神戸物産、2010年10月期、本決算、大幅増収増益!
業務スーパーの神戸物産が12/16、2010年10月期の本決算を公表した。結果は、売上高1,382.34億円(9.7%)、営業利益28.51億円(273.8%)、経常利益28.43億円(393.6%)、当期純利益9.48億円(288.2%)と、大幅な増収増益となり、好調な決算となった。各食品スーパーマーケットの売上げが伸び悩む中、「業務スーパー事業における出店状況は47店舗の新規出店、11店舗の退店の結果、純増36店舗で、総店舗数は543店舗となりました。」とのことで、積極的な新規出店を果たしたことが大きいといえよう。特に、神戸物産自身も、「デフレによる市場環境の中、低価格、高品質な商品を求める消費者ニーズに対応すべく、・・」とのことで、デフレがむしろ好環境となっており、まさに、デフレの申し子とも呼べる業務スーパーという業態が消費者に受け入れられた結果であるといえよう。
また、利益の方は売上げ以上に好調な決算となったが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、94.19%(昨年95.63%)となり、-1.44ポイントと大きく改善している。これは、「当社グループは原材料の調達から商品の製造、加工、販売までを行う製販一体システムを更に強化すべく、国内外における10社13工場の製造コスト削減及び効率化を図ると共に「安全・安心」を追求したオリジナル商品の開発に取り組んでまいりました。」とのことで、神戸物産が製販一体システムを構築していることが大きく、自らの力で原価の改善が直接できることが大きいといえる。
結果、売上総利益は5.81%(昨年4.37%)と、大きく改善した。ただ、食品スーパーマーケットの原価率と大きく差があるのは、先にあげた製販一体システムの面もあるが、それ以上にビジネスモデルがFC、フランチャイズシステムを前提にしているためである。いわば、コンビニと同じビジネスモデルであるといえ、FCからのフランチャイズフィーが売上総利益となるためである。
実際、直近、11月度の店舗数をみると、総店舗数は547店舗であるが、この内、直営店舗はわずか2店舗である。545店舗がFCである。ちなみに、神戸物産はこのFCを直轄エリア314店舗と地方エリア231店舗に分けて管理しており、直轄エリアは、関西(兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)、関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のことである。
一方、経費の方であるが、3.74%(昨年3.75%)と、0.01ポイントとわずかな改善に留まった。結果、差し引き、営業利益は2.07%(昨年0.62%)となり、大幅な改善となった。原価が大きく改善したことが大きかったといえ、原価が神戸物産の利益の源泉となっているといえよう。それにしても、昨対では、いずれの利益も3倍前後と異常値となっており、デフレが神戸物産にとっては、利益を生み出す最適な環境となっているといえよう。
さて、このような好調な決算結果を受けて、今後の動向をキャッシュフローから占ってみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、38.23億円(昨年21.07億円)と、倍増しており、潤沢なキャッシュを生み出している。その最大の要因が税金等調整前当期純利益21.30億円(昨年6.34億円)にあり、まさに、好決算がもたらしたキャッシュであるといえる。この豊富なキャッシュをどう投資に振り向けているかであるが、投資活動によるキャッシュフローは-18.35億円(昨年-34.13億円)であり、意外な結果、投資を大きく削減している。これは有形固定資産の取得による支出が-13.35億円(昨年-25.03億円)と大きく削減されたためであり、むしろ、今期は投資を控えたといえる。
結果、フリーキャッシュフローは24.88億円(昨年-3.96億円)となり、昨年と対照的な結果となり、大きくプラスとなった。これを受けて、財務活動によるキャッシュフローであるが、66.94億円(昨年45.94億円)と、昨年も大きくプラスであったが、今期はさらに拡大しており、異常値である。その中身は、有利子負債にあり、昨年も49.24億円の収入があり、今年も70.97億円の収入、何と、2年間で120.21億円と100億円以上の収入である。特に、今年はフリーキャッシュフローが24.88億円と大きくプラスになった中での有利子負債の収入であり、びっくりである。
したがって、B/Sの負債における有利子負債は120.95億円(昨年50.00億円)と倍増している。また資産における現金は210.96億円(昨年119.28億円)とこれも倍増である。結果、トータルキャッシュフローは86.41億円(昨年28.24億円)と大きくプラスとなった。また、自己資本比率は30.5%(昨年38.6%)と、好決算となったにも関わらず、昨年と比べ大きく下がっている。
それにしても、ここまで、この時点で自己資本比率を下げてまでも、敢えて有利子負債を増やし、この2年間で多額の現金、約200億円を調達した理由は何であろうか。気になるところである。神戸物産の事業構造は大きく2つに分かれており、ひとつは業務スーパー事業、そしてもうひとつは神戸クック事業である。ただ、神戸クック事業は今期の売上高は10.76億円であり、全体の構成比は0.77%であり、いずれも多額の投資が必要な段階ではないと思われる。したがって、この約200億円のキャッシュを来期どのように固定資産に変え、成長を目指してゆくのか、その投資戦略に注目である。
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