菓子パンがなぜマーチャンダイジングの活性化に最適か?
ここ数年、一貫して、食品スーパーマーケットにおいて、菓子パンのマーチャンダイジングの重要性を取り上げ、その実践に取り組んできた。その理由は菓子パンが食品スーパーマーケットの中で金額PI値が最大級であるにもかかわらず、そのマーチャンダイジングが圧倒的に遅れているからである。また、それに加え、菓子パンは食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングの原理原則を学ぶ上において、最適なカテゴリーでもあるからである。
食品スーパーマーケットには生鮮食品を含め、約300のカテゴリーがあるが、この約300のカテゴリーを金額PI値順に並び変えると、菓子パンは、トップクラスの金額PI値、場合によっては、No.1のカテゴリーとなる。高い店舗では30円(1,000人当たり30,000円)前後となり、この数字を超える食品スーパーマーケットにおける商品群はあまりなく、まさに、トップクラスの商品群である。
ところが、これだけ金額PI値が高いにもかかわらず、食品スーパーマーケットにおける位置付けは意外に低く、マーチャンダイジングにとって不可欠な重点商品をしっかり押さえていない店舗が多い。菓子パンの重点商品は生鮮食品のトップクラスの商品と何らひけをとらない商品が多く、金額PI値でいえば1円(1,000人当たり1,000円)を超える商品が5品ぐらいはあり、その半分0.5円(1,000人当たり500円)を超える商品となると、5品から10品ぐらいはある。これをしっかり押さえている発注担当者は稀であり、その発注数量をPI値、客数から算定している担当者はさらに少ない。
ただ、これは発注担当者の問題ではなく、実は店長、部門長の問題でもある。金額PI値1円、0.5円の商品は菓子パンに限らず、店舗全体への貢献度がきわめて高く、金額PI値であるがゆえに、キャッシュ貢献度が極めて高い商品であり、キャッシュフローの源泉となる商品である。まして、菓子パン全体は金額PI値最大級の商品群であるがゆえに、カテゴリーとしてもキャッシュフローの源泉となっており、単品、カテゴリーともに一致する稀なキャッシュフロー貢献度No.1の商品、商品群であるといえる。
したがって、菓子パンは店長、部門長も熟知する必要があり、この商品群の活性化いかんで店舗全体のキャッシュフローへ大きな影響を与えかねない重要な商品群である。店長、部門長はまずは菓子パンの重点商品をしっかり押さえ、発注担当者と毎日確認をとるべきであり、売価、欠品、過剰在庫、POP、棚割、レイアウト、品出し等、常に注意を怠ってはいけない。できれば、週に1回はPOSデータを担当者と確認し、先週の課題、来週の方針を決めるミーティングを持つべき重要な商品群であるといえる。
一方、菓子パンはマーチャンダイジングを勉強する上でも最適なカテゴリーである。先に解説した重点商品が明確であり、かつ、店舗貢献度、ひいては会社全体のキャッシュフロー上も貢献度が高く、重点商品の重要性を理解する上においては最適なカテゴリーであるからである。そして、もうひとつ、マーチャンダイジングを勉強する上において重要な品揃えの重要性を理解する上においても最適な商品であることである。
品揃えの原則はA商品を見つけ出し、これを絶対にカットせず、365日24時間売り続けることに加え、逆にC商品は頻繁にカットし、新たにA、Bとなる可能性の高い新商品(まだ店舗で扱ったことのない商品を含む)を新規に導入し、カテゴリー全体の金額PI値の水準を引き上げることにある。菓子パンは日本の食品スーパーマーケットでは、月間約1,000SKUが販売されており、実際に各店舗で取り扱われている商品はせいぜい100SKUから200SKUぐらいであるのが実態である。少ない店舗では100SKUを切る場合もある。したがって、この約1,000SKUから200SKUを選んだとしても、残り約800SKUは全くその店で販売されたことがない商品であり、当然のことであるが、この約800SKUに自店でA、Bとなる可能性のある商品が埋もれていることは間違いなく、実際のデータを見てもそれは明らかである。
したがって、品揃えの重要性と実際に品揃えを変えた時の数字の違い、金額PI値の変化、そして、キャッシュフローのインパクトを体感するには菓子パンはマーチャンダイジングが十分に取り組まれていないがゆえに、最適な商品群であるといえる。先の店長、部門長、そして、担当者の週1回のミーティングにこの品揃えの問題も入れて欲しい課題であるといえる。
このように菓子パンの食品スーパーマーケットにおける重要性はキャッシュフローを実際に増加させることに加え、マーチャンダイジングの原理原則を理解し、その効果を体感する上で最適な商品群であるといえ、発注担当者だけに任せるのではなく、店長、部門長も交え、少なくとも週1回は戦略ミーティングを持ち、毎日、重点商品のチェックはして欲しいとことだ。また、発注担当者だけでなく、全従業員はもちろん、パートさん全員にもマーチャンダイジングを理解し、勉強するためのOJTとして活用して欲しい商品群である。
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