時間と金額、新たな視点!
ここ最近ID-POS分析の依頼が増え、膨大なデータと日々格闘している。ID-POS分析は通常のPOS分析と違い、IDが把握できることが最大の違いであるが、実はIDが把握できることにより、現時点ではまだ不可能であるが、新たな境地を開拓することができる。時間の導入である。これまで、マーチャンダイジングに時間という概念を導入することはあまりなかった。せいぜい、52週のマーチャンダイジング計画を策定するなど、中長期的な将来の時間に対して、商品の販売ピークを予想することなどに応用してきたことが主な時間の活用であったといえる。
ところが、時間はよくよく考えて見ると、金額、数量と同値の指標であり、顧客が商品を購入した瞬間に時間が発生する。本来、商品の販売は金額と同時に時間が付随しており、顧客の消費行動にはどのような段階においても時間が存在しているのが、実態である。ただ、時間が正確に測定できなかったために、時間が分析対象にならず、マーチャンダイジング政策に活かされなかっただけである。仮に、顧客の商品行動に応じて、時間が測定できるとすると、顧客と商品の関係は、従来のID、売上金額、売上数量に加え、新たに時間という指標が加わることになる。もちろん、現時点で時間を把握することは簡単にはできない話であるが、実は、時間は売上金額、売上数量と同値の指標であるといえ、把握できるのであれば、正確な時間をつかみ、マーチャンダイジング政策に活かしたいところである。
特に、可能、不可能は別として、顧客がちらしを見た時間、後々に購入した商品の時間をさかもどって、その対象商品をチェックした時間、その後、店舗についた時間、店舗に入った時間、対象商品にまでたどりついた時間、かごにピックアップした時間、レジで精算をした時間などが把握できれば、その時間を分析することにより、顧客の商品購入の瞬間のみから発生する売上金額、売上数量だけでなく、その購入に至るプロセスが把握でき、マーチャンダイジングへの応用が可能となる。特に、販売促進関連への様々な活用が可能となり、これまでの販促に時間という概念が加わることになる。
では、時間がわかった場合、どのように時間をマーチャンダイジングに活かすかであるが、時間は瞬間を測るのではなく、量として算出することがポイントである。ちょうど、売上金額が売価と数量の関係で決まるように、ちらしであれば、見始めた時間と見終わった時間、商品購入であれば、店舗に入った時間、レジで精算した時間、さらには、対象商品までへの到達時間、かごへのピックアップまでの時間等、量ではかることにより、あたかも、お金を費やすがごとく、時間を費やすことが把握できるからである。
時は金なりという言葉があるが、この言葉どおり、時間は金とイコールであり、顧客は自分に与えられた人生の貴重な時間を無意識に重要な事項から費やしており、時間をかけるものほど、重要なものといえる。あるいは、繰り返し、時間をかけるものはいわゆる習慣化され、時間が短くなるが、その事項はある一定期間の中で、トータル時間が長くなり、トータルで見ると極めて重要なものとなっているなど、短くても繰り返されるものも重要なものといえよう。ID-POS分析のリピート分析とほぼ同じ概念である。
したがって、仮に、時間が測定できれば、時間をあたかも売上金額のように分析することができ、ID-POS分析の基本方程式がそのまま時間という概念で分析が可能となる。すなわち、売上金額=ID×ID金額PI値=ID×ID客数PI値×金額PI値の金額のところが時間となり、時間=ID×ID時間=ID×ID客数PI値×時間PI値という方程式ができあがり、新たにTime Index(TI値)が生まれる。この数式が意味するところは、顧客がその商品に費やした時間は顧客の数と顧客の総時間で決まり、さらに、これを分解すると、顧客の数と、顧客1人当たりの購入回数と、顧客の1回当たりの時間とによって決まるということである。
そして、その時間が長ければ長いほど、その商品は顧客が時間をかけて購入した商品であり、人生の貴重な時間とお金を費やすに値する重要な商品であるということになろう。恐らく、結論としては、よりたくさんの顧客がわずかな時間で購入するものや、わずかな顧客であるが、極めて時間をかけて購入するものなどが高い時間を獲得するのではないかと思われる。
このように、仮に、時間が測定でき、マーチャンダイジングにこの時間という概念が組み込まれると、ID-POS分析に新たな境地が生まれる可能性が高く、今後の重要な研究課題であるといえよう。残念ながら、時間をどう正確に測定するか、その分析理論、結果の応用手法など研究すべき、そして、開発すべき課題は多いが、テーマとしては興味深いものであるといえよう。実は、現実の小売業では、中々難しいが、バーチャルの小売業、インターネットの世界ではほぼ、時間の測定はIDごとに可能であるといえ、ここでノウハウを開発し、リアルの世界へ応用する方法もあり、その意味で、今後、ネットスーパーは時間という概念を組み込み、新たなマーチャンダイジング戦略を試し、リアルの売場のマーチャンダイジングに活かすということも検討すべきであろう。
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