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November 11, 2010

ID-POS分析の醍醐味とは?

   ここ最近、ID-POS分析を実施する機会が増えつつある。ID-POS分析は通常のPOS分析と違い、文字通り、IDが把握できることが最大の違いであり、すべての分析に必ず、IDが加わることが特徴である。たとえば、店舗全体の分析に際しても、従来のPOS分析は売上金額、売上数量、レシート枚数の3つしか基本指標がなかったが、ID-POS分析になるとIDが加わり、しかも、このIDが基点となってPOS分析が進んでゆく。これは大分類、中分類、小分類となっても同様であり、さらに、SKUでもIDが加わり、POS分析が進んでゆく。その意味で、IDがはじめから、最後までついて回り、しかも、分析の基軸となることがポイントである。

   では、このIDが基軸となった場合、何が通常のPOS分析と違ってくるかであるが、はじめに明確な違いとなるのは、これまでのPOS分析では商品分析のフォーマットしかなかったものに、新たに、顧客、すなわち、IDを基軸にしたファーマットが登場する。これは、縦軸に商品が並んでいた商品分析のフォーマットの縦軸がIDとなり、IDが縦一直線に並ぶフォーマットができあがることである。商品はどこにいくかであるが、横軸が基本指標と分析指標となるので、フォーマット上は消える。というよりも、3次元となる。この1枚のフォーマットが対象分析商品の数だけ重なるイメージである。

   もちろん、横に、商品と基本指標、分析指標をつなげてゆけば、3次元を2次元で表すことができるが、これはかなり無理があり、したがって、せいぜい重点商品ぐらいに絞り、あとは、必要な分析対象の商品を別途、縦に顧客、横に基本指標と分析指標をもとに作成してゆくしかないといえる。特に、期間分析、たとえば、月別分析を行う場合などは、当然、横軸に月ごとの基本指標と分析指標が入るので、自然、商品を限定せざるをえないため、IDを基軸にしたフォーマットは商品を充分に表現することが物理的に無理があるといえる。ただ、このフォーマットがこれまでの通常のPOS分析ではありあえなかったフォーマットであるといえ、これがID-POS分析ならではの醍醐味のひとつといえる。

   では、このフォーマットから何が新たに分かるかであるが、商品のロイヤルカスタマーの購入実態をつぶさに把握することが可能になる。そして、その延長として、顧客をロイヤルカスタマーに導いてゆくための様々な仮説をつくることができる。いわば、これまでの商品からのアプローチに対して、顧客からのアプローチともいえ、これが数字で理解し、数字で仮説を立て、数字で検証でき、しかも、ID個々の購入実態を思い浮かべながら仮説検証ができるので、イメージで把握することができることである。

   商品からのアプローチではいまひとつ顧客のイメージがつかみにくかったが、この帳票を駆使すれば、顧客の購買行動がほぼイメージでき、イメージのあるマーチャンダイジング戦略をつくることができる。これがID-POS分析のまさに、醍醐味のひとつといえよう。そして、そのイメージはさらに膨らませることができる。これがもうひとつのID-POS分析の醍醐味であるが、IDを基点に商品変換が可能となることである。

   どういうことか、これまでのPOS分析では商品購入に関して、誰が、すなわち、IDが特定できかったため、膨大なレシートがあっても、誰のレシートかがわからなかった。それが、ID-POS分析ではレシート1枚1枚にID番号が振られるため、誰のレシートかが特定でき、IDの全購入商品まで分析を広げることができる。これが商品変換であり、対象商品だけでなく、最終的にはIDの全購入商品まで分析が可能となる。それにより、そのIDが対象商品に対してどのくらい貢献しているか、すなわち、商品のロイヤルカスタマー度を把握できるだけでなく、店舗全体の貢献度、すあなち、店舗のロイヤルカスタマー度まで把握できる。しかも、この2つを並列に配置したフォーマットを作れば、商品のロイヤルカスタマー度だけでなく、店舗のロイヤルカスタマー度まで一目でわかり、トータルに顧客を把握することができる。これがまさに、もうひとつのID-POS分析の醍醐味といえよう。

   ちなみに、この時の基本分析指標であるが、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値が基本となる。商品の場合も、店舗の場合もIDは変わらないが、それぞれの指標が大きく違ってくる。たとえば、商品の場合はID金額PI値は商品の売上高/IDであるが、店舗になると、全商品の売上高/IDとなるので、かなり大きな差となる。同様に、ID客数PI値も金額PI値も大きな差となり、これを同時に見ることにより、同じ顧客が商品へ対して、そして、店舗に対して、どのような購買行動をしているかがわかり、顧客の消費実態をより深くつかむことができ、まさに、顧客の消費実体のインメージ化が実現する。

   このように、ID-POS分析の醍醐味は、通常のPOS分析ではけっして把握できないIDが把握できるので、IDを基軸にした帳票があらたに作成され、顧客のより深い消費実態がイメージできることである。そして、もうひとつは、さらに、広く顧客が購入している全商品にまで分析対象を広げることができ、まさに顧客のトータルな消費実態をイメージできることである。これ以外にもID-POS分析の醍醐味は数多いが、特に、この2点は通常のPOS分析では得られない分析であり、ID-POS分析ができる環境にあるのであれば、是非その醍醐味を味わって欲しいところである。

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