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December 03, 2010

家計調査データ、2010年10月、たばこの実態は!

   家計調査データ2010年10月度の最新データが11/30、総務省統計局から公表された。結果は外食を除く食品が1,954.06円(99.5%%)、全体が9,272.03円(99.9%)となり、若干の減少、消費は依然厳しい状況が続いているといえよう。本ブログでは、家計調査データを食品スーパーマーケットの客単価(金額PI値)と連動をはかるために、月間データを1日当たりに換算している。これにより、すべての項目が食品スーパーマーケットのPOS分析とほぼ連動でき、実務に活用することが可能となる。また、家計調査データは10,000分比を算出しており、これを活用することにより、購入世帯当たりの割合、及び購入世帯当たりの消費額も算出可能であり、これも実務には活用でき、便利である。

   さて、この10月度、家計調査データで、最も気になる数字は何といってもたばこであろう。10/1から値上げがはじまったので、その反動がどのくらいあったかである。また、家計調査データでは月別データと同時に、日別データも公開されており、ここから、たばこの消費額の日別推移もわかる。特に、今月度は総務省統計局でも「たばこの支出金額の推移」という追加レポートも公開しており、これも参考に、まずはたばこの状況を見てみたい。

   その結果であるが、たばこ13.35円(昨対42.2%)、消費世帯のみ173.89円(87.8%)、消費世帯の割合7.7%(48.1%)である。昨対42.2%と半値、8掛けの世界であり、約40%と大きく落ち込んだ。そして、その中身であるが、たばこの購入者だけを見た場合は87.8%と大きな落ち込みではなく、消費世帯の割合、すなわち、たばこを購入する消費者が48.1%と半分になったことが大きかったといえる。食品スーパーマーケットにたとえれば、客単価(金額PI値)は大きく下がらなかったが、客数が激減したという構図であり、これが1日、2日ではなく、月間の数字であるので、その反動は大きかったといえよう。

   そこで、総務省統計局が公表している「たばこの支出金額の推移」を見ると、興味深い内容である。たばこの値上げは過去2回あった。平成15年、平成18年である。まず、この時と比べ、この平成22年はどうであったかであるが、極めて減少幅が大きいという結果となったのが特徴である。数字は実質の数字であるが、過去2年間は平成15年度は前後大きな動きはなかったが、平成18年度はプラス50%、-50%と大きく動いた。そして、平成22年度、今回は+150%、-70%とさらに大きく動き、その幅200%を超えるという振幅であり、激しい動きであったことがわかる。

   また、これを日別で見ると、9/25ぐらいまではなだらかな上昇であったが、その後
通常50円ぐらいの消費額が9/27には100円となり、9/28には150円を超え、9/29には、200円近くに迫り、そして、9/30には300円を突破するという、通常の6倍を超える激しいたばこの消費があったことがわかる。そして、10/1、まっさかさまに消費が落ち、数10円となっている。その後もたばこの消費は低迷し続け、10/31まで消費は増えることなく、しかも、過去2回の時と比べても、低迷が続くという状況である。いかに、今回のたばこの消費の動きが、過去にない異常な消費状況であったかがわかる。

   これは実際の食品スーパーマーケットのPOSデータを見ても明らかであり、9月度はたばこの異常値が発生し、全カテゴリーの中でも客単価(金額PI値)が断トツのトップのカテゴリーとなったが、10月には急落、10番目ぐらいになってしまった。それでも、ベスト10近くには入っているといえ、依然として、たばこが重要なカテゴリーであることは変わりないといえる。

   ちなみに、売れ筋に変化があったかどうかであるが、実際のPOSデータを見ると売れ筋の構造が180度変わったことがわかる。9月度のたばこの上位商品はベスト10すべて箱売りのたばこであり、しかも、客単価(金額PI値)は優に3,000円(1人当たり3.0円)という異常値が発生していたが、10月度になると、ベスト10の内、3品しか箱売りはなくなり、No.1を含め、7品がバラのたばことなった。しかも客単価(金額PI値)はNo.1のみ1,000円(1人当たり1.0円)であり、その他はすべてそれ以下という状況である。これが実際の消費者心理の実態であるといえ、改めて、POSデータをつぶさに見ると、その激しいたばこの消費の動き、そして、現状の静けさが目に浮かぶようである。

   このように、この10月度の家計調査データは、何といっても、たばこの消費状況が前月の値上げ前の9月度と比べ、どのような結果となったかが明らかになった月であるが、その実態は過去2回と比べても異常値であったことがわかる。また、実際の9月度、10月度のPOSデータを見ても、たばこの消費構造が180度違い、こうまで激変するとは驚きである。たばこはあらゆる商品の中でも最も嗜好性が強く、個人個人のこだわりが強く表れる商品であるといえ、これが価格の変化にぶつかった場合、爆発的な消費、そして、その後のうそのような静寂と両極端を表すといえ、極端に消費者心理が表れるといえよう。商品は大なり小なり、このたばこのような傾向があるといえ、その意味で、今回のたばこの消費実態は今後の商品戦略を考える上で大いに参考になるといえよう。

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