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November 01, 2010

PLANT、2010年9月期決算、減収増益!

   PLANTが2010年9月度本決算を10/29、公表した。結果は、売上高834.61億円(-4.0%)、 営業利益21.09億円(46.5%)、経常利益20.03億円(78.3%)、当期純利益10.81 億円(74.6%)となり、減収とはなったが、大幅な増益となる決算となった。これについて、PLANT自身は特に、利益について次のようにコメントしている。まず、「利益におきましては、従来から取り組んでまいりました「在庫管理」「値入向上とロスの削減」のほか、昨年8月より導入した「生鮮管理システム」の本格稼動により粗利益率の改善が図れました。」とのことで、原価が改善したという。一方、経費の方も、「店舗運営において人時生産性を意識した人事管理が定着化したことにより作業効率の向上が実現し、主に人件費や販売費を売上高に応じてコントロールすることができ、・・」とのことで、改善が進んだという。

   そこで、このPLANTの本決算時での営業利益が大きく増益となった要因をP/Lの原価、経費面から確認してみたい。まずは原価であるが、80.36%(昨年80.76%)と、0.40ポイント改善しており、結果、売上総利益は19.64%(昨年19.24%)と、粗利が上昇した。コメントにもあったように、生鮮管理システムの本格稼働により、生鮮の粗利率が改善したものといえよう。PLNTは業態としてはスーパーセンターであるが、食品、すなわち、フードの売上構成比は66.3%と極めて高く、年々、上昇しており、いまや食品スーパーマーケットに限りなく近づきつつあるといえ、生鮮食品の粗利改善は店舗全体に大きな影響を与えるまでになったといえる。

   一方、経費の方であるが、17.46%(昨年17.85%)と0.39ポイント削減しており、コメントにもあるように作業効率の向上が人件費、販売費の削減に寄与したといえよう。実際、給料及び手当は67.55億円(売上対比7.79%)から62.33億円(売上対比7.49%)と5.22億円減少しており、売上対比でも0.30ポイント減少している。結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は2.18%(昨年1.39%)と0.79ポイント改善しており、 原価、経費双方の削減が大きかったといえよう。

   これに不動産賃貸収入が0.35%(昨年0.28%)となったが、ここでも数字が改善しており、結果、営業利益は2.53%(昨年1.67%)と大幅な増益となった。今期は原価、経費の改善に留まらず、その他営業収入である不動産賃貸収入も改善しており、トリプルでの利益改善となり、大幅な営業利益の改善をもたらしており、PLANTの収益の改善が鮮明になったといえよう。

   そこで、気になるのは、売上高であるが、残念ながら、今期は-4.0%とマイナスとなった。これは新規出店がなかったことが大きいといえる。一般に食品スーパーマーケットの成長戦略は新規出店による成長が原則であり、そのために財務を健全化し、出店余力を蓄え、毎年、安定的に新規出店を果たしてゆくことになるが、PLANTの今期の自己資本比率は21.2%(昨年17.4%)と、昨年よりは改善したとはいえ、負債に80%弱負っている財務構造であり、出店への余力が十分でないのが現状といえる。

   では、このような状況の中で、今期好調であった利益をどう配分し、どのような経営戦略を打ち出そうとしているのかを、キャッシュフローから見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、23.69億円(昨年32.57億円)と、8.88億円減少している。今期増益により、当期純利益は20.47億円(昨年10.83億円)と倍増したが、その他のマイナスが大きかったといえる。その要因を見てみると、未払い消費税等の減少が-4.06億円(昨年5.13億円)、さらに法人税等も支払いがかさんだためである。増益分がそっくり、税金関連で相殺された形であり、結果、昨年よりも営業活動によるキャッシュフローが減少するという結果となった。

   一方、投資活動によるキャッシュフローはどうであったかであるが、-7.48億円(昨年-10.79億円)であり、その中身は定期預金の預入による支出が-31.00億円と最大であり、同時に収入が24.00億円、差し引き、-7.00億円となった。したがって、残念ながら新規出店への投資はなく、来期も新規出店は厳しい状況にあるといえる。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは16.21億円(昨年21.78億円)となり、大半を財務活動によるキャッシュフローに回している。そして、その財務活動によるキャッシュフローであるが、-24.87億円(1.41億円)とフリーキャッシュフロー以上のキャッシュフローが発生しており、その中身は長期借入金の返済による支出-24.14億円であり、結果、内部留保も取り崩すこととなった。

   このように、今期決算のPLANTは減収とはなったが、大幅な増益となり、収益の回復は原価、経費、そして、その他営業収入とトリプルでの改善が寄与し、鮮明である。ただ、キャッシュフローはほぼすべてが有利子負債の削減のみに充てられており、成長戦略を描くまでには財務の改善は進んでいない。今期も有利子負債は167.12億円(総資産の46.54%)とまだまだ厳しい財務状況にあり、当面、キャッシュフローを財務の改善に振り向けざるをえない状況にあるといえる。ただ、今期同様、今後も安定的に利益の回復が見込めれば、5年前後で財務の健全化がはかれるものといえ、今期のように高収益な決算が今後とも継続できるかが課題といえよう。来期も今期同様、デフレ環境が予想されるが、PLANTがどこまで収益改善をはかってゆくけるか、その動向に注目である。

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