N007:直売所決め手となるか、GS1データバー!
前回のブログで直売所のバーコードについて取り上げた。その最後にGS1データバーについて言及したが、ここでは、そのGS1データバーについて、改めて直売所との相性、今後の可能性、そして、食品スーパーマーケット業界への普及の可能性について考えてみたい。(財)流通システム開発センターによれば、GS1データバーは、「1990年代半ばに開発が始まり、2006年秋にISO/IEC国際標準規格となりました。我が国においても2008年秋から一部の医療医薬品の使用単位(個装)に表示されています。」とのことであり、さらに、国際的な流通システム分野の標準化機関、GS1では、2010年1月からGS1データバーが2014年までに段階的に利用可能としてゆくことで合意したという。
このGS1はベルギーに本部があり、世界中のバーコードの標準化をはかっている国際組織であり、日本の(財)流通システム開発センターはその日本支部、GS1ジャパンともなっており、今回のGS1データバーの標準化に合意している。いわば、会計分野で進んでいるIFRS(国際会計基準)と同じ、そのバーコード版である。では、その合意内容であるが、「①2010年から利用可能となるのは、合意された企業間における限定的な利用です。②2010年から2014年までの間、各国は読取機器やアプリケーション等の対応状況を踏まえ、それぞれ段階的に導入を進めることになります。③2014年の段階では、少なくとも、商品識別コード(GTIN)をソースマーキングしたGS1データバーが、何処でも(オープンに)読める体制が整えられることが求められています。」とのことである。
この国際合意を受けて、GS1ジャパン、すなわち、(財)流通システム開発センターでは、「これらPOSシステムやスキャナ、プリンタその他関連機器の導入、入替を行う企業に対して、GS1データバー対応機種を選定されることを強く推奨いたします。」とのことで、流通業界に現在も、今後も強く働きかけてゆくとのことである。
では、このGS1データバーは従来のいわゆる13桁のバーコードとどこが違うのかであるが、見た目と機能面から比較してみたい。まずは、見た目であるが、半分以下と小さい、しかも、さらに半分にして2段重ね、3段重ねも可能である。したがって、これまで難しいといわれていたリンゴやオレンジのような球体の果物などにも貼ることができ、スキャンでの読み取り精度も格段とアップしたという。すでに、ウォルマートはこのGS1データバーをサンキスト、ドールなどに働きかけており、日本でも輸入果物にGS1データバーが貼られ始めているという。
次に機能面であるが、最大の特徴はAI(Application Identifier)という機能が組み込まれたことである。これは、様々な情報項目を見分ける暗号のようなものであり、たとえば、(11)は製造年月日、(15)は販売期限日、(30)は個数、(315)は容量、(422)は原産国など、現在国際規格では、120種類の情報項目が標準化されており、日本国内はもちろん、世界中で識別可能であるという。特に(91)から(99)は独自に情報項目を設定できるので、この9つに様々な独自の情報をGS1データバーに入れ込むことも可能である。
ちなみに日本でこのGS1データバーにいち早く注目したのは医療品業界、コンビニエンス業界、食品スーパーマーケットの精肉部門である。いずれも安心、安全に絡む必要性から取り入れられた経緯がある。医薬品は人の命にかかわる薬の有効期限、使用期限の自動識別が可能となり、コンビニでは公共料金等のミスのゆるされない管理に活用され、食品スーパーマーケットの精肉部門では狂牛病の教訓から個体識別番号を組み込み、トレーサビリティーの確認、安全安心を確保する点から採用された。
こう見ると、青果物は見た目からも機能面からもまさにGS1データバーは最適なバーコードであるといえ、少なくとも現在の13桁の幅の長いインストアコードよりも、実用性は高いといえよう。特に、青果物専門店ともいえる直売所においては、地産地消、安全安心の観点、さらには、将来的には輸出も視野に入れると、食品スーパーマーケットの青果部門ももちろんであるが、それ以上に先駆けて、GS1データバーを活用し、消費者への安全安心を保障し、生産者の所得安定に寄与することが求められるのではないかと思う。
問題は直売所の生産者が高齢化しており、女性の生産者も多いということである。高齢者でも女性でも簡単、気軽に利用できるGS1データバーのオペレーションが必須であり、これについては、まだ実証実験がなされたことがなく、今後の課題として残っている。ITは日進月歩であり、高齢者、女性にも優しい仕組みができるのではないかと思うが、どう解決してゆくのかが課題といえよう。そして、もう一点、通常のPOS分析でもそうだが、分かり安く、実践的に活用可能な分析帳票の開発である。これも高齢者、女性の方でも一目で問題点が把握でき、翌日から価格政策、在庫管理、生産管理、新商品開発へのヒントが得られるようなわかりやすい帳票開発もポイントといえよう。
このようにすぐに直売所にGS1データバーを導入することは現時点では上記のような問題点があり、難しいかもしれないが、青果という形状が様々な商品を扱い、安心安全、そして、何より鮮度が重要な商品を扱う直売所においては、本来、食品スーパーマーケットに先駆けてでも、このような先進的な取り組み、国際的な視野をもって取り組むべきではないかと思う。また、このような観点から直売所の運営も考えてゆくべきではないかと思う。今後、どの直売所がいつGS1データバーを取り入れるか、注目したい。
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