆円となった。昨対が3.8%と微増であり、やや、売上高は伸び悩んだといえよう。一方、営業利益であるが、$17,538(昨年$16,544:6.0%)となり、増益、売上高比率で5.78%と堅調な数字となり、増収増益の好決算となった。
そこで、まず、売上高が3.8%増となった要因を事業構造から見てみたい。ウォルマートの事業構造は大きく3つに分かれており、米国内ウォルマート部門、サムズクラブ部門、そして、ウォルマートインターナショナル、すなわち、国際部門である。この内、最も伸びたのは国際部門13.5%である。少し前までは、ドル高が国際部門の売上を引き下げていたが、ここ最近は一転、ドル安になり、ウォルマートの国際部門の売上を押し上げており、この為替相場も好調な要因のひとつといえる。たとえば、1ドル100円の為替相場が現在1ドル83円の円高、すなわちドル安となっており、100円の売上げが現在は1.20ドルとなり、ドル安がウォルマートの国際部門の売上げを押し上げるためである。余談だが、セブン&アイHはアメリカのセブンイレブンの売上構成比が高いために、ドル安、すなわち、円高は不利に働き、このまま円高が続くと、決算にも影響が生じかねないといえよう。
では、アメリカ国内の状況はどうであったかであるが、ウォルマート部門は0.4%と微増であり、厳しい結果であった。ウォルマート全体の売上構成比が62.35%であるので、国際部門のドル安ばかりに頼っているわけにはいかず、今後、国内部門の活性化が課題といえよう。また、サムズクラブ部門は3.1%と堅調な数字であったが、売上構成比は11.98%とウォルマート全体への影響度は低く、これを見ても、ウォルマート部門の重要性がわかる。
次に、利益面を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、75.20%(昨年75.04%)と0.16ポイント上昇が見られる。結果、売上総利益は24.80%(昨年24.96%)となった。日本の食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の平均が25.0%であるので、ほぼ同じ数字であり、25.0%の粗利率は食品スーパーマーケットでは世界標準値ともいえよう。一方、経費の方であるが、19.72%(昨年20.03%)と、0.31ポイント改善しており、20%を下回る経費比率である。これも、日本の食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社で見ると、25.6%であり、約5%経費比率が低く、ここがウォルマートの真骨頂、ローコストオペンレーションであるといえよう。約25兆円の規模で20%を下回る経費比率であり、驚異的な数字といえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.08%(昨年4.93%)となり、昨年を上回った。原価の上昇を経費の削減でカバーしており、これが好調な決算の要因といえよう。そして、これにその他営業利益が0.70%(昨年0.73%)のり、営業利益は5.78%(昨年5.66%)と、わずかではあるが、増益となった。
この好調な決算を受けて、ウォルマートのキャッシュフロー、特に、今後の成長にかかわる投資活動によるキャッシュフローを見てみたい。今期は9,289百万ドル(約7,700億円:昨年8,661百万ドル)と昨年以上の投資をしており、その大半が新規出店がらみといえ、昨年以上に積極的な投資であるといえる。また、財務活動によるキャッシュフローでは、10,972百万ドル(昨年5,105百万ドル)を自社株買いに配分しており、実質、株主還元といえる。
これを受けて、ウォルマートの株価であるが、ここ数ケ月は株価が右上がりに上昇している。ちょうど5ケ月前の7/1に47.77ドルの底値を付けて以降、株価は上昇、8月には50ドルを超え、9月には54ドルを超えた。そして、11月には55ドルを超え、現在、54ドル前後で推移している。その背景には、この第3四半期決算が好調であったことに加え、先にあげた約100億ドルの自社株買いも効いているといえ、株主還元が徹底しているといえよう。
結果、この第3四半期のEPS(一株当たり利益)は増加している。ウォルマート自身もこの決算の冒頭で、「Walmart reports third quarter diluted earnings per share (EPS) of $0.95, compared to an adjusted $0.82 per share last year. 」とコメントしているように、0.95ドル/株(昨年0.82ドル/株)への増加を最も重要な決算結果として掲げており、いかに、株主還元がウォルマートの経営にとって重要事項であるかがわかる。
このように、ウォルマートの第3四半期決算が公表されたが、結果は増収増益の堅調な決算となった。ただ、売上高は国際部門によるところが大きく、利益は原価よりも、経費削減に負うところが大きく、やや気になる決算結果である。ウォルマートとしては、大黒柱の国内のウォルマート部門の売上、そして、EDLPの前提となる原価改善による増収増益を目指したいところであると思われ、今後、どのようにウォルマートが、この決算結果を受け、経営改善に踏み切るか注目である。
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