消費者物価指数(CPI)、2010年10月度、100.2%、上昇!
消費者物価指数(CPI)、2010年10月度が11/26、総務省統計局から公表された。結果は、総合指数が100.2%と、1年ぶりにプラスに転じた。ただ、3つある総合指数の内、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は依然として-0.6%、-0.8%であり、生鮮食品、食料(酒類を除く)及びエネルギーの貢献度が高いといえ、今後、消費者物価指数(CPI)全体がプラスに転じてゆくのかについては、もうしばらく推移を見る必要があろう。
そこで、総合指数が前年同月比で0.2%のプラスとなった要因を各項目の寄与度で見てみると、プラス要因となった項目は生鮮食品0.71(昨年0.45)、たばこ0.27(昨年0.00)、電気代0.09(昨年0.08)、灯油0.07(昨年0.08)、都市ガス代0.06(昨年0.05)、ガソリン0.06(昨年0.05)であり、見事に生鮮食品、食料(酒類を除く)及びエネルギーの項目であり、これが総合指数をプラスに転じた要因である。特に生鮮食品、たばこの貢献度が高かったといえ、今後はどちらも落ち着くものといえ、この結果を見る限り、来月以降は再び総合指数がマイナスに転じる可能性が高いといえ、デフレ基調は依然として続いているといえよう。
一方、マイナスの寄与度の項目も見ておきたい。最も大きくマイナスとなったのが公立高校授業料-0.39(昨年-0.39)であり、現在、この高校授業料の無料化が消費者物価指数全体を押し下げている最大の項目となっている。また、私立高校授業料も-0.10(昨年-0.10)であり、合計-0.49(昨年-0.49)となり、高校授業料は公立、私立ともに消費者物価指数を押し下げている。仮にこれを除くと、消費者物価指数はさらに上昇するが、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の方は、これを加味してみも依然としてマイナスであり、全体しては、デフレ基調であるといえよう。また、これ以外のマイナス項目では、生鮮食品を除く食料-0.28(-0.32)、その他-0.29(-0.49)である。食品は生鮮と非生鮮で対照的な結果となったといえよう。
したがって、この10月度の総合指数がプラスに転じた要因は生鮮食品の相場高、たばこの値上げによる影響が極めて大きかったといえる。また、資源、エネルギーもプラスに影響しており、全体として特殊要因といえよう。今後、これえらは徐々に落ち着いてくるといえ、一時的な物価上昇といえよう。今後は恐らく、徐々に落ち着いてくるものと予想され、消費者物価指数は再びマイナスとなる可能性が高いといえよう。
では、この10月度最も物価を押し上げた生鮮食品の状況を前年同月比で見てみたい。まずは大分類、中分類で見ると、生鮮野菜29.4%と異常値である。特に、レタス133.2%、トマト67.8%、はくさい60.0%、ピーマ54.1%、だいこん52.6%、さやいんげん51.9%と、50%以上上昇した項目も多い。ついで、キャベツ43.3%、ねぎ39.8%、ほうれんそう29.3%、きゅうり26.0%、ながいも25.1%、にんじん24.3%、ブロッコリー22.0%、なす19.9%、かんしょ14.6%、ばれいしょ14.5%、たまねぎ13.8%、さといも10.8%、れんこん10.1%が10%以上上昇した項目である。逆に、下がった項目はもやし-4.7%、生しいたけ-0.9%のみであり、いかに、野菜が異常な相場高であったかがわかる。
また、果物も24.0%と上昇しており、その中身を見ると、かき(果物)47.9%、りんごA33.5%、ぶどうB31.8%、なし29.5%、みかん16.7%、グレープフルーツ 15.4%と軒並み相場高の影響とえいよう。ただ、輸入品であるグレープフルーツが15.4%は異常値といえる。同じ輸入品のバナナ-1.7%、キウイフルーツ-2.0%はマイナス、オレンジ2.2%、 レモン0.4%は小幅な上昇であり、グッレープフルーツはかなり高い消費者物価指数であるといえよう。
青果以外では魚介類-1.4%、肉類-1.1%であり、いずれもマイナス、生鮮食品といっても、消費者物価指数にかかわる部門は青果に限定されるといっても良く、これが生鮮全体、さらには、消費者物価全体を押し上げてしまうといえ、影響力がいかに大きいかがわかる。見方を変えれば、それだけ家計にとって重要な部門といえ、青果の重要性が改めてクローズアップされた結果であったといえよう。
一方、消費者物価指数を下げる要因となっている生鮮食品以外の食品であるが、穀類-3.2%、特に、米類が-4.7%と大きく下がっている。ついで、乳卵類-1.0%、油脂・調味料-2.3%、菓子類-1.4%、調理食品-1.0%、飲料-1.7%、酒類-1.4%と、すべての大分類がマイナスであり、明らかなデフレ傾向が続いているといえよう。こう見ると、食品は青果のみが相場高により、異常値となっているといえ、この10月度の傾向が今後続く可能性は極めて低いといえよう。
このように、この10月度は消費者物価指数が100.2%と、上昇に転じたが、その中身を見ると、生鮮食品、特に青果の相場高による影響と、たばこの値上げの影響が大きかったといえ、一時的な動きであるといえよう。来月以降はどちらも落ち着いた数字となると思われ、またマイナスに転じることになると思われる。したがって、当面、デフレ基調は継続するものと思われ、食品スーパーマーケット業界にとっては厳しい年末となりそうである。
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